最新法律動向

2015年1月公布の重要法規解説

国務院に授権して中国(広東)自由貿易試験区、中国(天津)自由貿易試験区、中国(福建)自由貿易試験区及び中国(上海)自由貿易試験区の拡張区において関係する法律規定の行政審査・許可を暫定的に調整させることに関する決定

『企業人員削減規定(意見募集稿)』の意見公募に関する通知

環境保護主管部門生産制限及び生産停止・整頓実施弁法

中華人民共和国外国投資法(草案意見募集稿)

消費者権益侵害行為処罰弁法

 

一、      国務院に授権して中国(広東)自由貿易試験区、中国(天津)自由貿易試験区、中国(福建)自由貿易試験区及び中国(上海)自由貿易試験区の拡張区において関係する法律規定の行政審査・許可を暫定的に調整させることに関する決定

2014年12月28日公布、2015年3月1日施行

http://www.npc.gov.cn/npc/xinwen/2014-12/29/content_1891931.htm

より一層改革を深化し、開放を拡大し、政府職能の転換を加速するため、第12次全国人民代表大会常務委員会第12回会議は、次のように決定した。国務院に授権して、中国(広東)自由貿易試験区、中国(天津)自由貿易試験区、中国(福建)自由貿易試験区及び中国(上海)自由貿易試験区の拡張区において、『中華人民共和国外資企業法』、『中華人民共和国中外合資経営企業法』、『中華人民共和国中外合作経営企業法』及び『中華人民共和国台湾同胞投資保護法』所定の関係する行政審査・許可を暫定的に調整させる。ただし、国が参入許可特別管理措置の実施を規定する場合を除く。上記行政審査・認可の調整は3年内に試行し、実践において実行可能であると証明されたものについては、関係する法律を改正して完全化させる。実践において調整すべきでないと証明されたものについては、関係する法律規定の実施を回復する。

 

二、      『企業人員削減規定(意見募集稿)』の意見公募に関する通知

2014年12月31日公布

http://www.chinalaw.gov.cn/article/cazjgg/201412/20141200397923.shtml

企業による人員削減行為を規範化し、従業員及び企業の適法な権益を維持・保護するため、『中華人民共和国労働契約法』に基づき、人力資源社会保障部は、『企業人員削減規定(意見募集稿)』を検討・起草し、ここに社会に向け公開して意見を募集する。公衆は中国政府法制情報ネット(http://www.chinalaw.gov.cn)、人力資源社会保障部ウェブサイト(http://www.mohrss.gov.cn)へのアクセス等により意見をフィードバックすることができ、フィードバックの締切りは2015年1月31日までである。

 

三、      環境保護主管部門生産制限及び生産停止・整頓実施弁法

2014年12月19日公布、2015年1月1日施行

http://www.zhb.gov.cn/gkml/hbb/bl/201412/t20141224_293385.htm

1.主な内容

(1)県級以上の環境保護主管部門が汚染物排出基準又は重点汚染物排出総量コントロー

ル指標を超えて汚染物を排出する企業、事業単位その他の生産経営者(以下「汚染

物排出者」という。)に対し、生産制限及び生産停止・整備措置を講ずるよう命ずる

場合には、この弁法を適用する。(第2条)

(2)環境保護主管部門が生産制限及び生産停止・整頓決定をする場合には、汚染物排出者

   に対し違法行為を是正し、又は期間を限り是正するよう命じ、かつ、法により行政処罰をしなければならない。(第3条)

(3)汚染物排出者が汚染物排出基準又は重点汚染物日最高排出許可総量コントロール指

   標を超過する場合には、環境保護主管部門は、その者に生産制限措置を講ずるよう命ずることができる。(第5条)

(4)汚染物排出者に次に掲げる事由のいずれかがある場合には、環境保護主管部門は、

   その者に生産停止・整頓措置を講ずるよう命ずることができる。地下パイプ、浸透井

戸、浸透坑、灌注、モニタリングデータの改ざん若しくは偽造又は汚染防止施設の不正運用等の監督・管理を逃れる方法により汚染物を排出し、汚染物排出基準を超える場合。重金属及び持続的有機汚染物等を含む、環境及び人体の健康に重大な危害を及ぼす汚染物を違法に排出し、汚染物排出基準の3倍を超える場合。重点汚染物排出総量年度コントロール指標を超えて汚染物を排出する場合。生産制限を命じられた後になお汚染物排出基準を超えて汚染物を排出する場合。突発事件により汚染物の排出が排出基準又は重点汚染物排出総量コントロール指標を超える場合等。(第6条)

(5)汚染物排出者に次に掲げる事由のいずれかがある場合には、環境保護主管部門が認

可権を有する人民政府に報告し、営業停止及び閉鎖を命じさせる。2年内に重金属及び持続的有機汚染物等の有毒物質を排出して汚染物排出基準を超え、2回以上の行政処罰を受け、再度前述の行為を実施した場合。生産停止・整頓を命じられた後に拒否して生産停止をせず、又は無断で生産を回復する場合。生産停止・整頓決定の解除後に、再度同一の違法行為を実施したことが追跡検査により発見された場合等。(第8条)

(6)環境保護主管部門が生産制限、生産停止・整頓の決定をする前に、汚染物排出者に関

係する事実、依拠並びにその者が法により享受する陳述及び弁明権又は聴聞を要求

する権利を告知しなければならない。同一の違法行為に対し行政処罰をする場合には、行政処罰事前告知書又は行政処罰聴聞告知書において一括して告知することができる。(第11条)

(7)生産制限は、通常3カ月を超えない。状況が複雑である場合には当該級の環境保護

主管部門の責任者による認可を経て延長することができるが、延長期間は3カ月を超えてはならない。生産停止・整頓の期間は、生産停止・整頓決定書が汚染物排出者に送達された日から、生産停止・整頓決定が解除される日までである。(第15条)

2.今後の注意点

当該弁法に基づき、汚染物排出者は、生産制限を命ずる決定書又は生産停止・整頓を命ずる決定書を受領した後、ただちに是正をし、かつ、15業務日内に是正方案を上記の決定をした環境保護主管部門に届け出て記録に止め、かつ、社会に公開しなければならない。是正方案は、是正措置、工事進度、資金保障及び責任人員等の事項を確定しなければならない。汚染物排出者が生産制限、生産停止・整頓を解除した後に、環境保護主管部門は、解除の日から30日内に汚染物排出者に対し追跡検査をしなければならない。(全22条)

 

四、  中華人民共和国外国投資法(草案意見募集稿)

2015年1月19日公布

http://www.mofcom.gov.cn/article/ae/ag/201501/20150100871007.shtml

2015年1月19日、商務部は『中華人民共和国外国投資法(草案意見募集稿)』を公布し、社会に向け意見を公募した。現行の『中外合資経営企業法』、『外資企業法』及び『中外合作経営企業法』(以下「外資三法」という。)は、我が国が外資を誘致する際の法的基礎を打ち立て、改革開放という歴史的かつ偉大なプロセスを推し進めるために大きな貢献をした。内外の情勢変化に伴い、現行の外資三法は、改革の全面的な深化及び開放のより一層の拡大という需要にすでに適応しなくなっている。まず、外資三法が確立する案件ごとの審査・認可という管理モデルは、開放型の新経済体制の需要に適応できず、市場の活性化及び政府職能の転換に有利ではない。次に、外資三法における企業の組織形態及び経営活動等に関する規定には、『会社法』等の関係する法律と重複ひいては衝突する部分が存在する。更には、外資による買収及び国家安全審査等の重要制度について、外国投資に係る基礎的法律に組み入れ、かつ、より一層完全化させる必要がある。

『第12期全国人民代表大会常務委員会立法規画』及び『国務院2014年立法業務計画』に基づき、商務部は、『中外合資経営企業法』、『外資企業法』及び『中外合作経営企業法』の改正業務を開始し、『中華人民共和国外国投資法(草案意見募集稿)』を作成した。外資三法修正の基本的方向は、「三法合一」であり、一つの『外国投資法』として統一して制定する。新時代の『外国投資法』は、体制改革を深化する法、対外開放を拡大する法、外商投資を促進する法、外資管理を規範化する法として位置づけられなければならない。

草案意見募集稿は、外商投資企業の組織形態及び経営活動を主な規制対象とはしない。外商投資企業の組織形態及び経営活動については、内外資一致の原則に従い、統一して『会社法』等の法律・法規を適用する。また草案意見募集稿は、企業類型ごとに異なる規則を適用せず、外国投資家がどのような類型の企業を設立し、どのような方法により中国で投資するかを問わず、原則上、統一して『外国投資法』を適用する。

 

五、消費者権益侵害行為処罰弁法

2015年1月5日公布  2015年3月15日実施

http://www.gov.cn/xinwen/2015-01/16/content_2805339.htm

1.主な内容

(1)工商行政管理部門は、『消費者権益保護法』等の法律・法規により、消費者が生活

   消費のために商品を購買し、及び使用し、又はサービスを受ける必要があるという権益を保護し、経営者による消費者権益を侵害する行為に対し行政処罰をする。(第2条)

(2)経営者は、商品又はサービスを提供する際に次に掲げる行為をしてはならない。

販売する商品又は提供するサービスが人身及び財産の安全を保障するという要求に適合しないこと。効力を失い、及び変質した商品を販売すること。産地を偽造し、他人の工場名及び工場所在地を偽造し、又は冒用し、生産日時を改ざんした商品を販売すること。認証標識等の品質標識を偽造し、又は冒用した商品を販売すること。販売する商品又は提供するサービスが他人の登録商標専用権を侵犯すること等。(第5条)

(3)経営者が消費者に提供する商品又はサービスに関する情報は、真実、全面的かつ

正確でなければならず、虚偽又は誤解を招く宣伝行為があってはならない。(第

6条)

(4)経営者が商品又はサービスを提供する際には、法律の規定又は当事者が約定する

修理、再製作、交換、返品、商品数量の補足、商品代金及びサービス費用の返金又は損害賠償等の民事責任を負わなければならず、消費者の適法な要求を故意に引き伸ばし、又は理由もなく拒絶してはならない。(第8条)

(5)経営者が前払い方式により商品又はサービスを提供する場合には、商品又はサー

ビスの数量及び品質、価格又は費用、履行期限及び方式、安全注意事項及びリスク警告、アフターサービス、民事責任等の内容を消費者と明確に約定しなければならない。約定どおりに商品又はサービスを提供しない場合には、消費者の要求に従い約定を履行し、又は前払金を返金しなければならず、かつ、前払金の利子及び消費者が支払うべき合理的費用を負担しなければならない。返金につき約定がない場合には、消費者に有利な計算方式に従い返金額を換算する。経営者は、消費者が提出する合理的な返金要求に対し、明確に返金しない旨を表明し、又は約定期限が満了した日、若しくは約定期限がない場合には消費者が返金要求を提示した日から15日を経過しても返金しないときは、故意の引伸し又は不当な拒絶であるとみなす。(第10条)

(6)経営者が消費者の個人情報を収集し、使用する場合には、適法、正当かつ必要で

   あるという原則を遵守し、情報を収集し、使用する目的、方式及び範囲を明示し、

かつ、消費者による同意を経なければならない。(第11条)

(7)経営者が消費者に商品又はサービスを提供する際に様式条項、通知、声明、店内

告知等を使用する場合には、明白な方式により消費者と重大な利害関係を有する内容を提示し、かつ、消費者の要求に従い説明をしなければならず、次に掲げる内容の規定をしてはならない。(第12条)

2.今後の注意点

この弁法に基づき、工商行政管理部門が法律・法規及びこの弁法の規定により経営者に行政処罰をする場合には、経営者の信用档案に記入し、かつ、企業信用情報公示システム等により適時に社会に公布しなければならない。企業は、『企業情報公示暫定施行条例』の規定に基づいて、企業信用情報公示システムにより適時に社会に対し関連する行政処罰情報を公布しなければならない。(全22条)

作成日:2015年01月29日