最新法律動向

ノキア 無断欠勤を理由に、葬儀に出席した従業員を解雇 従業員から訴訟を提起され、賠償金10万元を請求される

ノキア通信系統技術(北京)有限会社と固定期間のない労働契約を締結していた従業員万氏は、帰郷し葬儀に出席したことが3日間の無断欠勤にあたるとして解雇された。万氏は違法に解除された契約期間に相当する給与10.2万元余りを支払うよう労働仲裁を申し立てた。仲裁委員会と裁判所による一審では訴えを棄却されたものの、昨日の二中院の終審では一審の判決が覆され、万氏の請求を支持する旨の判決が下された。

 ◎一審

裁判所は仲裁委員会を支持し、従業員は敗訴した

2012年5月16日、ノキアは万氏の直属の上司を張氏に変更する旨のメールを送信した。2012年8月22日、張氏は万氏に電子メールを送信し、翌日望京のオフィスに転属するよう通知した。8月24日、万氏はメールで自らがまだ酒仙橋にて勤務している旨を連絡した。その当日、万氏の義母が亡くなったため、故郷の湖南へ帰り葬儀に出席し、8月28日に北京へ戻った。

2012年9月5日、会社は万氏が「直属上司の指示に従わず、連続して3日以上無断欠勤した」ことを理由に、契約を解除する決定を下した。

万氏は2013年6月に仲裁を申し立て、会社に対して引き続き契約を履行し、且つ労働契約を違法解除された契約期間計10ヶ月における給与、102,400元を支払うよう請求した。仲裁委員会は万氏の請求を棄却した。

その後、万氏は裁判所に対して訴訟を提起した。まず、万氏は張氏が自身の直属の上司ではないと思い、メールによる通知に疑問があったため、複数の同僚に確認したが回答は得られなかったと主張した。

次に、義母の逝去後、彼は休暇前に電子メールによって会社に対し忌引休暇を申請していたと主張した。会社の休暇申請規定では、従業員が関連する証明を提出した場合、6日間の忌引休暇を取ることができるとされている。万氏は関連する証明が何を指すか分からなかっため、メールにて複数の担当者に確認を試みたが、明確な回答を得られなかった。そこで、彼は業務を同僚に引き継いだ後、故郷に帰郷した。

一審の裁判所は審理を経て、仲裁判断を支持し、万氏へ敗訴の判決を下した。万氏は北京市の二中院に上訴した。

 ◎二審

裁判所は一審判決を覆し、従業員の全請求を支持する判決を下した

市二中院は審理を経て、ノキアによる万氏との労働契約解除が適法であるかどうかが、本案件の焦点であると認定した。

裁判所は、ノキアが電子メールのみによって万氏に通知した今回の人事異動について、万氏は確認できず、会社に問い合わせたが、会社は有効な告知義務を履行しなかったとした。また、張氏が発行した転属通知はスキャニングされた不鮮明な文書であったため、万氏が転属の決定を履行せず、且つ会社に対して書面による正式な通知を提供するよう要求したことは、不当ではないとした。

万氏は休暇前、電子メールにて会社に休暇取得を説明し、休暇手続きの申請方法について教示するよう要求したが、担当者は明確に回答せず、会社の就業規則にもこれについて明確な説明がされていなかった。そのため、会社の主張を裁判所は信用せず、これを採用しないものとした。

万氏は転属通知を受け取った後、電子メールにて拒否を表明したが、業務を停止しなかったため、無断欠勤と認定することはできない。ノキアは万氏に対しできるだけ早く転属するよう催促しなかったし、万氏の従来のオフィスを閉鎖することもしなければ、新オフィスで勤務しない場合、無断欠勤として処理する旨の通知も行わなかったため、万氏が無断欠勤したと認定し、労働契約の解除通知を出したことは不当である。

以上の点を鑑み、裁判所はノキアによる労働契約解除は違法であると認定する。万氏の主張には法的根拠があるため、裁判所は支持する旨の終審判決を下す。原判決は不当であるため、これを却下した。

 n  解説

固定期間のない契約は「終身雇用」と同義ではない

中国の『労働契約法』第14条において、「固定期間のない労働契約とは、使用者が労働者と終了時点が確定されていない旨を約定する労働契約を指す。」と規定されている。

固定期間のない労働契約の利点は、中心的職務に就くキーパーソンの頻繁な交替がもたらす損失を、使用者が軽減できることにある。また、労働者にとっては、長期的に安定した職業に就くことができるというメリットがある。その他、『労働契約法』には、使用者が人員削減を行う際、固定期間のない労働契約を締結している従業員を優先して継続雇用しなければならないと規定されている。

但し、ここで言う終了時点が確定していないとは、終了時点のない「終身雇用」ではなく、法律に規定されている条件が満たされれば、労働者、使用者の双方とも法に基づいて労働契約を解除することができる。

(京華時報より)

 

作成日:2014年10月09日