法律相談Q&A

最新動向としての『労働契約法』の改訂について

 最近の新聞報道及びインターネット上での話題によれば、『労働契約法』改訂案(意見聴取稿)(以下『労働契約法改訂案』という。)が3月末に起草され、現在関連部門、関連委員会及び専門家から意見を募集しているところです。これまで『労働契約法』の労務派遣に関する規定は「原則的」すぎて、労務派遣会社、派遣先に対する処分基準も軽すぎたため、一部の労務派遣会社、派遣先に法的な抜け道を与えることとなっていました。今回は、労務派遣に関する規定について、主に以下の改訂を行っています。(『労働契約法』第66条、第74条、第77条、第92条が該当します。)

1.これまで『労働契約法』第66条には、「労務派遣は、一般的に臨時的、補助的又は代替的な業務職位で実施しなければならない。」と規定されていました。労務派遣の業務範囲を明確にするため、『労働契約法改訂案』では、現在の規定から「一般的に」という文字を削除することを議論しております。これには、適用時に例外を排除する目的があると推測いたしております。

2.『労働契約法改訂案』は、「三つの的」について、具体的に以下の定義付けを行いました。「臨時的」とは、派遣先の業務職位での勤務期間が6ヶ月未満の場合を指します。「補助的」とは、派遣先における業務職位が主要業務ではない場合を指します。「代替的」とは、派遣先の正規従業員が休職して研修を受けたり、休暇を取得する等の理由で当該業務職位に勤務できない一定期間に派遣された労働者が正規従業員の代わりに勤務する場合を指すと思われます。

3.『労働契約法改訂案』は、『労働契約法』第92条の「労務派遣会社が本法に違反した場合、労働者1名につき1,000元以上5,000元以下」とされていた罰金基準を引き上げ、「労働者1名につき2,000元以上1万元以下」と改訂するように検討されているようです。

 現在、中国の立法機関(全人大法制工作委員会)は、各界(主に国営企業)から意見を求め、協調を図る一方、『労働契約法』の改訂作業を急ぐとともに、関連部門・委員会ができる限り早く『労務派遣条例』、『企業人員削減規定』、『労働契約法を着実に実施することに関する若干の規定』等の『労働契約法』に付帯する規則を制定し、政策的な措置を講ずるべく準備を進めています。

作成日:2012年07月23日