最新法律動向

修正後の『証券会社の高級管理職就任資格弁法』公布

 中国証券監督管理委員会(以下「証監会」という。)は、修正後の『証券会社の董事、監事及び高級管理職員の就任資格についての監督管理弁法』(以下「監督管理弁法」という。)を近日中に公布するという。その中の重大な変化は、証券会社の分支機構(日本語の「支社、支店」に相当。)の責任者を全て監督管理の範囲とすることにある。 

 新旧法を比べてみると、先ず監督管理弁法公布の根拠に変化が生じている。2006年10月20日に公布された元の監督管理弁法の根拠は、『会社法』、『証券法』、『行政許可法』等の法律、行政法規の関連規定であったが、新たな弁法では、元の法律の他に、国務院が公布し既に施行されている『証券会社監督管理条例』を新たな根拠とした。これに伴い、多くの面に変化が生じた。
 次に、証券会社の分支機構の責任者の就任条件、申請及び審査、監督管理及び違法・規則違反の際の法的責任の負担等を全面的に監督管理範囲に組み入れた。これについては、元の監督管理弁法の個別条項に若干言及されてはいたものの、「国内の分支機構の責任者」と説明されているのみで、海外の責任者を監督管理弁法から排除しており、妥当性を欠いていた。

 もう一つの新たな監督管理弁法の重大な変化は、元の監督管理弁法では証監会が行使していた多くの機能を証監会の出先機関に負わせるとしたことにある。申請の面では、元の監督管理弁法では、董事長、副董事長、監事会議長の就任資格の申請は、就任を予定している証券会社が行うものとし、部長レベルの職員の就任資格の申請は、本人又は就任を予定している証券会社が行うものとし、証監会に申請書を提出すると規定されていた。新たな監督管理弁法では、董事長等の申請は、就任を予定している証券会社が会社所在地の出先機関に申請書を提出し、部長レベルの職員の就任資格の申請は、本人が会社所在地の出先機関に申請書を提出するか、就任を予定している証券会社が会社所在地の出先機関に申請書を提出する、と修正された。

 董事、監事、高級管理職員及び分支機構の責任者、就任資格の申請、申請の処理、終了、審査、兼職、職責分掌の調整、不適切人選の認定、規則違反後の監督管理談話に至るまで、全て元の証監会が独立して行うか、出先機関と共に責任を負うとされていたものを新たな監督管理弁法では、出先機関のみが責任を負うこととなった。監督管理権限の委譲は、監督管理の有効性及び効率を大幅に引き上げることになると思われる。

 さらにもう一つの変化は、以前は独立董事の就任資格について明確な規定が無かったものの、新たな監督管理弁法では、董事長、副董事長、監事会議長、高級管理職員及び分支機構の責任者の就任資格と同じにしたことにある。即ち、証券業務に10年以上従事しているか、金融機関において部長以上の職務を8年以上担当しており、学歴は大専(日本の「短大」に相当。)以上とした。

(法制ネットより)

作成日:2012年10月10日