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上海自由貿易試験区条例草案、審議へ

 上海自由貿易試験区(自貿試験区)条例の制定に向けた動きが加速している。4月15日午後、上海市人民代表大会常務委員会の一部委員と上海市人民代表大会代表は、自貿試験区で立法に関する調査研究を行うとともに、法規解説会を開催した。当日、上海市人民代表大会常務委員会の委員は二手に分かれて、上海暢連国際物流公司、外高橋国際工作機械センター、国家対外文化貿易基地芸術品保税倉庫を視察した。また上海自貿試験区管理委員会の戴海波副主任は自由貿易試験区の建設状況に関して報告を行い、上海市政府法制弁公室の劉華主任は自貿試験区条例の草案の解説を行った。

 来週行われる上海市人民代表大会常務委員会第十二次会議において、『中国(上海)自由貿易試験区条例(草案)』の審議が行われる予定である。

 上海自由貿易試験区条例は、上海自由貿易区の基本法と称されている。4月15日の法規解説会後の新聞発表によると条例草案は9章、全60条で構成されており、総合的な立法として、上海自貿試験区の位置づけと特徴に基づき、管理体制、貿易投資、金融、税収、総合監督管理、法治環境の建設などの分野を広く覆う総合的な制度枠組みの構築を図っている。同時に、複製、推奨が可能な制度を創造してきた経験を総括し、半年間の試験的実施において行われた一連の改革、創造的措置を、条例草案を通じて確認、完全なものとする。条例草案には、ネガティブリスト管理モデル、及び工商登記制度、貿易監督管理制度、金融制度の革新及び政府監督管理モデルの革新といった内容が含まれている。

 当日の解説会では、上海市人民代表大会常務委員会の杜悦妹、丁偉、馬新生、潘志純委員や、市人民代表の童麗蓱、呉大器代表らが、条例草案と解説内容と結びつけて、どのようにすれば創造型の立法や、条例の指導的機能とデモンストレーション効果の発揮、各地の関係する経験、方法の参考と吸収を実現できるかについてや、条例草案における自由貿易区の人材育成、情報プラットホームの相互共有、金融リスクの防止などの内容の強化、充実について、質問と交流を行った。

  当初の構想では、上海自貿試験区条例草案は「自貿試験区内企業の区外経営について、上海自貿区管理委員会に規則制定を要求することや、公衆参与度を向上させ自貿試験区の政策に関し公衆の意見を聴取する」などの点にまで及んでおり、注目すべき点も多い。

  条例制定の経緯をよく知る政府関係者によると、当初の構想では自貿試験区内企業が区外で経営を行う問題について、人民代表大会は条例の中で上海自由貿易試験区管理委員会に対しサービス業、製造業に関する規則の制定を要求するとされている。本規則は管理委員会によって今年中には制定されるものと思われるが、上海自貿試験区条例そのものは、区外経営について若干規定はするものの「詳細は決めず、大きな原則を規定する」のみであろうと考えられている。

  行政の透明度に関しては、当初の構想では条例草案において多く規定されていると言われている。事情をよく知る人物は、行政透明度に関する内容について「上海自由貿易区の政策に関しては、公衆意見を聴取しなければならず、また一定期間公衆の論評を許可し、政策制定への実質的参与を図る。規範性文書の審査制度については、審査の申立てをするのは政府部門ではなく公衆(公民、企業、関連組織)であり、もし公衆が政府発行文書によって自らの利益を侵害されていると思うときは、審査を申し入れることができる。」といった規定が含まれるであろうと分析している。

  これは中米二国間投資協定(BIT)において話し合われた政府の透明度に関する要求にある程度応えたものであり、前述の政府関係者は「もし公衆による審議が増加すれば、自貿試験区は貿易の利便化だけでなく、政府管理の透明度も要求されている、ということになり、これは自由貿易区条例草案の一大ポイントとなる」と話す。

  先立つ4月9日に、上海市人民代表大会常務委員会副主任、上海交通大学党書記の姜斯憲氏はボアオ・アジア・フォーラムにおいて、上海自由貿易試験区条例草案は「今年上半期には通過すると予想される」と発言している。

(東方早報より)

 

作成日:2014年04月17日