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上海自由貿易地区開設-税関は密輸の取締を強化-

 去る9月29日、中国(上海)自由貿易モデル地区が正式に開設された。上海税関によれば、全力で自由貿易モデル地区の建設を推進するとともに、今後発生する可能性のある密輸問題に対応するため、監視を強化し、総合的な防犯を行い、各種の密輸犯罪活動を厳しく取り締まるとしている。

 上海税関は、自由貿易モデル地区の建設をサポートし、「一線放開」と呼ばれる、中国(香港・マカオ・台湾を除く)と国外の自由貿易モデル地区内との間の貨物については、税関による管理を受けずに輸送することが可能な監督管理モデルを創造し、必要のあるモデル地区内のパイロット企業に対して、「先ずモデル地区に入れ、後で通関する。」という方法を採用するという。当該方法では、モデル地区内のパイロット企業は税関の許可を経た後、先に輸入船腹情報に基づいて貨物をモデル地区に入れ、規定の期限迄(輸送手段がモデル地区に入ってから14日以内)に所管の税関において、届出制による通関手続きを行うことが可能となる。こうした方法はモデル地区内の企業による貨物の流通速度をアップさせ、企業の物流効率を高めるという需要を満たすことができる。現在、上海税関は既に索尼物流貿易(中国)有限公司(ソニー物流)等、モデル地区内6社の企業が試験的に実施することを決定している。

物流効率のアップ
 モデル地区内の貨物の流通手続きを簡素化し、税関の承認を経て「分割して申告し、集中的に通関する。」という方法によって、企業が自ら運送する方法を採用することを許可するとしている。また、モデル地区の4つの税関の特殊監督管理区域間において、効率の良い保税物流監督管理システムを作る予定で、これは企業の物流効率をアップさせるとともに、企業の物流コストを効果的に引き下げることにもつながる。現在、上海税関はモデル地区内の4社をパイロット企業に指定した。

税関監督管理モデルの確立 
 モデル地区内の税関の監督管理条件に合致する企業をサポートし、モデル地区の特定区域 に保税展示取引場を設置する。モデル地区内において、海外との電子商取引のテストを行うことをサポートし、これに適応する税関監督管理モデルを確立する。前段階のテストを基礎として、先物取引保税決済テストの拡大をサポートし、商業倉庫貯蔵BLを用いた質権の設定を行う融資等の機能を拡大する。また、サービス貿易を促進・発展させ、新型の貿易業態に応じた税関監督管理方法を新たに作り出す。

 税関の監督管理を強化し、貿易秩序が維持・保護されることを保障するとともに、法に基づいて知的財産権の税関における保護を実施する。モデル地区内における企業の知的財産権の保護能力を強化し、企業のイノベーション能力と重要な競争力の向上を促進し、国内外の知的財産権の資源が集中するようサポートし、権利侵害にかかる違反行為を効果的に取り締まる。法に基づいて国家の意識形態の安全を保護し、モデル地区内に中国の政治、経済、文化、道徳に有害な印刷物、音楽・映像商品およびその他の情報媒体が潜入し、蔓延することを有効に防止する。これにより関連企業や貨物に対するリスク管理を強化する。

密輸の取締を強化 
 法に基づいて密輸犯罪を取り締まる。発生する可能性のある密輸リスクに対応するため、監視を強化し、総合的な防犯を行い、各種の密輸犯罪活動を正確に厳しく取り締まる。モデル地区内に国の安全と社会の安定を脅かす、猥褻、賭博、麻薬犯罪等の発生を防止し、良好な経済発展環境を維持・保護し、保障する。

 この外、職能上の管理を強化し、効率の良い優れたサービスを提供する。自由貿易モデル地区の総合サービスとワンストップで手続きを受理するサービスへの窓口の開設を積極的にサポートする。サービスホールに税関業務窓口を3箇所設置し、手続を行うモデル地区内の企業に対し、効率良く関連業務を行い、利便性の高いサービスを提供する。

 今年8月31日現在、上海自由貿易モデル地区内の税関へ登録している企業数は5,258社に上り、これは上海税関管理区域に登録された企業数の9.7%を占めているという。うち、保税区税関(物流園区を含む。)に登録された企業は4,834社に上り、自由貿易モデル地区における企業数の91.9%を占めているという。

(法制日報より)

作成日:2013年10月16日