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2025年:不正競争防止法における商業賄賂の規制強化 -NEW-

   2025年6月27日、第14期全国人民代表大会常務委員会第16回会議において、改正『不正競争防止法』(以下「新法」という。)が可決され、2025年10月15日から施行されることになりました。
   新法では多くの条項が改訂され、内容も2019年の『不正競争防止法』(以下「旧法」という。)の33条から41条に拡張されています。企業が関心を寄せる「商業賄賂」やその責任についても規制が強化されていますので、今回は新法の要点について簡潔に解決いたします。

1.収賄側の法的責任を追加
   旧法第19条では、事業者による贈賄のみ罰則の対象としていましたが、新法では関係機関の贈賄だけでなく収賄も罰則の対象となります。(新法第24条)
   これにより、今後は賄賂を収受した個人や企業にも処罰が科せられます。

2.法定代表者などの個人責任を追加
   旧法第19条では、企業に対してのみ罰則が規定されており、従業員などの個人に対する法的責任は規定されていませんでした。新法では、法定代表者や主要責任者、直接責任者が、従業員や企業への贈賄に個人責任を負う場合、または自ら収賄した場合は、処罰の対象となります。(新法第24条)
   ただし、企業または従業員が贈賄を行った場合、法定代表者などの役員や責任者が必ず処罰されるわけではなく、処罰をされるのはそれぞれのケースで個人責任を負う場合のみとなります。
   法執行機関の解釈や学説によると、「個人責任を負う」とは法定代表者などが商業賄賂について主観的に知っていたか、または知っていたとみなされる場合、かつ客観的に意思決定や計画、承認、指示、容認、指揮などの行為を行った場合を指します。これらの行為の有無は、企業内の記録を参考にするなど、個々のケースに応じて判断する必要があります。

3.罰金の上限が300万元から500万元に増加
   新法は旧法と比較して商業賄賂に対する罰則が強化され、法人への罰金の上限が300万元から500万元に引き上げられており、法定代表者や主要責任者、直接責任者などへは最高で100万元の罰金が科されることになりました。(新法第24条)

◆日系企業へのアドバイス
   新法はでは収賄行為に対する法定代表者などの個人への罰則が新設、強化されています。また、新法施行後しばらくは収賄行為に対する監督、検査が強化されることが予想されます。
商業賄賂の認定は複雑な場合があり、従業員も法律の内容を正確に把握できていない可能性があります。そのため、従業員を対象とした商業賄賂に関する研修を実施し、政府当局の検査の際に、コンプライアンス管理の一環として説明できる体制を整えておくことが重要です。
   コンプライアンス制度を確立させ、反商業賄賂研修を実施する、または外部通報窓口を設置するなどの措置は企業にとって極めて重要となります。また、法定代表者や主要責任者などの経営陣がコンプライアンスリスクを考慮した慎重な経営判断を行うことも、リスク回避においては非常に重要です。

作成日:2025年07月29日