最新法律動向

女子従業員の出産休暇を90日から98日に延長

【記者・孫乾】昨日、国務院常務会議で『女子従業員の特殊労働保護規定(草案)』を審議、可決した。
草案は、女子従業員が従事してはならない業務の労働範囲を定め、女子従業員の出産休暇を90日から98日に延長すると同時に、出産休暇中の待遇を規範化した。

『女子従業員特殊労働保護条例』に関する意見
『女子従業員労働保護規定』は1988年に施行されて以来、女子従業員の労働中の生理的特徴がもたらす困難の解決、健康保護に関し、重要な作用を発揮した。我が国の経済社会発展状況に鑑み、女子従業員の健康をさらに保護するため、2008年2月従来の労働保障部と全国労働組合は『女子従業員労働保護条例(改訂案)』(審議案)を国務院に報告申請し、審議を求めた。国務院法制事務所は、関連部門の意見を充分に聴取し、地方意見を基に、研究、論証、修正、意見聴取稿を作成した。意見聴取稿の主要内容は以下のとおりである。

(1)条例の名称に関して
『労働法』第7章「女子従業員の特殊労働保護規定の施行」に関して、条例名を『女子従業員の特殊労働保護条例』と改正した。
(2)従事してはならない業務の労働範囲
『女子従業員労働保護規定』の女子従業員が従事してはならない業務の労働範囲規定は原則と比較しなければならないため、現在は、従来の労働部が制定した「女子従業員が従事してはならない業務範囲の規定」を施行している。条例にさらに柔軟性を持たせるため、意見聴取稿に女子従業員が従事してはならない業務の範囲内容を盛り込み、現在の経済社会発展の状況を充分に論証した上で、従事してはならない労働範囲の調整を行った。同時に、従事してはならない業務の労働範囲は社会情勢により絶えず調整する必要がある。
従事してはならない労働範囲と条例の頻繁な改訂を避けるため、意見聴取稿は従事してはならない労働範囲を本条例の付随資料を持って例を示し規定する。従事してはならない労働範囲に関して調整が必要である場合、国家安全生産監督管理部門会は同じ国務院衛生行政部門と法案を提出した上で、国務院の批准を経て交付する。(第3条)
(3)出産休暇日数と出産休暇待遇に関して
1.ILO公約の規定を参照に出産休暇を90日から14週間に延長する。(第7条、第1項)
2.従来の労働部に関わる規定を参照に、流産休暇の内容を詳細にした。規定は、女子従業員は妊娠4ヶ月未満で流産した場合、少なくとも2週間の出産休暇を与え、妊娠4ヶ月後流産した場合、少なくとも6週間の出産休暇を与える。(第7条、第2項)
3.『社会保険法』と矛盾しないように『企業従業員出産保険施行弁法』を参考に規定した。規定は、女子従業員の出産や流産において、出産時の給料、出産手当及び流産の医療費は、出産保険にすでに加入している場合、出産保険基金を以て支払う。出産保険に加入していない場合、雇用事業者が支払う。(第8条)
(4)法律責任に関して
『女子従業員の労働保護規定』は、法律責任に関する規定は原則と比較し、実際用いるのは難しい。保証条例を徹底的に実行するため、意見聴取稿は雇用事業者が本条例の規定に違反する場合、安全生産監督管理部門、衛生行政部門、人力資源社会保障行政部門の職責に基づき、雇用事業者に対して期限を定めた改正を指示する。また、『労働保障観察条例』の処罰規定に関して、直接の責任を負う担当者やその他直接の責任者に対して法に規定される処分を与えると規定する。(第13条)

『女子従業員労働保護条例』(意見聴取稿)
第1条 女子従業員が勤務中、生理的特色から生じる特殊な困難を軽減、解決し、その健康を守るため、労働法により本条例を制定する。

第2条 中華人民共和国の国家機関、企業、企業法人、社会団体、個人事業組織などの事業者(以下雇用事業者という)の女子従業員に、本条例を適用する。

第3条 女子従業員が従事してはならない業務の範囲は本条例の補足資料に記す。女子従業員が従事してはならない業務の範囲は調整が必要であり、国家安全生産監督管理部門会は同じく国務院衛生行政部門に法案を提出し、国務院の許可を得て、交付する。

第4条 雇用事業者は安全衛生条件改善措置を取り、女子従業員に対し労働安全衛生知識の研修を行わなければならない。
雇用事業者は女子従業員の特殊労働保護を強化するべきであり、雇用事業者は女子従業員の不適当な労働への従事を指示してはならず、従事してはならない業務の範囲で働く女子従業員に対しては、書面で女子従業員に告知しなければならない。

第5条 雇用事業者は、労働時間内で妊娠中の女子従業員に合理的な休憩時間を手配するか、相当の労働量を減らさなければならない。女子従業員と協議が一致すれば、雇用事業者は勤務部門を調整することも可能である。

第6条 女子従業員が妊娠7ヶ月以上の場合、雇用事業者は労働時間を延長してはならず、業務をさせる必要がある場合は当該日の夜間に引き続きの業務をさせなければならない。
妊娠中の女子従業員が、勤務時間内に妊娠前検査を受ける際は、勤務時間として計算する。

第7条 女子従業員が出産する場合は、少なくとも14週間の出産休暇を享受することが認められ、産前休暇として2週間、難産である場合は2週間、多胎児出産の場合は2人目以降の乳児一人につき2週間の出産休暇を増やす。
女子従業員が妊娠4ヶ月未満で流産したとき(人工流産を含む)は、少なくとも2週間の出産休暇を享受することが認められ、4ヶ月を過ぎ流産したとき(人口流産を含む)は、6週間の出産休暇を享受することが認められる。

第8条 女子従業員出産の或いは流産において、雇用事業者がすでに出産保険に加入している場合、出産保険基金は雇用事業者の前年度従業員平均月給基準額を以て女子従業員出産手当を支払う。雇用事業者が出産保険に加入していない場合、雇用事業者は女子従業員の出産や流産前給与基準額を以て給与を支払う。
女子従業員の出産や流産の医療費は、雇用事業者がすでに出産保険に加入している場合、出産保険基金から支払う。雇用事業者が出産保険に加入していない場合、雇用事業者が支払う。

第9条 女子従業員は、1歳未満の乳児に授乳する期間(人工ミルクを含む。以下授乳期間という)雇用事業者は勤務時間の延長や、夜間勤務の指示を行ってはならない。
雇用事業者は、労働時間を授乳期間 女子従業員に少なくとも1時間の授乳時間を与える。多胎児の場合、乳児1人あたり毎日1時間の授乳時間を追加する。
毎日の勤務時間内に授乳時間として女性職員へ少なくとも1時間の授乳時間を与えなければならない。多胎児出産である場合、二人目以降の授乳嬰児に対して、毎日1時間の授乳時間を増やして与える。

第10条 女子従業員の比較的多い雇用事業者は、国の関係規定に従い、単独又は共同運営の形態で、女子従業員のために保健室、妊婦用休憩室、授乳室などの施設を設置しなければならない。

第11条 雇用事業者は、2年ごとに少なくとも1度女子従業員に女性特有な病気に対する検査を受けさせなければならず、検査時間は、労働時間として計算しなければならない。

第12条 県級以上の人民政府安全生産監督管理部門は、雇用事業者が本条例に附随する女性職員に不適当な労働範囲の執行状況に対する監督検査の実施の責任を有する。衛生行政部門は、医療機関の本条例附随資料第3条第3項、第4条第2項執行状況に対して、監督検査実施の責任を有する。人力資源社会保障行政部門は、雇用事業者が実行する本条例第6条、第7条、第8条、第9条、第11条の状況に対して、監督検査を実施する責任を有する。

県級以上の人民政府安全生産監督管理部門は、雇用事業者に対し本条例の
女子従業員が業務してはならない範囲の状況を監督検査する。衛生行政部門は医療機構に対し本条例の女子従業員が業務してはならない範囲の状況を第3条第3項、第4条第2項の監督検査を行う。人力資源社会保障行政部門は雇用事業者に対し、本条例第6条、第7条、第8条、第9条、第11条の状況により監督、検査を行う。労働組合、妊婦連合会組織は雇用事業者により、本条例の状況を監督し、女子従業員の合法権益を保護する。

第13条 雇用事業者が本条例規定に違反した場合、県級以上の人民政府安全生産監督管理部門、衛生行政部門、人力資源社会保障行政部門が本条例第12条の職務責任を雇用事業者は、期限を修正するように命じ、侵害を受けた女子従業員は1人あたり1,000元以上5,000元以下の罰金を科す。或いは、直接の責任を負う担当者やその他直接の責任者に対して法に規定される処分を与える。

第14条 雇用事業者が本条例規定に違反して女性職員の合法的権益を侵害する場合、女性職員は法に基づく関連行政部門への訴えや通報、告発、法に定められた労働人事争議調停仲裁機構への調停仲裁申請、及び人民法院への訴訟申請を行うことが可能である。

第15条 雇用事業者が本条例規定に違反して女性職員に損害を与える場合、賠償責任義務を負う。犯罪の構成要件を具備する直接の責任を負う担当者やその他直接の責任者に対しては、法に基づく刑事責任を追及する。

補足

女子従業員が従事してはならない労働範囲
1.女子従業員が従事してはならない労働範囲
(1)鉱山の坑内作業
(2)国の規定する第4級体力労働強度の作業
(3)1時間あたり6回以上、1回につき20キログラムを超える負荷作業、或いは間断して行う1回当り25キログラムを超える負荷作業。

2.女子従業員が月経期間従事してはならない労働範囲
(1)国の規定する第2級、第3級、第4級の冷水作業
(2)国の規定する第2級、第3級、第4級の低温作業
(3)国の規定する第3級、第4級の体力労働強度の作業

3.妊娠中の女子従業員が従事してはならない労働範囲
(1)鉛及びその化合物、水銀及びその化合物、ベンゼン、カドミウム、ベリリウム、ヒ素、シアン化物、窒素酸化物、一酸化炭素、二硫化炭素、塩素、フェニルチオ、クロロプレン、塩化ビニル、エチレンオキシド、アニリン、ホルムアルデヒド等の有害物質の国家職業衛生基準を超えた濃度の空気がある作業場所での作業。
(2)抗がん薬物、ジエチルスチルベストロールの生産、麻酔ガスの接触等、流産及び胎児の発育奇形を引き起こしやすい業務
(3)非密封放射性物質の操作、原子力事故や放射線事故の応急処置
(4)国の規定する高所作業
(5)国の規定する冷水作業
(6)国の規定する低温作業
(7)国の規定する第3級、第4級の高温作業
(8)国の規定する第3級、第4級の騒音作業
(9)国の規定する第3級、第4級の体力労働強度の作業
(10)密室空間、高圧室での作業や、潜水作業。或いは頻繁な腰の曲げ、よじ登り、しゃがみが必要な作業。

4.授乳する女子従業員が従事してはならない労働範囲
(1)妊娠中従事してはならない労働範囲(第1項、第9項)
(2)妊娠中従事してはならない労働範囲(第3項)
(3)作業場所でマンガン、フッ素、臭素、メタノール、有機リン化合物、有機塩素化合物等、有毒な化学物質の国家職業衛生基準を超えた濃度の空気がある作業場所での労働。

(4月19日騰訊ネット)

作成日:2012年05月24日