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工商総局は独占禁止法違反案件を16件調査

 今年に入り、国家工商総局は江蘇省、江西省、重慶市、浙江省等の省市に独占禁止法違反案件を16件立件、調査の権限を授けた。うち1件は、市場における支配的地位を濫用する行為の疑いがあり、15件は、独占契約を締結する行為の疑いであった。そのうち既に4件の独占契約案件に対し処分決定を行った。

 国家工商総局独占禁止不正競争防止局の楊潔所長の説明によれば、工商総局が調査した独占禁止法違反案件のうち、業界協会を運営する経営者が市場を分割し、価格カルテル等により市場を独占する案件が数多く見られた。建築・ガス・旅行・家電・中古車等、多くの業界に及んでいた。

 既に処分決定が出された独占契約案4件のうち、独占禁止法が施工されてから工商行政機関が調査を行い、処分した最初の案件は、江蘇連雲港コンクリート案である。江蘇省工商局は、2011年初旬に連雲港市の建築資材及び建築機械業界協会のコンクリート委員会及び現地のコンクリート企業5社に対して違法所得136,481.21元を没収し、730,723.19元の罰金処分を科した。

 楊所長は、工商部門がこうした案件を調査・処分する際は、とても慎重に行っていると述べた。例えば新たに処分を決めた遼寧建築資材市場における独占契約案では、遼寧省工商部門は、17ヶ月もの時間をかけて60社近い建築会社へ調査を行ったという。充分な検証を行った後、業界協会1社及び建築会社13社に対し、1,500万元余りの罰金を科すという行政処分決定を下した。また同氏は、今後の国家工商総局による独占禁止関連業務のポイントとして以下の点を指摘した。

1.市場競争環境に著しい悪影響を及ぼす典型的な独占案件を更に調査し、処分する。

2.第12次5ヶ年計画に提示された独占禁止改革を推進するという目標と任務を巡り、電気、水道、ガス、有線テレビ等の公共事業に従事する企業における競争妨害行為を調査し、処分を科し、さらに業界及び地区による独占状態を打破する。

3.『知的財産権分野の独占禁止法に関するガイドライン』の起草、検証業務を確実に行う。現在、当該ガイドラインは、専門家による意見聴取稿が第5稿目の審議に入っている。

 尚、国家工商総局は、工商機関による案件調査の公開を更に進めていくという。現在調査を行った案件は断続的に公開されているものの、いつ公開するか、どのような方法で公開するか、どのメディアを通じて公開するかについての統一規定がないため、地方によるバラつきが生じている。そのため、関連制度を設け、案件の公開により独占禁止法普及の目的を達成する必要があるとしている。

(法制ネットより)

作成日:2012年08月10日