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胡暁義副部長、国民皆保険を語る

養老保険の普及について
記者:2011年末まで、医療保険への加入者数は12.8億人を超え、「医療保険の国民皆保険」は、ほぼ完了しました。今、国民にとって最大の関心事は、社会保険の最重要課題である養老保険について、いつ「国民皆保険」が実現されるのかという点です。

胡副部長(人力資源社会保障部):
 社会保障システムの中で、基本養老基本医療都市と農村住民の最低生活を保障することは、最も重要な3課題となっております。中国では、去年71日から都市住民養老保険モデル地区を設け、養老保険制度の最後の隙間を埋めました。中国では、企業従業員向けの養老保険制度を設立し、なお且つ国営企業の改革とともに全面的にこれを推進してまいりました。2009年には、新農民養老保険のモデル地区も設けました。都市住民養老保険モデル地区が設けられた後、推進の歩みが加速され、2011年末には、中国の60%以上の地区にて、新農民養老保険制度及び都市住民養老保険制度が確立しました。
 今年は、その歩みを更に進め、新農民養老保険及び都市住民養老保険制度の全面的な普及を実現したいと思っております。これは、大変な事だと思っています。全国規模でこの2制度を確立することは、中国において全ての都市と農村住民をカバーする社会保障システムが確立したことを象徴するものであり、養老保険が制度で全体的に普及されることを意味するものだからです。
 私達には、制度を確立すると同時に、社会保険の普及率を高めることが求められています。昨年末の時点で、都市従業員の基本養老保険加入者数は2.8億人、新農民養老保険、都市住民養老保険の加入者数は合計3億余り、これに公務員及び事業者の人員を加えると、現在中国では、6億余りの人が養老保険制度に加入しています。これは、今だに多くの人々が養老保険に加入できず、その普及業務には依然として多くの困難があることを意味するものです。現在の拡大業務の重点目標は、NGO職員、フリーター、出稼ぎ農民及び小作農です。
 我々の目標は、「第125か年計画」が完了するまでに、都市及び農村における養老保険制度の普及人口を8億人以上へ引き上げることです。

記者:新農民養老保険及び都市住民養老保険は任意加入です。今の月55元という基礎養老保険金レベルは低すぎて、魅力がないという意見もあります。一部の地方では、45歳以下の農民は新農民保険への加入に消極的という現象が生じています。どうすれば養老保険に魅力を持たせることができるでしょうか。

胡副部長:スタートラインを低く保ち、普及率を高めていくという方針は、中国の社会保障制度のこれまでの経験から導き出された基本的な方針です。
 中国は、依然として発展途上国であり、一人当たりの収入は低く、地域間の発展はアンバランスであり、多数の国民は、まだ裕福ではありません。保障基準を高く設定し過ぎたなら、経済的な負担が高くなり、都市と農村の住民が納付することも難しくなり、保障も拡大することが難しくなると思われます。
 勿論、保障レベルも徐々に上昇させていく必要があります。企業従業員養老金は、既に7年連続で調整を実施しており、現在第8回目の調整作業を実施しているところです。医療保険の補助基準、支給料率も年々上方修正しております。今後、新農民養老保険、都市住民養老保険の支給レベルも必ず経済の発展に伴って上昇させてゆきます。この点について、私達は自信を持っております。

公平さの確保について
記者:ここ数年、階層によって養老保険、医療保険等の受給制度が異なるため、最終的な待遇の差になっていることが注目を集めています。社会保障は公平に促進すべきで、現在少なからぬ程度で「二重制度」が存在しているため、不公平が拡大していると多くの人々は考えています。

胡副部長:社会保障は、向上させてゆく必要があります。制度に著しい欠陥があった時期には、基本的な保障が最も必要とされていました。制度を順次健全化させてゆき、待遇レベルを絶えず上げていく中で、自然に各層間で制度の健全化を競い合うことになるでしょう。
 私達は、「公平性」の問題を高く重視しています、また、多項目の調整措置も講じました。但し、こうした利益関係のバランスを取ることは単純に各層間の待遇レベルを平均化するべきではないと考えています。このため国の「再分配における公平性へ更に注目していく」という要請に基づいて、規則の公平さ、機会の公平さの実現に向けて努力し、なお且つ複数回の調整を通じ、次第に関連各層間の不合理な差異を縮小してゆきます。

記者:今後、不合理な差の縮小について、どの面から着手していくお考えでしょうか。

胡副部長:公平さを実現するために先ずすべきことは、「有無」問題を解決することです。ある人は社会保険が有るが、ある人は社会保険が無い。不公平の中でも、この差が最も大きなものです。養老保険を例に取れば、現在中国の加入者は6億人余りで、少なからぬ人々をカバーしていると言えますが、まだ数億人が養老保険に加入していないことになります。現在の急務は、一部の者が無保障状況にある状況を解消することです。
 その次に、各階層間の待遇格差を調整することです。現在、養老保険は、国家機関並びに企業の同種の定年退職者、集団企業及び国有企業、フリーター並びに事業者従業員等の間で様々な利益の差が存在しています。医療保険では、公費医療と従業員医療保険の間で差が存在しています。ここ数年、養老金の「7年連続調整」など、不合理な待遇の差を縮小する作業が継続的に進められています。
 これ以外に、地域間の差も存在しています。ここ数年、企業従業員の養老金を調整する過程においても、異なる地域間の待遇レベルの縮小、国家財政の中から養老金レベルが低い省へ大量の補助を行うことも注目されております。

記者:国民は、まだ進展が遅いと感じています。なぜもっと早く「一本化」できないのでしょうか。

胡副部長:制度の最終的な統一、つまり国民の言うところの「一本化」という大きな目標は明確です。国民は、北京市が今年から公費医療制度を改革したことに注目していました。その他の社会保障も逐次進めてゆきます。
 なぜ早く統一しないのかということですが、最高受給者層の制度設計は、安定的に進めてゆく必要があるからです。養老保険は、何代もの人々が関わる制度であり、加入者にとっては長期的な問題でもあるため、拙速に行うわけにはいかず、入念かつ全面的、安定的、熟慮の末に、最高受給者層へ対する設計を行う必要があります。慌てて始めたなら、朝令暮改ということになり、後顧の憂いを残すことになる可能性があります。我々は、過去のこうした経験教訓をくみ取る必要があります。最高受給者層の設計は、各層が受け入れられるものであるばかりでなく、公平である必要があります。各層の制度間の連携も極めて重要です。例えば、新農民養老保険及び従業員養老保険の連携、企業養老、事業養老の連携は、測定計算精密正確により公平さが保証されるものとします。そうでなければ新しい制度は、新たな不公平を生むことになってしまうでしょう。
 ここで明確にしなければならないのは、社会保障は権利と義務のバランスを強調しているという点です。互いの待遇の差を比較する際、結果のみを重視して、保険加入期間の長短のみを比較してはならず、納付額の多寡のみを比較してはならないとだめと思います。一般特恵制度の手配においても、多額の保険金を納付した者は多額の受給を受け、長期間保険金を納付したものは多額の受給を受ける制度を実現し、納付を奨励する仕組みを作っていく必要があります。

高齢化について
記者:先頃、ある学者が中国の現在の養老保険の資金不足は1.3万億元に上っていると述べました。これは多くの人々に「養老金は、本当に払って貰えるのだろうか。」という不安を抱かせています。社会保険基金には、現在支払いリスクが存在しているのでしょうか。

胡副部長:先ず皆さんご安心願います。現在社会保険基金は、期限通りに全額支給することに問題ありません。資金不足問題は、大局的に捉える必要があります。中国の基本養老保険は、20世紀90年代から始まりました。これは、統一的に実行される基金と個人口座を組み合わせた制度です。最初は全ての養老保険は現役世代の納付により定年退職者の養老保険を支給する方法が採用され、個人口座に記帳されていました。2001年より、13の省にて個人口座が作成されました。個人口座だけを見れば、資金不足は確かに存在し、なお且つその金額は低くないですが、現在徐々に整備されていく過程にあります。
 但し、その一方で、養老保険基金を含む全ての社会保険基金にも残高があることに注目すべきです。2011年における5項目の社会保険基金総収入は、2.35万億元で、総支出は1.8万億元となっていました。これに数年来の残高を加え、現在の5項目の社会保険基金の残高は2.7万億元に達しており、うち養老保険基金の残高は、約1.9万億元です。社会保険基金の全体的な支出状況を考慮すれば、大きな問題は存在しておりません。
 勿論、現在養老保険は、まだ全国的に統一で実現してはおりません。従いまして省によっては残高があり、別の省では不足して、不足している省に対しては財政補助を行う必要があります。

記者:では「高齢化」が深まっても、養老保険制度を持続させることは可能でしょうか。

胡副部長:「高齢化」は、確かに制度を持続的に発展させていく上で厳しい課題です。
 第6回センサスのデータに基づけば、2010年の中国の60歳以上の高齢者人口は1.77億人で、総人口の13.26%を占めていました、「第125か年計画」終了時には、これが15%前後に達する見込みです。ある学者は、中国の総人口が扶養する比率は、2015年前後に50%を突破し、経済発展に有利な「人口チャンスの窓」も次第に閉じられていくとの試算を発表していました。養老金の上昇を可能な限り抑えたとしても、2030年前後の養老金支出総額は10万億になると思われます。それぞれの研究結果については、更に検証することが必要ですが、高齢化の勢いは著しく、中国の経済社会の安定的な発展に深刻な影響を齎すであろうという総合的な判断の方向では、どれも一致しています。
 人口が10億人を超える発展途上大国の高齢化問題を解決するという課題は、世界でも前例がないため、中国の国情に立脚して絶えず探究を進め、制度政策資金の手配の準備を急ぐ必要があるからです。

記者:その準備は、具体的にどのような点に及ぶのでしょうか。

胡副部長:主に以下の4つの点です。
①今後も普及率を上昇させ、「国民皆保険」に向けて邁進してまいります。普及率を上昇させていくことで「助け合い」機能をより良く発揮させることが出来ると思います。
②準備金を増やしてゆきます。先ほど述べた社会保険基金以外に、全国社会保障基金に積み立てる資金も絶えず増額させてゆき、将来直面する支出のピークにしっかりと備えておきます。
③安全な投資により価値を下げず、価値を高めることを目指します。資金の積み立てが増えるに従って、目減りを回避する措置を講じることも必要となってきます。現在、人力資源社会保障部は、他の部門と共同で社会保障基金の投資運営、価値を下げず、価値を高める方法を共同研究しています。私が強調したい点は、社会保険基金による投資は、安全第一であり、安全を確保するという前提の下で長期間の価値不変、価値増加を目指すということです。投資には様々な選択がありますが、但し安全第一、収益が安定していて、全ての収益を保険加入者の為に使用するという基本原則に適合する必要があります。
④一部の地域では、定年退職年齢を遅らせるという試みが行われていますが、現在のところ中国の平均退職年齢は55歳にも達しておりません。我々は、先ず更に定年退職制度を整備し、それと同時に一部の地域が実情に合わせて行なった試みを積極的に総括し、有益な経験としてゆく必要があると思います。

(人民日報より)

作成日:2012年02月08日