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出入国管理法草案、3回目審議-就業類居留証の有効期間は最短90日間に-

  第11回全人代常務委員会第27回会議にて、3回目の審議となる新たな出入国管理法の草案において、就業類居留証の有効期間の最短期間を90日間と規定した。

 これに先立ち、今年4月に開催された第11回全人代常務委員会第26回会議では、出入国管理法草案について2回目の審議が行われていた。この会議が終了した後、全人代法律委員会、全人代常務委員会法制工作委員会は、広西省及び北京市にて調査研究を行い、主要な問題について関連部門と意見を交換し、共同で研究を行ってきた。

 元の草案では、「外国人居留証の有効期間は最短180日間とし、最長5年とする。」と規定されていた。

 前回の審議の際、ある常務委員会の委員は、外国人によっては訪中して半年未満の短期業務を行うことも多く、こういう外国人に対しては、180日より短い居留証を発行した方が実情に合っているのではないか、という意見を述べた。

 法律委員会は検討の結果、当該条項を「外国人居留証の有効期間は最短180日間とし、最長5年とする。但し、就業類居留証の有効期間は最短90日間とする。」と修正する提案を行うこととなった。

 元の草案では、「中国が締結したか、既に加入している国際条約と本法律の規定に齟齬が生じた場合、その国際条約の規定を適用するが、中国が保留を表明している条項を除く。」と規定されていた。これについて、ある常務委員は、国際法と国内法の関係及び国の法的主権に関わる規定となるため、漠然と国際条約を国内法に優先すると規定してはならないのではないかとの意見を述べた。中国がWTOに加盟したとき、中国が締結したか、加入している国際条約に関する内容については、国内法に変換して適用することを既に明確にしている。法律委員会は、外事委員会及び国務院法制弁公室と検討した結果、当該条項を削除するよう提案することとなった。

 元の草案によれば、「国務院から承認を得て、隣国と国境線を交える省及び自治区は、中国と関係国が締結した国境管理協定に基づいて、国境周辺住民の往来について規定を設けることが出来る。」と規定されていた。

 現状では、現有の国境管理協定に基づいて制定された国境周辺住民の往来についての規定は、法規又は規則の形式のものもあれば、その他の規律性文書の形式のものもある。このため、一部の常務委員会委員からは、国境周辺住民の往来は、国の出入国管理制度の重要な要素であるため、地方が制定した規定は立法プロセスを通じて制定された地方性法規、地方政府の規則に限定すべきである、という意見が提案された。

 法律委員会は検討の結果、当該条項を「国務院から承認を得て、隣国と国境線を交える省及び自治区は、中国と関係国が締結した国境管理協定に基づいて、地方性法規、地方政府の規則を制定し、当該両国の国境周辺住民の往来について規定を設けることが出来る。」と修正する提案を行うこととした。

(法制ネット)

作成日:2012年06月28日