法律相談Q&A

従業員がマイカーの運転で事故を起こした場合の会社の対応

Q.当社は、城陽区の日系企業です。最近マイカーで出勤してくる従業員が増えてきています。会社は、従業員と協議書を締結し、従業員に会社の送迎車か乗合バスを利用して出勤するものとし、マイカー通勤で交通事故が発生した場合には会社は責任を負わないという旨を約定することができるでしょうか。こうした協議書を締結出来ないまま、従業員がマイカー通勤で交通事故に巻き込まれた場合、会社はどのように対応すべきでしょうか。

A.貴社がマイカー通勤する従業員と「マイカー通勤安全協議書」を締結し、貴社の法的リスクを低下させたいという趣旨については、非常に理解できます。一般的に、協議書は当事者双方の同意を通じて締結できるものです。そのため、従業員が協議書への署名を望まない場合、会社は当該従業員へ署名を強要できません。それでは、従業員が当該協議書に署名しない状態で、マイカー通勤の途中で交通事故に遭った場合の対応方法を次の通り提示させていただきます。

『労働災害保険条例』等の関連規定に基づけば、従業員がマイカー通勤し、本人の主な責任によらない交通事故が発生して傷害を受けた場合、労働災害と認定される法定の事由に該当します。会社は、事故発生の日から30日以内に労働災害認定機関へ労災認定を申請する必要がございます。

(1)労働災害と認定された場合、会社は法に基づいて相応の労働災害保険責任を負う必要があります。法律の規定に基づき従業員へ労働災害関連責任を負う必要がある場合、協議書に貴社の免責が約定されていたとしても、従業員は協議書が法律の規定に違反していることを理由に、協議書の免責関連約定の無効を主張し、貴社へ法に基づいて労働災害保険責任の負担を要求してくる可能性がございます。

また、この場合、会社は一般的に従業員への労働災害関連責任のみを負うだけでよく、事故相手に対する賠償責任を負う必要はありません。

(2)従業員が上記の「マイカー通勤により、本人の主な責任によらない交通事故が発生した」法定の労働災害事由に該当しないか、労働災害と認定されなかった場合、一般的に従業員と免責協議書を締結していなかったとしても、会社は従業員及び事故相手に対する賠償責任を負う必要はありません。

但し、従業員が事故により傷害を受け病気休暇を取得する必要がある場合、会社は一般的に法律及び規則制度の規定に基づいて、医療期間中の病気休暇待遇を支給する必要がございます。

以上は、マイカー通勤の途中で交通事故が発生したケースの一般的な分析です。実際のケースは、更に複雑な可能性があります。例えば、従業員がマイカーを運転して自宅から直接取引先への会議に出かける途中に交通事故が発生した場合では、個々案件に基づいて専門家が具体的に分析し、適法な対策を提示する必要がございます。

作成日:2015年05月20日