法律相談Q&A

高温手当の支給について

Q:当社は、青島の日系メーカーです。夏本番を迎え、会社従業員は事務室に勤務する者か生産現場に勤務する者かに関わらず、会社へ高温手当の支払いを要求してきます。しかし、当社の事務室にはエアコンがあり、生産現場には扇風機等の温度低下用の設備もあります。この場合でも、当社は全従業員に高温手当を支給する必要があるのでしょうか。

 A:いわゆる高温手当の問題は、正確な法的概念ではありません。当該問題には2つの側面があります。一つは高温手当の問題であり、もう一つは防暑降温費の問題です。この二者の支給の対象、支給の根拠と基準は異なるため、混同することができません。

 高温手当は、特殊な賃金的な手当に属します。『防暑降温措置管理弁法』第17条に基づけば、「労働者が高温作業に従事する場合、高温職位手当を支給する。使用者が労働者に35℃以上の高温の気候下で屋外の露天作業を手配し、有効な措置を講じて作業場所の温度を33℃以下に下げられない場合、労働者へ高温手当を支給しなければならない。」と規定されています。ここからわかるように、高温手当は誰でも支給を受けられる訳ではなく、特殊な職位か、特殊な作業に従事する従業員に対しての賃金的な手当です。山東省には、高温手当の基準が制定されていないため、各社は自社の状況に基づいて基準を定めることができます。

 これに対し、防暑降温費とは、企業が従業員に支給する酷暑を防ぐための福利的な手当です。『山東省高温気候労働保護弁法』第9条には、使用者は労働者のために夏季防暑降温費を支給しなければならないと規定されています。山東省労働社会保障庁、山東省財政庁、山東省安全生産監督管理局、山東省国家税務局、山東省地方税務局が連名で公布した『企業従業員の夏季防暑降温費基準の調整に関する通知』(魯労社[2006]44号)によれば、次のように規定されています。「企業に在職し、正常な労働を提供している従業員は、防暑降温費の支給範囲に組み入れる。屋外作業と高温作業に従事する者には1名当たり月120元を支給する。非高温作業員には1名当たり月80元を支給する。1年を通じ、6月、7月、8月、9月の4ヶ月につき計算して支給する。従業員が正常に出勤していない場合、企業は実際の出勤状況及び正常に労働を提供した日数に基づき支給することができる。」ここからわかる通り、防暑降温費は、全従業員に対して支給する必要があるものです。

 したがいまして、従業員が35℃以上の高温気候下の露天で作業する必要があるか、生産現場の温度を33℃以下に下げることができない場合、貴社は当該部分の従業員へ高温手当を支給する必要があります。また、全従業員には、防暑降温費の支給を受ける権利があります。

作成日:2014年07月21日