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電子契約の法的リスク

   日本においてビジネス業務のDX化が急速に進んでいるのと同様、電子商取引の発展に伴い、中国でも多くの企業が電子契約を使ったビジネス活動を展開するようになってきました。電子契約を使用することで、時間が節約できるほか、郵送費、紙面コストなどの節約にもなりますが、紙面契約、電子契約、どちらを採用しているかに関わらず、多くの企業では、電子契約には法的リスクがあるかどうか、また、紛争が発生した場合訴訟を勝ち取るための合法的かつ有効な証拠として電子契約を使用できるかどうか、という点が主要な関心事となっています。
   一般的に、裁判所では電子契約について以下に挙げるいくつかのポイントを重点的に審査します。

1.電子契約を締結した主体の身分が真実であること
   電子契約に署名したのはだれなのか、どのように確認するのでしょうか。企業の身分認証は、電子契約において最も重要なステップです。署名者の本人確認は、契約の署名が企業自体の行為であるかどうかに直接関係するからです。
   そのため、電子契約に署名する前に、企業は署名をする者の真の身分を保証するための身分認証を行う必要があります。 現在、一般的な認証方法としては、デジタル証明書、第三者認証機構(例としてCA認証)、法定代表人身分検証、従業員身分検証などを用いた、複数の認証方法があります。

2. 契約書の署名および契約書の原本が改ざんできないこと
   電子契約が証拠効果を有するために、電子契約サービスプラットフォーム上で電子契約を締結した後は、契約書の電子署名や契約書の原本を一方の側では改ざんができない、ということを証明する必要があり、一旦改ざんされると、契約書が改ざんされた事実が技術的に判明できなければなりません。

◆日本企業へのアドバイス
   電子契約は利便性を提供すると同時に、その法的リスクも多く存在します。 現在、様々な電子契約サービスプラットフォームの本人確認方法は様々であり、これらには、まだかなりの抜け穴が存在しており、企業の身元が不正使用されたり、偽造されたりした場合、契約自体が無効となる可能性があります。 また、電子契約サービスプラットフォームの選択にあたっては、電子契約の技術的な側面において、契約データが一方的に改ざんされる問題が存在しないかどうかを確認する必要があります。
   そのため現地の企業が電子契約サービスプラットフォームを選択・利用する際には、特に注意が必要であり、慎重さが求められます。最近弊所でも電子契約に関するお問い合わせを数多くいただいておりますので、電子契約に関するアドバイスが必要な場合は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

作成日:2023年06月02日