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北京市2025年の最低賃金基準を発表 -NEW-

   給与賃金は企業や従業員にとって非常に重要なテーマです。7月24日、北京市人力資源・社会保障局は『北京市2025年最低賃金基準の調整に関する通知』(以下『通知』という。)を発表し、北京市内の企業従業員に適用される最低賃金基準を改定しました。本通知の新基準は9月1日より施行されます。そこで今回は、企業の人事や総務担当者向けに本通知のポイントをご紹介します。

1. 最新の最低賃金基準
   北京市では、労働時間や給与制度に応じて、以下の3種類の最低賃金基準が設定されました。(第1条、第2条、第3条)
(1)フルタイム労働者:最低時給は14.62元、最低月給は2,520元。
(2)パートタイム(非フルタイム)労働者:平日または通常の休日の最低時給は27.7元、法定祝日の最低時給は65.1元。
(3)出来高制:企業と労働者が協議のうえで作業量(労働定額)および単価を決定します。
   (3)について、法定労働時間内に通常通り労働した場合、賃金は(1)のフルタイム労働者の最低賃金を下回ってはなりません。これは、労働者が通常通り労働しなかった場合は(1)の最低賃金を下回る可能性があるということを意味します。

2. 最低賃金基準を適用する際の留意点
   企業が労働者に支払う賃金から以下の項目を差し引いた結果、最低賃金を下回る場合、賃金の補填や賠償金の支払いリスクが生じる可能性があります。(第1条)
①夜勤手当、高温・坑内・有毒有害作業などの特殊作業環境における手当。
②時間外労働や休日出勤の賃金。
③労働者が負担すべき社会保険料および住宅積立金。
   上述の項目は最低賃金に含まず、企業が別途支払う必要があります。
   また、非フルタイム労働者については、最低賃金基準に企業および従業員が負担する年金・医療・失業保険料が含まれることにも注意が必要です。

◆日系企業へのアドバイス
   本通知は北京市の規定であり、他の地域では最低賃金額や社会保険料を含むかどうかなどの規定が異なる場合があります。そのため、所在地の最新の最低賃金基準の確認と、コンプライアンスに沿った調整が必要となります。
   加えて、最低賃金基準の設定については、必ずしもすべてのケースで最低賃金基準を下回ってはならないというわけではなく、従業員の病気休暇や私用休暇、欠勤などの場合は、最低賃金未満で賃金を支払うことも可能です。賃金の増減に関する労働争議リスクを軽減するためには、従業員や労働組合との適切な協議や、必要な場合は事前に現地の弁護士に相談することが重要となるでしょう。

作成日:2025年08月12日