最新法律動向

『欠陥自動車リコール管理条例』に対する3つの観点

 高級自動車の代表ブランドであるマセラティ社は、30日に中国で欠陥自動車をリコールすると宣言した。今回リコールした自動車は16台に過ぎないが、2004年に国家品質検査総局等の4部門が連名で『欠陥自動車製品リコール管理規定』を公布してから今年の10月29日迄に中国でリコールされた欠陥自動車は、累計898.6万台にも上っている。
 30日、国務院常務会議で可決された『欠陥自動車リコール管理条例』が公布された。これにより中国の欠陥自動車へのリコールに対する立法レベルが低いという問題がクリアされ、部門規則から行政法規にレベルアップし、リコール制度の有効な実施が促進されることとなった。

情報の共有:欠陥を発見する手がかりとなる
 消費者からのクレームは、欠陥製品をリコールする制度を正常に運営するための重要な基礎である。消費者は、実験室や試験・測定過程では発見することのできない多くの問題を発見することができる。国家品質検査総局欠陥製品管理センターの責任者は、消費者からのクレームを集めて分析したところ、幾つかの規則的な問題が発見されたと述べた。
 これにより、新たに公布された管理条例では、如何なる事業者及び個人にも、品質監督部門へ自動車に存在する可能性のある欠陥についてクレームを報告する権利を持つと規定した。また国務院品質監督部門は、クレーム報告用の電話番号、メールアドレス及び連絡先を発表しなければならないと規定した。更に品質監督部門は、欠陥自動車のリコール情報管理システムを確立し、情報を収集し、欠陥自動車製品に関する情報を分析し、処理しなければならないと規定した。
 また、自動車の欠陥情報は、往々にして各部門に分散してしまっているという問題があった。例えば公安機関は多くの規則性、類似性のある自動車事故に遭遇しており、そこから自動車に存在する問題を発見できる可能性がある。従って、今回公布された条例では、自動車の欠陥を発見する手がかりを得やすくするため、複数部門の自動車情報を共有できるシステムを確立した。
 条例は、品質監督部門、自動車所管部門、商務部門、税関、公安交通部門、工商部門等は、自動車の生産、販売、輸入、登記車検、修理、消費者からのクレーム等の情報を共有化するシステムを確立しなければならないと規定している。

厳罰化:違法行為に対する抑止力を高める
 2004年の『欠陥自動車製品リコール管理規定』に比べると、今回公布された条例では欠陥を隠し、リコールを実施しない等の違法行為に対する処分への罰則が強化されている。以前の規定は、部門規定であるため、立法レベルが低いことからくる制限を受け、違法行為に対する処分が甘すぎた。罰金の最高金額は僅か人民幣3万元でしかなく、違法行為を抑止するための力が明らかに不足していた。
 今回の管理条例には、メーカーが条例の規定に違反し、規定に基づいて関連自動車、オーナー情報を記録していないか、規定に基づいて関連情報、リコール計画を届出しないか、規定に基づいてリコールに関する報告をしなかった場合、製品品質監督部門が改善命令を発すと規定されている。この改善を拒んだ場合、人民幣5万元以上人民幣20万元以下の罰金が科せられる。
 また管理条例では、メーカー、経営者が品質監督部門の調査に協力しないか、メーカーが既に届け出たリコール計画に基づいてリコールを実施しないか、メーカーがリコール計画を販売者に通報しない場合、製品品質監督部門が改善命令を発すと規定されている。この改善を拒んだ場合、人民幣50万元以上人民幣100万元以下の罰金が科せられ、違法所得がある場合、違法所得の没収を併科する。情状が悪質な場合には、許可機関が関連許可を没収するとされている。
 これ以外にも、この管理条例には幾つかの著しい違法行為に対して厳しい処分規定が設けられている。メーカーが条例に違反し、欠陥自動車の生産、販売、輸入を停止しないか欠陥状況について欺瞞するか、リコールを命じられたにも関わらずリコールを拒否した場合、製品品質監督部門が改善命令を発し、欠陥自動車の販売代金の1%以上10%以下の罰金に科す。違法所得がある場合、違法所得の没収を併科する。状況が悪質な場合、許可機関が関連許可を没収すると規定されている。
 自動車業界関係者によれば、罰金額が欠陥自動車の販売代金の1%から10%の間という規定は大変厳しいものとのことである。なぜなら、1回に生産される欠陥自動車は数十万台から百万台になる可能性があるからである。1%で計算したとしても、罰金額は莫大なものとなる。これは、欠陥状況を欺瞞したり、欠陥自動車のリコールを拒否する等の行為に対して抑止力があると思われる。

情報の記録:欠陥調査へより多くの情報を提供する
 国家品質検査総局欠陥商品管理センターの責任者が語ったところでは、表面的には、現在中国の自動車リコールは、企業が積極的に実施していることになっているが、実際には、欠陥商品管理センターが充分な調査を行い、充分な証拠を把握した後、メーカーが漸く問題を認め、最終的にリコールが実施されることが少なくないという。このため、監督部門による調査は不可欠である。
 このため、このほど公布された条例では、国務院品質監査部門が欠陥調査を展開する場合、メーカー、経営者の生産経営場所に実地調査を、書類の閲覧、関連資料及び記録を行い、関連事業者及び個人が自動車に存在している欠陥状況を把握できることを明確化にした。メーカー及び経営者は、欠陥調査に協力し、調査に必要な関連書類を提供しなければならないとした。
 情報の記録、保存という点で、この条例は、メーカーは自動車の設計、製造、マーク、検査等の情報の記録及び最初に販売した自動車オーナーの情報記録の作成し、保存しなければならず、その保管期間は10年を下回ってはならないと規定している。経営者は、国務院品質監督部門の規定に基づいて、自動車関連情報記録を作成し保存しなければならず、その保管期間は5年を下回ってはならないとしている。
 欠陥調査により、より多くの真実の情報を把握するため、条例では、メーカーは、自らの基本情報、自動車技術データ及び自動車を販売した際の第一回目のオーナーの情報について、自動車に人身の安全に関わり、財産の安全に関わるが存在し、修理、交換、返品、当該自動車が海外でリコールされたという情報等を国務院品質監督部門に届出なければならないとも規定している。
 国家品質検査総局の関連責任者によれば、情報取集力、リスク評価、欠陥調査と認定等の技術サポート能力の養成を強化し、国家欠陥工程分析実験室の建設を推進し、行政監督管理に技術的なサポートを提供するとのことである。

(新華ネットより)

作成日:2012年11月06日