最新法律動向

ネットワーク経済分野の新たな独占防止ルール

   今年2月7日、国務院反独占委員会より『プラットフォーム経済分野に関する独占防止ガイドライン』(以下『ガイドライン』という)が公布され、同日から施行開始となりました。
   インターネット情報技術の発展により、JD、タオバオ等のECプラットフォームが急速に勢いを増し、大手ECプラットフォーム企業の市場への影響力がますます強まりつつあるものの、そのような企業に対する独占防止ルールは世界的にもそれほど設けられていないのが現状です。このような中、国務院反独占委員会により『ガイドライン』が制定され、中国国内における独占行為への管理規制が設けられたことを受け、今回は『ガイドライン』のポイントを整理した内容を以下にご紹介いたします。

◆『ガイドライン』のポイント
1.プラットフォーム経済分野における「プラットフォーム」、「プラットフォーム経営者」、「プラットフォーム内経営者」等の重要概念を明確化した。
2.プラットフォーム経済分野における独占合意の形式や認定基準についてより明確に規定した。
   『ガイドライン』ではプラットフォーム経済分野に関わる平行型、垂直型の独占合意、ハブアンドスポーク合意、協調行為の認定基準について詳細に規定されました。
3.「市場支配的地位の濫用」行為の認定基準について、詳細かつ明確で、従来型経済分野とは区別のある規定を設けた。
   『ガイドライン』では、広く社会に注目されている「二者択一」、「ビッグデータ詐欺」等についても明確に規定し、例えば、「二者択一」式の取引限定行為の構成認定において、検索やアクセス数制限等の手段によって店舗ブロック、デポジット差引き等を行っていないかが、考慮される重要な要素になるとしています。

◆日系企業へのアドバイス
   日系企業が今後中国事業を展開するにあたり、ECプラットフォーム企業と提携することも想定され、プラットフォーム経済に関する法律、経営管理の問題等に遭遇する可能性も出てきます。このため、日系企業では早めにプラットフォーム経済分野に関する独占防止ルール及び法律について把握するとともに、独占等のコンプライアンスリスクを回避するため、自社のビジネスモデルについて一度慎重な評価(専門機関や法律事務所への委託も有効)を行っておかれるようお勧めいたします。

作成日:2021年03月17日