最新法律動向

ネットで購入した商品を返品する権利-県レベルの工商機関、ネット取引信用ファイルの作成を義務付け-

 国家工商総局は、先日、オフィシャルサイト上で『ネット取引管理弁法』(以下「弁法」)を公布した。当該弁法は、2014年3月15日より施行される。これに伴い以前施行されていた『ネット商品取引および関連サービス行為管理暫定弁法』は廃止される運びとなる。

 弁法は、県レベル以上の工商行政管理機関では、ネット商品取引および関連サービス信用ファイルを作成し、日常的な監督・検査結果、違法行為の調査・処分等を記録することを明確化した。この信用ファイルの記録に基づいて、ネット商品の経営者、関連サービス経営者は、信用ランク別の監督・管理を実施する。

最低消費基準を設けてはならない

 弁法は、ネット商品経営者が販売する商品または提供するサービスは、商品もしくはサービスの完全性を保証しなければならず、商品またはサービスを不合理にバラ売りしてはならず、最低消費基準を設けたり、別途不合理な費用を徴収してはならないことを明確化した。

 ネット商品経営者が販売する商品について、消費者は商品を受領した日から7日以内は無条件で返品する権利を持つ。ただし、次の商品は除外される。

(1)消費者がオーダーメイドしたもの。

(2)生鮮商品で腐りやすいもの。

(3)ダウンロードしたか消費者が封を開けた音楽・映像製品、コンピュータソフト等のデジタル商品。

(4)既に引き渡された新聞や定期刊行物。

これらを除き、その他商品の性質および消費者が購入の際に確認し、返品に向かない商品は無条件返品には適さない。

 消費者が返品する商品は完全でなければならない。ネット商品経営者は、返品された商品を受領してから7日以内に消費者の支払った商品代金を返金しなければならない。

定型条項を利用して取引を強制してはならない

 弁法は、ネット商品経営者、関連サービス経営者は、経営活動で使用する契約定型条項について、法律、法規、規則制度の規定に合致していなければならず、公平原則に基づいて取引双方の権利と義務を決定し、わかりやすい方法で消費者に重大な利害関係のある条項への注意を促し、なお且つ消費者の要求に基づいて説明すると規定している。

 ネット商品経営者、関連サービス経営者は、契約定型条項等の方法で消費者の権利を排除または制限してはならず、経営者の責任を減免したり、消費者の責任を増やしたり等、消費者に対して不公平、不合理な規定を設けてはならず、契約定型条項を利用し、なお且つ技術的な手段により取引を強制してはならない。

消費者の同意なく広告を送信してはならない

 弁法は、ネット商品経営者、関連サービス経営者が経営活動により消費者または経営者の情報を収集・使用する場合、合法的、正当、必要性という原則に則り、情報を収集・使用する目的と方法および範囲を明示し、且つ収集される側から同意を得ることを求めている。ネット商品経営者、関連サービス経営者が消費者または経営者の情報を収集・使用する場合、收集・使用規則を公示しなければならず、法律法規の規定に違反したり、消費者と経営者双方の約定に違反して収集してはならないとしている。

 ネット商品経営者、関連サービス経営者およびその業務に従事する者は、收集した消費者の個人情報または経営者の業務上の秘密データ情報を厳格に守秘しなければならず、漏洩したり、販売したり、違法に他者へ提供してはならない。ネット商品経営者、関連サービス経営者は、技術的な措置を講じるか、その他の必要な措置を講じ、情報の安全を確保し、情報の漏洩や紛失を防止しなければならない。情報の漏洩や紛失が発生したか発生する可能性があるという状況が生じた場合、直ちに挽回措置を講じなければならない。

 ネット商品経営者、関連サービス経営者は、消費者の同意または請求なく、または消費者が明確に拒否した場合、消費者へ広告メールを送信してはならない。

虚偽の取引により信用を高めてはならない

 弁法は、ネット商品経営者、関連サービス経営者が商品を販売するかサービスを提供する場合、『不正競争防止法』等法律の規定を遵守しなければならず、不正な競争という方法で、その他の経営者の適法的な権利および利益に損害を与えたり、社会経済の秩序を混乱させてはならないと提唱している。これと同時に、ネット技術手段またはポータルサイト等の方法を利用して、下記の不正競争行為に従事してはならない。

1.有名なウェブサイト特有のドメイン、ネーム、マークを無断で使用したり、有名なウェブサイトに似通ったドメイン、ネーム、マークを使用し、他者の有名なウェブサイトと混同させ、消費者の誤解を招いた場合。

2.政府機関または社会団体の電子マークを無断で使用するか偽造し、誤解を招く虚偽の宣伝を行った場合。

3.バーチャル物品を商品として抽選式の懸賞付き販売を行い、バーチャル物品のネット市場で約定した金額が法律法規の許す限度額を超えた場合。

4.虚偽の取り引きや、不利な評価を削除する等の方法で自己や他人の商業上の信用を向上させた場合。

5.取り引きが成立した後、事実と異なる悪意の評価によりライバルの商業上の信用を損ねた場合等。

第三者のポータルサイトが市場から撤退する場合には、3ヶ月前迄に公示する

 弁法は、第三者の取り引きポータルサイト経営者に当該ポータルサイト上で発表する商品およびサービス情報の内容ならびに発表日時の審査、記録、保存を義務付けると規定している。ポータルサイト内の経営者の営業許可証または個人の真実の身分情報を記録保存しておく期間は、経営者がポータルサイトの登記を抹消した日から少なくとも2年とし、取引記録等その他の情報の記録のバックアップを保存しておく期間も取引成立の日から少なくとも2年と規定している。

 第三者の取り引きポータルサイトの経営者がポータルサイトサービスの提供を終了しようとする場合、少なくとも3ヶ月前迄にそのウェブサイトのホームページの目立つ位置に公示し、なお且つ関連する経営者および消費者へ通知し、必要な措置を講じて、関連する経営者および消費者の適法的な権利および利益を保護しなければならない。

 第三者ポータルサイト経営者が消費者権利・利益保証金制度を設けることを奨励する。消費者権利・利益保証金は、消費者の権利・利益の保障に用い、これを横領してはならず、その使用状況は定期的に公開しなければならない。

 第三者ポータルサイト経営者とポータルサイト内の経営者が合意の上で消費者権利・利益保証金制度を設けた場合、この双方は消費者者権利・利益保証金の中から取り出す金額、その管理、使用および返却方法等について明確に約定しなければならない。

(法制ネットより)

作成日:2014年02月24日