コロナ及びその他のホットな話題

2023年最新立法計画

   中国の最高立法権を有する機関である全国人民代表大会は、毎年、その年度の立法計画を策定しています。 5月29日、全国人民代表大会常務委員会(以下『全人代常務委員会』と略)は、2023年の中国の立法業務計画を発表しました。
   当立法計画は、検討の優先順位に従い、継続審議、初回審議、予備審議の3項目に分けられ、数十本の法律が含まれています。本文では、日本企業の皆様にご参考いただける、以下のポイントについて説明いたします。

1.継続審議される法律案(17本)
   全国人民代表大会では、この方法の法律の審議について具体的なスケジュールを定め、2023年度中にすべての法律を審議する予定です。このうち3本の法律(立法法、反スパイ法、青海チベット高原生態保護法)はすでに審議を通過していますが、継続審議されている法律における下記の内容は、日本企業にとって関心のあるものでしょう。
(1)『会社法』の改正:2022年12月30日、『会社法』(改正草案二審稿)がパブリックコメントのために公布されました。二審稿は既存の会社法に対してさらなる改正が行われ、会社のガバナンス構造、取締役および監督役の責任規定、株主の資本拠出義務の増加などの変更が加えられています。
   また、監査役会や監査役の会社組織機構における役割は更に弱められており、例えば、小規模の有限責任会社は、株主全員の同意があれば、監督委員会または監査役を設置しないことができます。(二審稿第83条)
(2)『金融安定法』:2022年12月30日、『金融安定法』草案が公布され、パブリックコメントが求められました。同法の制定は、銀行、証券、保険などの金融業界の組織機構、内部管理メカニズムなどに重大な影響を与えるものとなっており、金融業界は規制強化の対象となる可能性があり、関連する日系企業は注意を払う必要があります。
   また、増値税は企業経営において納税が重い税種となるため、『増値税法』が制定されることは、企業納税に重大な影響を与えるものとなります。
2.初回審議される法律案(18本)
   当該種類法律案の審議には通常一定の時間がかかります。本審議項目における日系企業の注目すべき法律案としては、『治安管理処罰法』(改正)、『エネルギー法』、『刑法修正案』(12)、『関税法』、『食糧安全保障法』などがあります。
3.予備審議項目
   この審議項目は調査と起案を開始してから、その後状況に応じて審議を手配する予定の法律です。日系企業が注目すべき内容としては、『商業銀行法』、『国家秘密保持法』、『マネーロンダリング防止法』、『不正競争防止法』、『企業破産法』、さらに経営環境の最適化による公正競争の促進や、社会保障面に関わる立法があります。

◆日系企業へのアドバイス
   2023年の立法計画は2022年に比べて縮小されていますが、コーポレートガバナンス、国家安全、市場経済管理、エネルギー、環境保護など、主要分野におけるいくつかの立法動向が反映されたものとなっています。 日系企業の皆様には、これらの動向に常に細心の注意を払い、関連法の施行後に不測の事態に陥ることがないよう、いち早く内容を理解し、対策を立てることをお勧めします。弊所は、今後も法改正や新法の最新の動向を皆様と共有いたします。

作成日:2023年06月21日