法律相談Q&A

新出入国管理法について

Q:7月より新しい『出入国管理法』が施行されたと聞きましたが、要点・注意点について教えてください。

A:昨年6月30日、中国の国会にあたる全人代常務委員会より公布された『出入国管理法』が今年7月1日より正式に施行されました。また7月12日には国務院より新たな『外国人出入国管理条例』が公布され、今年9月1日より施行される予定です。これに伴い現在までの就労ビザと居留許可に関する制度は大きく変わります。中国にて就労、研修するには新たな制度に基づいて関連する手続きを行うことが必要となりました。このことについて日系企業を含む多くの外国人に困惑が広がっています。新制度に正しく対応しなければ、法的責任を問われる可能性もあります。このため、新法を正確に理解して自社の実情に基づいて適切な対策を講じる必要があるでしょう。ここでは、新出入国管理法のポイントについて簡単に解説します。

(1)居留許可の申請、延期审查手続きが長期化しています。

( 5業務日 ⇒ 15業務 日[実情は20日間以上])。

(2)F、X査証により中国で就労することが禁止されました。本社より現地での研修を受けている社員の方、現地法人で実習している外国人留学生の方はこの点に注意が必要となりました。

(3)出張時の宿泊登記と居住登記が厳格化されました。

(4)外国人の出国が制限される事由が増加する可能性があります。

(5)居留許可、居住登記に関する手続きの主体に変化が生じます。今後は居留許可を取得する駐在員本人のほか、その駐在員と共に中国に居住する家族についても、就労するか否か、一時的な親族訪問かに関わらず、何れも居留許可、居住登記の対象になります。

(6)初回の就業証手続き、就業証変更等の際には無犯罪記録証明書の提出が必要です。

(7)生体認証技術が導入されます。外国人が居留許可を申請する際に指紋の押捺が求められるようになります。

(8)60歳を超える者の査証、就業許可の取得は難しくなるようです。

(9)出入国管理制度と社会保険、税収等その他の行政管理制度とがリンクするようになります。

これらの中で(1)の居留許可の申請、延期審査の長期化が中国に就労、滞在する外国人にとって最大の問題となっています。(地域により、査証延期の際に提出が求められる無犯罪記録証明書等に更なる準備時間が費やされる可能性があります。)

今後も引き続き地方政府部門から公布される予定の関連法律法規、実務における執行方法など、過渡期の対応に注目する必要があるでしょう。

作成日:2013年08月23日