最新法律動向

7月15日より406品目の商品で輸出増値税還付を取り消す

先日、中国の財政部及び国家税務総局は、『一部の商品の輸出増値税還付取り消しに関する通知』を公布し、406品目の商品を対象に、2010年7月15日より輸出増値税の還付を取り消すことを決めた。その中で、鉄鋼製品、特に熱間圧延は、最初のターゲットとなった。中国鉄鋼工業協会の副事務総長の戚向東氏は、「中国当局は、この措置を通じて鉄鋼の生産過剰を抑制し、積極的に貿易摩擦を軽減することを意図している。」と述べた。

対象となる406品目には、一部の鋼材、一部の非鉄金属加工材料、アルミニウム粉末、アルコール、コーンスターチ、一部の農薬、医薬品、化学工業製品、一部のプラスチック及びその製品、ゴム及びその製品、ガラス及びその製品などの六種類が含まれる。

量的に見ると、鉄鋼製品が最初のターゲットとなっており、48品目にも及んでいる。これには、ほぼ全ての熱間圧延製品及び一部の中厚板、冷間圧延ナローバンド型鋼製品が含まれ、冷間圧延製品は一種類のみを含めている。事実上、熱間圧延、冷間圧延などの製品に対する輸出増値税の還付の取り消しに関する噂は昔からあったが、熱間圧延及び冷間圧延は付加価値が高い製品であるため、鉄鋼企業には一時緊張が走った。

聞くところによれば、去年6月、中国の鉄鋼輸出は金融危機により大きなダメージを受けたため、中国当局は熱間圧延等の製品に対して、輸出増値税の還付取り消しに関する政策を公布したようである。現在、この政策が公布されてから一年あまりになるが、調べによると、熱間圧延製品に関する輸出増値税の還付は9%となっている。

財政部税政司によれば、輸出増値税の還付を取り消す具体的な商品名などの情報は、財政部のウェブサイトで検索することができる。具体的な執行日は、「輸出貨物通関申告書」(輸出増値税還付専用)に税関が明記した輸出日を基準とする。

専門家の分析

中国聯合鉄鋼ウェブサイトの分析家胡艶平によれば、冷間圧延製品は中国の輸出鋼材における主な種類である。4月を例とすれば、熱間圧延製品は鋼材輸出の1/3に占めた。今年に入り、中国と貿易相手国との間で貿易摩擦が相次いで発生し、鉄鋼製品は最初に矢面に立つ摩擦対象となった。

これに対し、中国鉄鋼工業協会の副事務総長戚向東はこのように述べた。「中国政府はこの措置を公布する目的は、一方では、中国政府が大量に鋼材の輸出をすることを望んでいないからである。何故なら、中国の鋼材における生産のポジショニングは主に中国国内の需要を確保することであり、こうすれば貿易摩擦を主体的に少なくすることができるからである。また、鋼材輸出を抑制することによって、中国国内における生産過剰能力を抑止し、省エネ?排出量の削減を促進することも出来る。」

また、副事務総長戚向東は以下のようにコメントした。「現在、中国国内と国外の鉄鋼価格の差は次第に大きくなっており、輸出増値税還付の取消しの実施によって、中国国内鋼材の輸出価格高騰に繋がる可能性がある。」

記者 張艶 趙鵬 (京華時報より)

作成日:2010年07月02日