最新法律動向

2015年7月公布の重要法規解説

 『多国間税務行政共助条約』の批准に関する全国人民代表大会常務委員会の決定
 中華人民共和国国家安全法
 輸出入の安定的成長促進に関する国務院弁公庁の若干意見
 『被執行人の高額消費を制限することに関する最高人民法院の若干の規定』の修正に関する最高人民法院の決定

一、『多国間税務行政共助条約』の批准に関する全国人民代表大会常務委員会の決定
2015年7月1日公布、同日施行

http://www.gov.cn/xinwen/2015-07/01/content_2888148.htm

1. 主な内容
(1) 『条約』第2条第1項第(2)号で言及される税収については、『条約』が適用される税目に入れず、如何なる形式の協力も提供しない。
(2) その他の締結国の税金追徴に協力せず、保全措置の提供に協力しない。
(3) 文書の送達における協力を提供せず、郵送による文書の送達を認めない。
2. 今後の注意点
中華人民共和国政府が別途通知する前において、『条約』は暫時、中華人民共和国香港特別行政区及びマカオ特別行政区に適用しない。
(全8条)

二、中華人民共和国国家安全法
2015年7月1日公布、同日施行

http://www.gov.cn/zhengce/2015-07/01/content_2893902.htm

1. 主な内容
(1) 宇宙、深海及び極地などの新領域における安全保護任務、食糧の総合的生産能力の保護及び向上、食糧供給及び品質安全を保障する規定を追加した。(第32条、第22条)
(2) 核の平和利用及び拡散防止を明確にし、核の脅威、核攻撃への有効対応、防御能力を不断に増強し、インターネット空間における主権保護を明確に要求するなど。(第31条)
(3) 国は安全ニュース宣伝及び世論誘導を強化する。多種多様な方式により国家安全宣伝教育活動を展開する。国の安全教育を国民教育体系及び公務員教育研修体系に組み込み、全国民の国家安全意識を増強する。(第14条)
(4) 初めて香港、マカオ、台湾に対し国家主権や領土統一を守ることを義務つけた。「国家主権、統一及び領土の完全性の保護は香港マカオ同胞及び台湾同胞を含む全中国人民共同の義務である」と規定された。(第11条、第40条)
2. 今後の注意点
1993年に制定された従来の『国家安全法』は、2014年11月1日をもって廃止され、その大部分の内容は新たな反スパイ法に入れる。中国の国家的安全が直面する新形勢と新任務に対応し、各分野における国家安全を全面的に保護するため、本法を制定する。
(全84条)

三、輸出入の安定的成長促進に関する国務院弁公庁の若干意見
2015年7月24日公布、同日施行

http://www.gov.cn/zhengce/content/2015-07/24/content_10031.htm

(1) 輸出入段階の費用徴収の整理、規範化を断固行う。
(2) 人民元為替レートを合理的な均衡水準において基本的に安定するよう維持し、人民元為替レートの双方向の変動区間を拡大する。
(3) 輸出信用保険のサポート力を強化する。
(4) 貿易利便化のレベルをさらに向上させ、全国一体化した通関管理モデルの形成をさらに推進し、沿海部の各貿易港において国際貿易「シングルウィンドウ」試験区を展開する。
2.今後の注意点
本意見に基づき、2015年7月末前に『輸入奨励技術及び製品リスト』を調整、公布し、輸入利息補助政策の支持範囲を相応に調整し、国内産業のレベルアップを促進する。消費品の輸入関連政策を改善し、国内ニーズの比較的大きい一部日用消費品の輸入関税減額試験区を展開し、輸入免税店を適度に増設し、免税品種を合理的に拡大し、免税購買額を一定数量増加し、国内消費者が物品購入に際し豊富な選択をできるようにする。(全7条)

四、『被執行人の高額消費を制限することに関する最高人民法院の若干の規定』の修正に関する最高人民法院の決定
2015年7月20日公布、2015年7月22日施行

http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-15046.html

1.主な内容
(1) 信用喪失被執行人名簿に入っている被執行人について、人民法院は消費措置の制限を
取らなければならないことを明確にする。(第2条)
(2) 人民法院は消費制限措置を取ることを決定したとき、被執行人に消極的履行、執行回避又は執行拒否行為及び被執行人に履行能力があるかどうかなどの要素を考慮しなければならない。(第3条)
(3) 被執行人が法人である場合、消費制限措置が取られた後、被執行人及びその法定代表者、主要責任者、債務履行に影響する直接責任者、実際支配者は高額消費行為を行ってはならない。私的消費により個人財産を支払う場合、執行法院に対して申請を提出することができる。執行法院が審査し事実であるときは、これを許可する。(第4条)
2.今後の注意点
人民法院が消費制限措置を取ることを決定した場合、案件の必要性及び被執行人の状況に基づき、調査、執行に協力する義務のある法人に対し執行協力通知書を送達し、関連メディアにおいて公告を行うこともできる。消費制限令の公告費用は、被執行人が負担する。執行申請人がメディア公告を申請した場合、公告費用を負担しなければならない。
(全13条)

作成日:2015年08月06日