最新法律動向

労働契約未締結のガイドが事故に遭遇~旅行社へ労災損害賠償を請求~

 ガイドは、ツアーの中心だが、ガイドと旅行社間の労働関係は曖昧である。「法制日報」が新疆ウイグル自治区で取材を行ったところ、新疆地区全体の95%以上のガイドは正式に採用された者ではないため、ツアーの際に事故が発生した場合、ガイドが労災保険を受け取ることができず、このため訴訟が提起されることがあることを知った。

 10月11日、ガイドの張さん(仮名)は、漸くウルムチ市中級人民法院から最終判決を受けた。これにより自分と新疆の某旅行社との間に労働関係が存在したことが証明された。当該判決後、張さんは直ちに判決書類をウルムチ市人力資源社会保障局へ送付し、労災認定を申し込んだ。この資格認定を得るために、張さんは1年もの時間を費やした。しかし、張さんは賠償金を得られるのが何時になるかはわからないという。

 2011年7月、新疆の某旅行社は、張さんにツアー客を引率しウルムチ市から伊寧市まで行くツアーガイドの仕事を手配した。その復路にて、観光バスと乗用車が衝突する事故が発生し、車内の乗客全員が受傷し、張さんも顔に傷を負った。入院治療の際、張さんは旅行会社が採用協議に基づき張さんのために商業傷害保険を購入しておらず、彼女が労災を負ったことを認めることも拒否したことを知った。旅行社は、張さんの為に入院費を立て替えたのみで、その後の治療費については支払いを拒否した。

 同年10月、張さんはウルムチ市天山区労働紛争仲裁委員会へ仲裁の申し立てを行った。2ヶ月後、仲裁員は、双方の間に労働関係が存在していたという判断を下した。但し、旅行社側は、張さんは「フリーガイド」であり、その資格証書はガイドインフォメーション管理センターに登記管理されており、臨時雇用者に該当し、当該旅行社との雇用期間は10日に過ぎないため、双方は短期労務雇用関係であるとの考えた。そのため旅行社はウルムチ市天山区人民法院(裁判所)へ訴訟を提起し、「両者の関係確認」請求を行った。

 法院の審理の結果、張さんは旅行社の為にツアーを引率した過程で受傷したことは事実であり、そのツアーガイド業務は旅行社が手配し労働報酬を支払うものであり、当該旅行社の業務であるため、双方には労働関係が存在していたと認識された、今年4月、法院は仲裁判断と同様の判決を下した。法院の判決を不服として、旅行社はウルムチ市中級法院へ上訴した。

 張さんの事件の二審が原告維持の判決を下した後、担当裁判官は次のように述べた。「このような事件を審理する度に、我々裁判官は、労働者が一刻も早く労働関係を認定され、労災賠償金を得るお手伝いができることを望んでいます。しかし、仲裁判断と法院の判決には、ともに一定のプロセスを必要とするため、長い間待たせることになっています。このため多くの重傷を負った労働者は治療を受けるお金が無いために、お亡くなりになってしまうケースすら存在しています。」

(法制ネットより)

作成日:2012年10月23日