最新法律動向

戸籍制度改革に初めてロードマップを作成-2020年に新たな戸籍制度を制定、戸籍移動政策を調整完備-

中国共産党の第18期中央委員会第3回総会における「戸籍制度改革を速めること」の手配について、社会から高い注目が集まっている。戸籍制度改革を速める上でのポイントと難しさはどこにあるのか。どのような原則を踏まえる必要があるのか。ロードマップはあるのか。

 12月17日、この注目を集めている問題について、「法制日報」の記者は公安部の黄明副部長(以下「副部長」)にインタビューを行った。

1.戸籍の都市化のレベルを安定的に向上させる

記者: 中国共産党の第18期中央委員会第3回総会における「戸籍制度改革を速めること」の手配について、そのポイントはどこにあると思われますか。

副部長: 戸籍制度改革を速めることは、中国共産党の第18回全国代表大会および第18期中央委員会第3回総会にて手配することが決まった改革のポイントで、中国の特色ある新たな都市化を推進する上での重大な任務である。これは無数の農村から都市に出てきた人々に「市民になる夢」を実現するために重大な措置である。先ごろ終了したばかりの国の都市化業務会議においては、「人を中心とした都市化」という方針が明確に打ち出され、能力のある者が都市で安定的に就労し生活することを促進し、住民の秩序ある市民化を実現を促進することを最重要課題とした。第18期中央委員会第3回総会の手配に基づいて、今回の戸籍制度改革では、関連分野の改革を同時に手配すること、共同で推進すること、関連する地域が広いこと、人員が多いこと、レベルの高いことなど、いずれも前代未聞のことである。

 戸籍制度改革を速めることのポイントは、戸籍移動政策を調整完備し、能力のある者が都市で安定的に就労し生活することを促進し、定住住民の秩序ある市民化を実現することにある。この主な任務は、既に都市に移動して就労している農村戸籍の人々の定住問題を解決し、戸籍の都市化レベルを安定的に向上させ、都市の基本公共サービスが住民全てをカバーするようにすることを安定的に推進する。

2.三つのハイレベルの問題が解決していない

記者:戸籍制度改革を速めることの難しさは、どこにあるのですか。

副部長:中国で改革開放政策が開始されて以来、戸籍制度改革は一貫して行われてきた。そして一定の成果も上げてきた。多くの地域で積極的で有効な実験が行われ、貴重な経験が蓄積されてきた。しかし一部のハイレベルの矛盾と問題は解決していない。これは三つの点に端的に現れている。一つ目は戸籍に付属する利益が多いため、これを徐々に剥離する必要があること。戸籍管理制度そのものの改革は複雑ではない。カギとなる問題は、多くの公共サービスと社会福祉政策が戸籍とリンクしており、これが形作られた期間も長いため、これに関わる分野が多く、協力を求めることが難しく、付帯する改革も必要で、協力して難関に挑まなければならないということである。二つ目は、都市と農村の間、地域と地域の間、都市と都市の間での差が大きいため、合理的なリードが必要ということである。直轄市、副省レベルの都市、省政府所在地の市と東部都市の資源的なメリットは明らかであり、多くの人口を流入している。これらの都市では普遍的に人口増加と資源、環境の矛盾が激化し、環境汚染、交通渋滞等の「都市病」問題が著しく、その負担が大きい。
 これに比べて中小の都市と小型の町には発展スペースが残されており、その潜在力も大きい。しかしそれを支える産業の発展と公共サービス機能の充実には、まだ発展の段階を踏む必要があるため、人々を引き寄せる能力には不足している。これには、政策的なリード、産業上のリード、観念上のリードを強める必要があり、産業配置の調整を速め、重点的に小型の町を発展させ、中小の都市の産業許容能力を強化し、就労により人口の集中を促進し、人々の現地就労と至近地就労をリードし、人口の合理的で均衡の取れた分布を徐々に実現していく。三つ目は、異なる種類の人々には異なる要望があるため、全体に気を配る必要がある。戸籍制度改革は、多くの家々に関わり、多くの市民の切実な利益に関わっている。人々の高い期待と要望の多元化を行うためには、異なる種類の人々の利益上の要望を充分に尊重し、全体に気を配る必要がある。ポイントを強調し、全体に気を配り、分類し、ステップを分けて秩序ある推進が必要であり、最大限改革の配当という恩恵に浴するようにし、より多くの市民の適法な権利と利益を維持・保護するようにする。戸籍制度改革を速めることは確かに難しい課題である。我々は、中国共産党中央、国務院の力強いリーダーシップのもと、各レベルの共産党委員会政府と密接に連携を保ち、各関係機関と心を一つにして、困難を克服し、実務において改革の難題を解決し、改革の目標を実現することができると信じている。

3.個人の意向を尊重し、秩序ある実施を進める

記者:これらのポイント、難しい問題に対して、改革ではどのような原則を貫く必要があるのでしょうか。

副部長:現在、戸籍制度改革を速めるにあたり、若干の重要な原則を把握する必要がある。1つ目は意向を尊重することである。人を基本という立場を堅持し、市民の自主的な定住の意向を充分尊重し、市民に都市で生活したいかどうか、どの都市で生活したいか、いつ都市で生活するかは、いずれも市民が自主的に選択することであり、農村人口を無理矢理都市へ連れてきたり、定住させてはならない。徐々に基本公共サービスレベルを向上させ、農村人口の都市への流入、その他の住民の適法な権利および利益を確かに保障する。2つ目は、種類を分けて実施することである。国家レベルで政策的な手配を行い、全体的な需要を明確化し、各地が異なる資源環境に基づいて、受け入れ能力と発展の潜在的な可能性を総合的に勘案する。現地の具体的な状況に基づいて適切な措置を講じ、社会に向けて公布する。農村人口の移転およびその他定住人口に基づいて異なる都市の定住条件を理解し、合理的に自らの未来設計を行い、市民に安定的で予期できる希望を与える。3つ目は、秩序立てて推進する。中国が社会主義の初級段階にあり、人口大国であるという基本的な国情に立脚し、都市化の発展リズムに従い、優先的に量の問題を解決し、秩序のある増量をリードする。積極性も必要であれば、安定性も必要であり、安定的である上に、着実性も必要であり、波風も立てなければ、冒険もせず、変な運動も起こさないようにする。

4.戸籍制度改革の道筋を明確化し、これを速める

記者:戸籍制度改革を早めるための具体的なロードマップはあるのですか。

副部長: 中国共産党の第18期中央委員会第3回総会では、以下の方針が明確に打ち出された。「戸籍制度改革を速め、全面的に鎮および放开建制镇和小城市定住制限を撤廃し、中等城市定住制限を秩序立てて放し、大城市定住条件を合理的に确定し、最大の都市人口规模を厳格的に支配する。」これは、戸籍制度改革を速めるためにその道筋と要求を明確化したものである。

 中国共産党中央、国務院の手配の要請に基づいて、公安部は国家発展改革委員会等の12の機関の共同の業務部会を立ち上げ、広汎かつハイレベルな調査研究および各地の経験を総括した上で、検討を重ねて具体的な政策措置を提出し、『戸籍制度改革を速めることに関する意見』稿を作成した。なお且つ6の機関が作業グループを率い、東中西部の省区市より意見を聴取した。現在、国の都市化に関する業務会議の精神と各地の意見に基づいて『意見』稿へ更なる修正と調整が行われている。全体的な考え方としては、戸籍制度改革業務全体を規則的、状況に応じて有利に事を運び、全体の利益のもとに配備し、秩序だって推し進め、良い効果が得られることを保証する。国の審査認可が下り、手配がされた後、我々は関係機関と共に作業を実施し、各地の具体的な状況に基づいて検討し、差別化された定住政策と実施案を制定する。

 戸籍制度改革を速めるには、中流社会の建設とトータルなリンクさせ、新たな都市化と共に行うことが必要である。具体的にいうと戸籍制度そのものは、2020年までに基本的に適法で安定した住所と適法で安定した職業に基づいて戸籍を移動することを基本的な条件として、現住所にて戸籍と登録することを基本形式とし、都市と農村戸籍を統一し、人を基本とし、科学的かつ高効率、規則化されて秩序のある新たな戸籍制度を制定することを目標としている。

記者:国の都市化業務会議は「安定的に戸籍人口の都市化レベルを引き上げる」という方針を打ち出しましたが、この問題に対する表現の仕方をどのように理解されますか。

副部長:「安定的に戸籍人口の都市化レベルを引き上げる」は極めて重要である。現在、中国の都市化率が52.6%に達した。これは定住人口を基数として計算したものである。ただし、戸籍人口に基づいて計算した場合、都市化率は35.3%に過ぎない。これは大量に都市へ移動してくる定住の農村人口が都市戸籍ではなく、「半市民化」状態にあることを説明するものであり、多くの地方では定住のハードルは依然として高いことを説明し、一部の都市では人々を惹きつける能力が不足している。今回の会議で「安定的に戸籍人口の都市化レベルを引き上げる」という方針を打ち出した目的は、人を中心とする都市化を推進し、徐々に定住人口と戸籍人口の2つの都市化率の差を縮小し、条件に適合する農村から移動してきた人口が真に市民化を実現し、都市社会に溶け込み、人々の生活レベルと質をレベルアップする。

5.人口管理システムを構築し、3項目の制度を整備する

記者: 第18期中央委員会第3回総会における『決定』は個性制度改革を速める手配をすると共に、「人口管理システム」の構築という方針を明確に打ち出しました。この点について公安部は、どのようにお考えですか。

副部長:人口管理システムを構築することは、国の統治システムと統治能力を近代化するという内政的な要請によるものである。現在、戸籍制度改革を速めると同時に、3項目の制度を整備する必要がある。1つ目は、都市と農村で統一の戸籍登記制度を確立し、都市と農村住民間の身分差別を撤廃する。都市と農村の障壁を取り除き、都市と農村の発展の一体化のために有利な条件を作る。2つ目は、住民票制度を確立し、住民票を媒体として、居住年数等の条件とリンクした健全な基本公共サービスを提供するシステムを確立し、まだ定住条件を備えていないか、都市への定住を望まない人々の教育、就労、医療等の基本公共サービス保障の問題を解決する。居住年数等の条件とリンクしたポイント制の定住制度を確立し整備する。公平で秩序ある定住のため段階的な政策ルートを提供する。これと同時に、都市の経済社会発展計画を策定するため、インフラ建設を手配し、公共政策を制定する等の根拠を提供する。3つ目は、実際に居住する人口登記制度を健全化し、中国の全人口をカバーする国家人口基礎情報バンクを建設し、これを整備し、地域を跨ぐ人口流動サービスと管理にサポートを提供し、人が移動したら、サービスと管理もそれについていくという行政サービスを提供できるように努める。

 

(法制ネットより)

作成日:2014年02月12日