新法:電子印鑑に関する初の専門規則 -NEW-
2025年9月27日より施行された『電子印鑑管理弁法』(以下「本弁法」という。)は、契約の締結や行政手続など多くの分野で広く利用されている電子印鑑に関する初の専門的な法律です。
今回は、本弁法の要点について、Q&A形式で簡潔にご紹介いたします。
Q1:企業が保有するすべての印鑑を電子化できるのか?
A1:電子印鑑には、企業名義の内部組織印、支店印、業務専用印、および業務に使用する個人印などが含まれます。つまり、原則として、公章、契約印、財務印、法人印など、企業が保有するすべての印鑑は電子形式で運用することが可能です。
ただし、電子形式のすべての印鑑が自動的に法的効力を持つわけではなく、本弁法において定義と要件が厳格に定められています。
Q2:有効な電子印鑑の条件とは?
A2:電子印鑑は印鑑の画像データや名称、所有者情報、電子署名認証証明書、電子署名作成データなどで構成されます。
合法かつ有効な電子印鑑は、少なくとも以下の4つの条件を満たす必要があります。
・法令に基づき設立され、電子認証サービス資格を有する機関が発行した電子署名認証証明書がある。
・電子印鑑のデータ形式や生成プロセス、および利用インターフェースが国家の関連標準規格に準拠している。
・電子印鑑の画像仕様や様式などの画像データが関連法規で定められた印影規制と一致している。必要に応じて、電子印鑑に関連する文字注記を加えても構わない。
・電子印鑑作成管理機関への届け出手続きが完了している。
Q3:電子印鑑と実物印鑑の法的効力は同じか?完全に代替できるか?
A3:原則として、電子印鑑が本弁法の技術的および管理上の要件を満たす場合は、従来の実物印鑑などと同等の法的効力を持ちます。
しかし、特定の行政手続や司法手続、法令で実物印鑑の使用が求められている場合、またシステムや地域によって電子印鑑の相互承認が実現していない場合など、電子印鑑が認められない特殊なケースも存在します。
法律上または実務上、電子印鑑が利用できない、または認められない場合があるため、現時点では電子印鑑が実物印鑑を完全に代替することはできません。そのため、電子印鑑と実物印鑑の両方を併用し、電子印鑑を使用する際には、その使用が法令や関連当局で認められているかを慎重に判断することをお勧めします。
Q4:異なる地域や部門で相互に認められるか?
A4:本弁法の中心的な内容として「相互信頼・相互承認(互信互認)」制度があります。原則として、本弁法に準拠した電子印鑑であれば、区分、地域、システム、部門、業務を超えて相互利用および承認が可能です。
ただし、法令で明確に除外されている分野(例えば機密情報や国家安全関連)や標準的な接続やシステム互換性が整備されていない地域や部門、届け出されていない電子印鑑や法で定められた技術基準に適合していない電子印鑑などは例外となります。
◆その他の留意事項
電子印鑑は新しい電子認証技術として、業務の効率化に一定の効果がありますが、リスクにも注意が必要です。電子印鑑の誤用や乱用を防ぐためには、会社定款や社内規程で電子印鑑の使用範囲や権限、手順を明確化し、電子文書の保存やバックアップを適切に行うことが必要となるでしょう。
作成日:2025年12月21日
