最新法律動向

2015年2月公布の重点法規解説

非居住者企業による財産の間接譲渡に係る企業所得税の若干の問題に関する国家税務総局の公告

『中華人民共和国民事訴訟法』の適用に関する最高人民法院の解釈

環境民事公益訴訟案件の審理における法律の適用に係る若干の問題に関する最高人民法院の解釈

 

一.非居住者企業が財産を間接譲渡する際の企業所得税に係る若干の問題に関する国家税務総局の公告

2015年2月3日公布 2015年2月3日实施

http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c1491377/content.html

1.主な内容

(1)非居住者企業が合理的商業目的を有しない手配により、中国居住者企業の持分等の財産を間接的に譲渡し、企業所得税の納付義務を回避する場合には、企業所得税法第47条の規定に従い、当該間接的譲渡取引の性格を中国居住者企業の持分等の財産の直接的譲渡として新たに定性しなければならない。(第1条)

(2)「中国納税財産の間接譲渡」とは、非居住者企業が直接又は間接的に中国納税財産を有する国外企業(国外登録中国居住者企業を含まず、以下「国外企業」という。)の持分その他類似権益(以下「持分」という。)を譲渡し、中国納税財産の直接譲渡と同等又は類似の実質的結果をもたらす取引をいい、非居住者企業が再編し国外企業の出資者に変化を与える場合を含む。中国納税財産を間接的に譲渡する非居住者企業を「持分譲渡側」という。(第1条)

(3)合理的商業目的の判断は、中国納税財産の間接譲渡取引に関連するすべての手配を総合的に考慮し、実情を考慮して次に掲げる関連する要素を総合的に分析しなければならない。国外企業の持分の主たる価値が中国納税財産に直接又は間接的に由来するか否か。国外企業の資産が主に直接若しくは間接的な中国国内への投資により構成され、又はその取得する収入が主に直接又は間接的に中国国内に由来するか否か。国外企業及び直接又は間接的に中国納税財産を保有する子会社が実際に履行する機能及び負担するリスクが企業構造の経済的実質を実証できるか否か等。(第3条)

(4)中国納税財産の間接譲渡に関連する手配全体が次に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、この公告第1条の規定を適用しない。非居住者企業が公開市場にて同一の国外上場企業に係る持分を買い入れ、かつ、売却し、中国納税財産の間接譲渡による所得を取得する場合。非居住者企業が中国納税財産を直接保有し、かつ、譲渡する場合には、適用可能な税収協定又は手配の規定に従い、当該財産の譲渡所得は中国にて企業所得税の納付を免除することができる。(第5条)

(5)中国納税財産を間接譲渡し、同時に次に掲げる条件に適合する場合には、合理的商業目的を有するものと認めなければならない。当該間接譲渡取引が生じた後に生じ得る間接譲渡取引は、当該間接譲渡取引が生じない場合における同等又は類似の間接譲渡取引に比べ、その中国での所得税負担の方が少なくない場合。持分の譲受側が自己又は支配関係にある企業の持分(上場企業の持分を含まない)により持分取引に係る対価のすべてを支払う場合等。(第6条)

(6)控除納付義務者が控除納付せず、又は納付すべき税金を満額控除納付しない場合には、持分譲渡当事者は、納税義務発生の日から7日内に主管税務機関にて納税を申告し、かつ、出資持ち分譲渡収益及び税金の計算に関連する資料を提出しなければならない。(第8条)

(7)主管税務機関は、中国納税財産の間接譲渡取引につき立件調査及び調整をする必要がある場合、一般租税回避に関連する規定に従い執行しなければならない。(第11条)

2、今後の注意点

この公告は、中国国内に機構、拠点を有しない非居住者企業が中国納税財産の間接譲渡により取得する所得、及び中国国内に機構、拠点を有するがその機構、拠点と実質的関係のない中国納税財産の間接譲渡により取得する所得に適用する。

(全19条)

 

二.『中華人民共和国民事訴訟法』の適用に関する最高人民法院の解釈

2015年1月30日公布 2015年2月4日施行

http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-13241.html

1.主な内容

(1)民事訴訟手続の公平性を確保することが当該司法解釈の主軸である。民事訴訟手続の公平性を確保することが終始一貫する主軸であり、全552条の規定はすべて直接又は間接的に手続の公平性及び正義を体現するための具体的措置である。当事者の訴訟権利の平等、公正及び効率の両立、手続に係る公開性及び透明性の重視、「当事者及び人民法院の双方に資するという原則」等の原則の確実化をもって、民事訴訟制度がより科学的かつ操作可能なものとなるよう強調している。

(2)当事者の訴訟権利を適切に保障。つまり、立案登記制を確立、

法により当事者に係る一審、二審及び再審の各段階における訴えの取下げを保護し、及び規範化、反訴の構成要件の規定を増加、重複起訴の不受理に係る判断基準を明確に規定、当事者による訴訟請求の変更又は追加の規定を精緻化、

第三者による訴えの取下げ、当事者以外による再審申立て、不服申立て、当事者による再審申立ての適用条件、審理手続、審理方式、及び救済措置等の規定を精緻化。(第208条、第233条、第292条、第304条等)

(3)司法の公開を保障。開廷審理に係る規定を厳格に執行し、二審、再審にて開廷審理を必要としない場合を制限。裁判文書の作成をより一層規範化。裁判文書の調査申立てをする範囲及び方式を規定。(第333条等)

(4)証拠の審査及び利用を規範化。挙証証明責任分配の原則に係る規定を追加、期間を徒過する挙証及びその結果につき段階、事由に応じた処罰を規定、裁判官による証拠調べ及び認証に係る規定の追加、裁判官による証拠調べ及び認証活動を手引きし、及び規範化、裁判官による証拠審査・判断の原則に係る規定を追加、裁判官による証拠審査・判断の理由及び結果の公開を要求、専門家による補助、鑑定、検証制度等の問題につき規定。(第91条、第105条等)

(5)民事裁判業務の効率を適切に引き上げる。各訴訟手続に関する期間及び送達問題を規定、簡易手続案件及び少額訴訟案件の適用範囲、手続転換、判決文書簡潔化等の内容を完全化。裁判前準備及び開廷前会議制度に係る規定を増加。担保物権の実現に関する特別手続案件の申立資格、提出資料及び審査範囲、審理方式等の内容を規定。(第224条等)

(6)信義誠実の原則を貫徹:信義誠実の原則に違反する行為に制裁を加える規定を増加、虚偽訴訟行為に制裁を加える規定を増加、当事者がありのままに陳述する旨の宣誓書に署名し、証人がありのままに証言する旨の宣誓書に署名する手続及結果を規定、信用喪失被執行人リスト制度規定を増加。(第190条、第518条等)

(7)公益訴訟制度の完全化:公益訴訟提起に係る受理条件の規定を精密化、公益訴訟案件の管轄裁判所を明確化、告知手続を規定、公益訴訟と私益訴訟の関係を調整、公益訴訟案件が和解及び調停可能であることを規定、公益訴訟の原告による訴えの取下げに係る制限的規定を作成(第284条等)

(8)法廷規律をより一層完全化。(第176条等)

2.今後の注意点

当該司法解釈は人民法院が民事訴訟法を適用する際の関連する問題について、全面的に系統的かつ明確な具体的規定をし、有史来最高人民法院による条文が最も多く、文章が最も長い司法解釈であり、内容が最も豊富かつ非常に重要な司法解釈であり、有史来起草に参加する部門が最多、かつ起草に参加する人員が最多の最高人民法院による司法解釈でもあり、人民法院による審理及び執行業務において最も広範に適用される司法解釈である。企業に特別にご注目いただけるよう希望する。

(全552条)

 

三.環境民事公益訴訟案件の審理における法律の適用に係る若干の問題に関する最高人民法院の解釈

2015年1月6日公布 2015年1月7日施行

http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-13025.html

1.主な内容

(1)「社会組織」の範囲を明確化。法律・法規の規定により、区を設ける市級以上の人民政府の民政部門に登記する社会団体、民間非企業単位及び基金会等は、『環境保護法』第58条所定の社会組織として認定することができる。社会組織の定款が規定する目的及び主たる業務範囲が社会公共利益の維持・保護であり、かつ、環境保護公益活動に従事する場合には、『環境保護法』第58条所定の「環境保護公益活動に専門的に従事」しているとみなすことができる。(第2条、第4条)

(2)社会組織が訴訟を提起する前の5年内に従事した業務活動が法律・法規の規定に違反して行政及び刑事処罰を受けたことがない場合には、『環境保護法』第58条所定の「違法記録がない」として認定することができる。(第5条)

(3)管轄法院を明確化した。環境民事公益訴訟案件の第一審は、環境汚染及び生態破壊行為の発生地、損害結果の発生地又は被告住所地の中級以上の人民法院が管轄する。(第6条)

(4)検察機関、環境保護監督管理職責を負う部門その他の機関、社会組織及び企業事業単位は『民事訴訟法』第15条の規定により、法律コンサルティングの提供、書面による意見の提出及び調査・証拠収集への協力等の方法により社会組織が法により環境民事公益訴訟を提起するのを支持することができる。(第11条)

(5)人民法院は、環境民事公益訴訟の受理後10日内に、被告行為につき環境保護監督管理職責を負う部門に告知しなければならない。(第12条)

(6)原告が被告にその排出する主たる汚染物の名称、排出方法、排出濃度及び総量、基準超過排出状況並びに汚染防止・処理施設の建設及び運用状況等の環境情報を提供するよう申し立て、被告が保有すべきであることを法律、法規及び規則が規定し、又は被告が保有することを証明する証拠があるが被告がこれを拒否して提供しない場合において、原告が主張する関連する事実が被告に有利でないときは、人民法院は、当該主張の成立を推定することができる。(第13条)

(7)原告が訴訟過程において承認する自己に不利な事実及び認可する証拠について、人民法院が社会公共利益を損なうことを認める場合には、これを確認してはならない。(第16条)

(8)環境民事公益訴訟案件の審理過程において、被告が反訴により訴訟請求を提出する場合には、人民法院はこれを受理しない。(第17条)

(9)環境を汚染し、生態を破壊し、すでに社会公共利益を損ない、又は社会公共利益を損なう重大なリスクがある行為について、原告は、被告が侵害停止、妨害排除、危険除去、原状回復、損害賠償及び謝罪等の民事責任を負うよう申し立てることができる。(第18条)

(10)原告が原状回復を申し立てる場合には、人民法院は、法により被告に対し生態環境を損害発生前の状態及び効能を回復するよう判決することができる。完全に修復するすべがない場合には、代替的修復方法の採用を許可することができる。(第20条)

(11)生態環境修復費用の確定が困難であり、又は具体的な金額の確定に必要な鑑定費用が明らかに高額である場合には、人民法院は、環境を汚染し、生態を破壊する範囲及び程度、生態環境の稀少性、生態環境を回復する難易度、汚染防止・処理設備の運用コスト、被告が侵害行為により得られる利益並びに過失程度等の要素を考慮し、かつ、環境保護監督管理職責につき責任を負う部門の意見、専門家意見等を参考し、合理的に確定をすることができる。(第23条)

(12)環境民事公益訴訟の当事者が調停協議を成立させ、又は自ら和解協議を成立させた後に、人民法院は協議内容を公告しなければならず、公告期間は30日を下回らない。公告期間の満了後に、人民法院は、審査を経て和解協議の内容が社会公共利益を損なわないことを認める場合には、調停書を発行しなければならない。(第25条)

(13)環境保護監督管理職責につき責任を負う部門が法により監督管理職責を履行し、原告に係る訴訟請求のすべてを実現させ、原告が訴えを取り下げる場合には、人民法院は、これを許可しなければならない。(第26条)

2.今後の注意点

当該司法解釈に基づき、法律所定の機関及び社会組織が環境民事公益訴訟を提起した場合には、同一の環境汚染、生態破壊行為により人身及び財産の損害を被る公民、法人その他組織が『民事訴訟法』第119条の規定により別途訴訟を提起することに影響を与えない。(全35条)

作成日:2015年03月13日