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速報:価格法改正案意見募集稿 -NEW-

   7月24日、国家発展改革委員会と市場監督管理総局は『中華人民共和国価格法改正案(意見募集稿)』(以下『意見募集稿』という。)に対する意見募集を開始する公告を発表しました。意見募集は7月24日から8月23日まで行われており、企業や業界団体から一般市民に至るまで、国家発展改革委員会と市場監督管理総局の公式ウェブサイトから意見を提出することができます。
   意見募集稿では、市場の「低品質で無秩序な低価格競争」を抑制するため、「反内巻」に関連する複数の条項が追加されています。これは1998年の施行以来、初の改正です。そこで今回は、意見募集稿の注目ポイントを簡潔に解説いたします。

1.「不当廉売」の認定基準の緩和
   現行の『価格法』では「不当廉売」の認定基準が厳格で、以下の3つの条件を同時に満たす必要があります。
① コストを下回る価格での販売
② 競争相手の排除や市場の独占を目的とする
③ 正常な生産経営秩序を乱し、国家または他の経営者の合法的な権利と利益を侵害する
   意見募集稿では「不当廉売」の認定基準が緩和され、上記③の「権利と利益の侵害」に該当する記述が削除されました。つまり、低価格での販売またはサービスの提供(正当な事由を除く)があれば「不当廉売」と認定され、行政処分を受ける可能性があります。(第14条第2項)
   さらに、事業者自身だけでなく、不当廉売を「他の事業者に強制する」行為も違法となります。例えば、デリバリーサービスや配車プラットフォームがプラットフォーム内の店舗に価格引き下げや補助金提供を強制する行為も不当廉売に該当します。

2.「企業への立ち入り検査権」の追加
   現行の『価格法』では、企業に価格不正行為(販売価格が過度に高いまたは低い)の疑いがある場合でも、担当官には質問権と資料提出要求権のみ認められており、企業への直接立入り検査権は認められていませんでした。
   新意見募集稿では、担当官に「企業の経営場所またはその他の場所への立入り検査」についての実質的な権限が追加され、帳簿や経営状況、コストなどのデータを検査できるようになる見込みです。企業にとっては、政府部門による監督検査やコスト審査への対応が増加する可能性があります。(第34条第1項)

3.その他の変更点
   上記の内容に加え、本意見募集稿では価格カルテルや価格詐欺、価格つり上げなどの典型的な価格不正行為に対する規則も調整されており、規制対象もデジタル経済分野および優位な立場の事業者による価格不正行為まで拡大しています。

◆日系企業へのアドバイス
   中国に進出している日系企業は、サプライチェーンなどにおいて中国企業とさまざまな取引を行う必要があります。したがって、現地の日系企業にとっては、本法が中国の各業界や企業(特に関連のある川上・川下企業)に与える多面的な影響およびこれらの企業の動向を適時把握することが極めて重要となります。
また、改正価格法の施行後は、低品質・低価格の無秩序な競争は減少する可能性があり、太陽光発電、リチウム電池、エネルギー貯蔵などの新エネルギー、ハイエンド製造業または高品質製品供給企業の市場シェアが拡大する可能性があります。一方、伝統的な化学工業、鉄鋼、繊維、タイヤなどは低価格競争に依存しているため、生産能力で遅れを取る中小企業の市場シェアはさらに縮小し、淘汰される可能性もあります。リスクを回避するためには、本意見募集稿での変更点や現地での執行状況を把握しつつ、現地の弁護士と連携して、適切な価格を設定することが重要となるでしょう。

作成日:2025年07月28日