最新法律動向

2014年12月公布の重要法規解説

  税収等に係る優遇政策の整理及び規範化に関する国務院の通知

  重点分野の投資・融資メカニズムを新規創造し、社会の投資を奨励することに関する国務院の指導意見

  『預金保険条例(意見募集稿)』の意見公開募集に関する国務院法制弁公室の通知

  固定資産の加速減価償却に係る税収政策に関係する問題に関する国家税務総局の公告

  一般租税回避管理弁法(試行)

一、税収等に係る優遇政策の整理及び規範化に関する国務院の通知

2014年12月9日公布、同日施行

http://www.gov.cn/zhengce/content/2014-12/09/content_9295.htm

  1. 主な内容

(1)  法令違反又は公平な競争に影響をもたらす政策はすべて整理及び規範化の範囲に組み入れる必要があり、法令に違反する優遇政策を断固として廃止し、世界貿易機構の規則及び中国の対外的約束に一致するよう実行する。(第2条)

(2)  税収法定の原則を堅持し、専門の税収法律・法規及び『中華人民共和国民族区域自治法』所定の税制管理権限に依拠する場合を除き、各地区はすべて自ら税収優遇政策を制定してはならない。国務院による承認を経ないで、各部門は他の法律、法規、規則、発展規画及び区域政策を起草する際にいずれも具体的な税収優遇政策を規定してはならない。(第3条)

(3)  企業に対し、法規に違反して行政事業性費用収受及び政府性基金を減免し、又は猶予し、優遇価格又はゼロ価格により土地を譲渡することを厳禁する。国務院による承認を経ないで、企業に対し、統一して規定された税率を下回る納付を許可してはならない。(第3条)

(4)  国務院による承認を経ずに、各地区及び各部門は、企業に対し財政優遇政策を規定してはならない。徴収後の還付、収支への計上、助成、代理納付又は助成等の形式による土地譲渡収入への減免等を含む、法令に違反して企業及びその投資家(又は管理者)の納税又は非課税収入に関連する財政支出につき優遇政策を制定した場合には、断固として取り消す。(第3条)

(5)  情報公開及び通報制度を確立する。目録リスト制度の確立について、国の秘密及び安全にかかわる事項を除き、税収等に係る優遇政策の制定、調整又は取消し等の情報については、目録リストを形成し、かつ、適当な形式により適時かつ完全に社会に公開する必要がある。通報制度を確立し、各方面に対し、法令に違反して税収等にかかる優遇政策行為を制定・実施する行為を監督するよう奨励・指導する。(第5条)

  1. 今後の注意点

本通知が出された背景として、近年区域経済の発展を推し進めるために、一部の地区及び部門が特定の企業その他の投資家(又は管理者)等に対し、税収及び非課税等の収入並びに財政支出等の分野において優遇政策を実施しており、一定程度、投資の増長及び産業の集積を促進した。しかし、一部の税収等に係る優遇政策は、市場秩序をかく乱し、国のマクロコントロール政策効果に影響を及ぼし、ひいては我が国の対外約束に違反し、国際貿易摩擦を誘発するおそれがある。そのため、統一的開放、秩序ある競争のある市場メカニズムを建設し、地方保護及び不正競争を反対するため、この通知を出した。

(全6条)

二、重点分野の投資・融資メカニズムを新規創造し、社会の投資を奨励することに関する国務院の指導意見

2014年11月26日公布、同日施行

http://www.gov.cn/zhengce/content/2014-11/26/content_9260.htm

  1. 主な内容

(1)  森林資源の厳格な保護を前提とし、社会資本による生態建設及び保護への積極的な参与を奨励する。社会資本が未植林地を利用し植樹造林をする場合には、生態効果・利益を保障し、かつ、土地用途管理規制制度の要求に適合することを前提として、林下経済及び森林資源等のエコ産業を発展させることを許可する。(第2条)

(2)  環境汚染整備・処理の市場化を推し進める。電力及び鉄鋼等の重点業種並びに開発区

(工業園区)の汚染整備・処理等の分野において、環境汚染への第三者により整備・処理を強力に推し進め、汚染物質排出企業が費用を支払い専門環境サービス会社の汚染整備・処理及び排出削減サービスを購入する。政府が社会のために環境モニタリングサービスを購入することを着実に推し進める。重点業種における第三者汚染整備・処理企業に係る推薦制度を確立する。(第2条)

(3)  汚染物質排出権の有償利用及び取引試行を推し進め、汚染物質排出権の有償利用制度を確立し、社会資本による汚染物質排出削減及び汚染物質排出権取引への参与を奨励しする。国内における炭素排出権取引制度の試行を推し進め、社会投資家による炭素排出割当額の取引への参与を奨励し、及び支持する。(第2条)

(4)  社会資本がフランチャイズ経営並びに資本参加・株式支配等の多種の形式により、一定の収益を有する節水及び給水に係る重大水利工事の建設・運営に参与することを奨励する。(第3条)

(5)  社会資本が農田水利、水土保持施設及び節水・給水に係る重大水利工事を投資・建設し、又は運営・管理する場合には、国有及び集団投資プロジェクトと同等の政策待遇を享受する。(第3条)

(6)  政府は、経営委託又は譲渡―経営―譲渡(TOT)等の方式を採用し、すでに建設された市の政府インフラストラクチャープロジェクトを社会資本に移転・交付して運営・管理させることができる。(第4条)

(7)  社会資本による水運及び民間航空インフラストラクチャー建設への参与を奨励する。社会資本による電力建設への参与を奨励する。社会資本によるインターネット建設への参与を奨励する。(第5条、第6条)

(8)  電信業を民間資本へより一層開放することを奨励する。民間資本がブロードバンドによるインターネットへの接続及び業務運営に投資することを奨励する。(第7条)

(9) 民間資本による国の民間用インフラストラクチャー建設への参与を奨励する。民間用リモートセンシング衛生データ政策を完全化し、政府調達サービスを強化し、民間資本による商業リモートセンシング衛生の研究・製造、発射及び運営を奨励する。民間資本による衛生ナビゲーション地上応用システム建設への参与を導く。(第7条)

(10)社会資本による社会事業投資程度の強化を奨励する。独資、合資、合作、連合経営及

 びリース等のルートを通じ、フランチャイズ経営、民間による公共建設及び民間への公的補助等の方式を採用し、社会資本による教育、医療、養老、体育・フィットネス及び文化施設建設への参与を奨励する。社会勢力による教育の創生を奨励し、民営教育の健全な発展を促進する意見をなるべく早く発布する。(第8条)

(11)エクイティ投資ファンド及びベンチャー投資基金を強力に発展させ、民間資本による私募等の方式による主に公共サービス、生態環境保護、インフラストラクチャー、区域開発、戦略的新興産業及び先進製造業等の分野の産業投資ファンドの設立の発起を

奨励する。政府は、中央予算内の投資を含む財政性資金を使用し、基金持分の引受け等の方式を通じ支持をすることができる。(第11条)

五、一般租税回避管理弁法(試行)

2014年月12月2日公布、2015年2月1日施行

http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c1395341/content.html

1.主な内容

(1) 適用範囲を明確化:この弁法は、企業が実施する合理的商業目的を有しない税収利益

を得る租税回避手配に対し、税務機関が企業所得税法第47条及び企業所得税法実施条例第120条の規定に従い実施する特別納税調整に適用する。(第2条)

(2) 適用しない範囲を明確化:クロスボーダー取引又は支払いと関係のない居住者企業の

間の手配。納税回避、未納付税金の追加納付への回避、税金の騙し取り、税金徴収へ

の抗議及び領収書の虚偽発行等の違法な税収行為にかかわる嫌疑のある手配。(第2条)

(3) 税務機関は、合理的商業目的及び経済実態を有する類似の手配を基準とし、実態が形式に優先するという原則に従い特別納税調整を実施しなければならない。調整方法には、次に掲げるものが含まれる。手配の全部又は部分的取引につき新たに性質を決定する。税収上で取引側の存在を否定するか、当該取引側と他の取引側を同一の実体と見なす。関連する所得、控除、税収優遇、国外税収の相殺等の新たな定義付け又は取引各側への新たな分配等。(第5条)

(4) 企業の手配が移転価格決定、原価分担、被支配外国企業及び過小資本等の他の特別納

税調整範囲に属する場合には、まず他の特別納税調整に関連する規定を適用しなければならない。(第6条)

(5)各級の税務機関は、業務の実際を考慮し、各種データを活用し、企業所得税集計計算・清算納付、納税評価、同時資料の管理、対外支払いに係る税務管理、持分譲渡取引に係る管理及び税収協定の執行等につき、適時に一般租税回避に係る事件源泉を発見しなければならない。(第7条)

(1)  主管税務機関主管税務機関は、企業に租税回避の嫌疑があることを発見した場合には、級を追って省、自治区、直轄市及び計画単列市(以下「省」という。)の税務機関に報告して再審査を受け、同意を経た後に、税務総局に報告して立件を申請する。(第8条) 

(7) 被調査企業は、その手配がこの弁法における租税回避手配に属さないと考える場合には、『税務検査通知書』を受領して60日内に次に掲げる資料を提出しなければならない。手配の背景資料、手配の商業目的などの説明文書、手配の内部政策決定及び管理資料、例えば、董事会決議、覚書、電子メール等、手配がかかわる取引詳細資料、例えば契約、補充協議、収受・支払金員証憑等。(第11条)

(8) 主管税務機関は、調査過程において獲得した関連資料に基づき、税務総局が立件に同意した日から9カ月内に審査をし、企業に租税回避手配があるか否かにつき総合的に判断し、事件につき調整をしない、又は初歩的調査方案の意見及び理由を形成し、級を追って省の税務機関に報告し再審査・同意を経た後に、税務総局に報告して事件の結了を申請する。(第16条)

2.今後の注意点

主管税務機関は、一般租税回避調査を実施する際に、企業が計画・手配する単位又は個人に関係する資料及び証明資料を提供することができ、また、現場調査、書簡発送による協力調査及び公開情報の調査閲覧等の方式を採用して審査・確認することができる。国外の関係資料を得る必要がある場合には、関係する規定に従い税収情報交換手続を開始し、又は我が国外国駐在機構を通じて関係する情報を調査・収集することができる。(全22条)

 

 

 

 

 

 

 

 

作成日:2015年01月16日