法律相談Q&A

女子従業員の違法出産について

Q:当社の女子従業員は、計画出産管理部門の許可を得ずに、2人目の子供を産みました。この女子従業員に対して、当社は出産休暇及び授乳休暇を与えなければならないでしょうか。違法な出産であるために出産休暇及び授乳休暇を与える必要がない場合、当社は、これを私事休暇と見なすことが可能でしょうか。

A:『女子労働者労働保護規定』、『青島市都市従業員出産保険弁法』等の関連法律法規並びに青島市の労働行政部門に問い合わせた結果を踏まえ、以下の通り回答いたします。

1.休暇期間
この女子従業員は、関連する許可を得ないまま第2子を出産したものの、『労働法』第62条には「女子従業員は、出産に際し、90日を下回らない出産休暇を取得する。」と規定されており、『女子労働者労働保護規定』の中でも違法出産と合法出産の区別はされておりません。女子従業員自身並びに子女の健康の保護という観点からみれば、違法出産であるか合法出産であるかに関わらず、いずれも出産休暇及び授乳休暇を取得させる必要があります。具体的な休暇期間につきましては、『女子労働者労働保護規定』、『青島市都市従業員出産保険弁法』等の関連規定に基づいて取り扱われます。

2.休暇の性格
女子従業員の違法な出産は、計画出産管理に関する規定に違反しており、この従業員が行政機関から処分される可能性はあるものの、これによって労働面における保障の権利は影響を受けません。このため、この女子従業員は、違法出産であるか合法出産であるかに関わらず、一定の休暇を取得させる必要があります。この休暇は法定のものであり、雇用側が自主的に決定するものではありません。私事休暇の許可は、雇用側が決定するものですが、この場合には該当しないため、私事休暇として処理することは適切ではなく、このように処理した場合には、大きな法的リスクが存在すると思われます。

3.休暇期間中の待遇
この従業員の行為は、違法な出産であるため、貴社が期限通り、満額の出産保険を納付していたとしても、この従業員は、出産保険に関する待遇を受けることはできません。しかし『女子労働者労働保護規定』第4条「女子従業員の妊娠期間、出産期間、授乳期間に、その基本賃金を引き下げるか、労働契約を解除してはならない。」という規定に基づけば、女子従業員の出産期間中は、その賃金基準を低下させてはなりません。

 上記の3点をまとめれば、この女子従業員の妊娠期間、出産期間、授乳期間につきましては、貴社と従業員の締結した労働契約の約定に基づいて賃金を支払う必要があります。

作成日:2011年12月16日