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北京市、賃金欠配取締文書を公布-悪質な賃金欠配案件は警察へ引渡し-

 北京市人力資源社会保障局は、現在最高裁の公布した司法解釈に加えて、警察等の司法機関との情報交換を積極的に行ない、関連業務の連結作業を細分化し、速やかに関連する規範性文書を公布して賃金欠配常習者を取り締まることを表明した。北京市では去年1年間において4万名余りの労働者の為に賃金等2.84億元を追加支払いさせた。

 これまで、建築施工、宿泊飲食、加工製造等の労働集約型の賃金欠配事件が発生しやすい分野では、各レベルの労働監察機関が、重点的に取り締まりを行ってきた。去年、北京市では各種使用者が延べ12.02万回検査を受けた。これに関連したのは、飲食、職業斡旋、製造業等の企業であり、同期比で18.85%増加した。各種労働保障に関する違法案件1.41万件が検挙され、うち契約不締結、保険未加入、建築施工分野での労働賃金欠配問題が最も突出していた。書類審査を受けた使用者は1.48万社。突発事件を穏便に処理したものは323件、各レベルの労働監察機関が労働者4.46万名の為に使用者へ賃金等を追加支払いさせた金額は合計2.84億元に上った。使用者へ労働者1.29万名分の労働契約を追加締結するよう命令し、使用者534社に対し社会保険登録手続きを行うよう命じ、労働者の合法的な権利及び利益を有効に維持・保護した。

 このほか、旧正月前等の重要な時期に、労働監察機関は全北京市合同で当該事案に関する取り締まりを行った。2.5万社あまりの使用者に対する検査を通じ、合計1.55万名の出稼農民に対して賃金6,118.46万元が追加発給された。使用者158社に対し社会保険登録の追加手続きを命じ、賃金205.18万元を追加支払いさせた。

 取り締りの際、労働監察機関が最も頻繁に出くわしたのは、使用者が労働契約を締結せず、従業員に超過時間外勤務をさせ、出稼農民の賃金を欠配し、不法に職業斡旋行為をしていた等の事例である。今年、労働監察機関は、これについて全北京市規模で当該事案に対する取り締まりを行う予定である。

 「このほか、労働監察機関が通報案件を処理する際、頻繁に出くわすのが従業員の労働報酬支払拒否の常習者である。」北京市人力資源社会保障局労働監察処の程詩華処長は、「通常の処分は、監察条例に基づいて、状況により過料を科し、是正を命じる。是正を拒否した場合、裁判所へ強制執行を申し立てることになっている。去年年末、最高裁は『労働報酬の支払いを拒否する刑事事件の審理に法律を適用することに関する若干の問題の解釈』を公布し、今後悪意の欠配行為に対して労働報酬の支払いを拒否した場合、警察に送ることになった。」と話す。

 現在北京市では最高裁の司法解釈に基づいて関連する規範性文書が制定され、今後は行政手段と刑事司法手段が組み合わされることになるという。これは今後、使用者が労働者報酬の支払いを拒否した場合、その使用者も刑事罰を科される可能性に直面することを意味している。

 「北京の細則では、刑事罰として処分する基準が定められることになる。これは主に使用者の違法行為と見なされた場合の是正、社会的な影響力等の状況を見て警察に送るということで、全ての支払拒否案件を警察に送るというわけではない。悪意の賃金欠配で支払能力があるにも関わらず財産を隠したり、誤魔化した場合に刑事責任を追及されるということである。」程処長によれば、現在警察等の司法機関とのすり合わせを行い、影響力の大きい悪質な賃金欠配案件を警察に送ることにするという。

 北京市人力資源社会保障局は、市民の労働紛争に関する問題について、北京市労働監察機関の電話6304-4923へ通報することを呼び掛けている。

【関連ニュース】

~違法雇用~
 違法に未成年を雇用、理由なき賃金遅配、無許可で職業斡旋業に従事したとして使用者3社が昨日北京市人力社会保障局より通報された。通報された使用者3社及びその違法行為は、それぞれ以下の通りであった。北京尚道潤沢家具有限公司は、違法に16歳未満の未成年を雇用していた。中美控股投資(集団)有限公司は理由なく労働者の賃金を遅配し、是正を命じられたにも関わらず、是正を拒否した。北京好生活家政服務有限公司は、「許可証」未取得で職業斡旋業に従事していた。労働保障監察機関へ北京尚道潤沢家具有限公司が16歳未満の未成年を雇用していたとの通報が入り、現場検証の結果、事実であることが確かめられたため、当該使用者に1万元の過料が科された。

~賃金欠配~
 中美控股投資(集団)有限公司は従業員の賃金を欠配したとして通報され、労働保障監察員の調査により、当該使用者が合計50名の従業員の賃金961,844.33元を欠配していた事実が確認された。人力資源社会保障行政機関は期限付きで是正を命じたが、当該使用者は期限を過ぎても是正しなかったため、規定に基づいて従業員へ賃金を支払う以外に、法執行機関より1.8万元の罰金を科された。

~職業斡旋~
 北京好生活家政服務有限公司は、労働保障監察員の巡回検査を受けた際に、「許可証」未取得で職業斡旋業に従事していたことが発覚し、人力資源社会保障行政機関より1万元の過料を科された。

(北京日報より)

作成日:2013年06月13日