最新法律動向

2020最新立法計画を知る

   6月20日、全人代より2020年度立法活動計画が公布されました。これには審議の継続又は初回審議を行うか、審議を待つ対象として数十件の法律が記載されています。その中には日系企業の経営に重要な影響をもたらすものも少なくないため、この内容について簡単にご紹介いたします。

◇日系企業に密接に関連する法律
(1)新たに制定され可決された法律
   2020年に審議するものとして挙げられた法案のうち2件はすでに審議で可決され、2件とも日系企業の経営に密接に関わるものとなっています。4月29日に改正案が可決された『固形廃棄物環境汚染対策法』では、電気・電子製品、鉛蓄電池、自動車用駆動バッテリー等の製品について「拡大生産者責任制度」が規定されましたが、これは上記製品の生産者にはその不用品・廃棄品をリサイクルする義務があるとするもので、日系企業の生産経営方式及び環境保護対策に極めて大きな影響を与えることになります。また、5月28日に可決された『民法典』中の抵当権設定、担保による保証、代金弁済順序等の内容は、日系企業の現行の取引モデルにも重大な影響を与えるものとなります。

(2)審議を継続又は初回審議を行うもののうち、日系企業が注目すべき内容
   上記のすでに審議で可決された『民法典』及び『固形廃棄物環境汚染対策法』のほか、『生物安全法』、『輸出規制法』、『個人情報保護法』、『データ安全法』、『特許法』、『著作権法』、『安全生産法』等の多くの日系企業に関係する法案が審議されることとなっています。

   上記の法案の中には、日系企業の対外貿易における「再輸出制限」(中国からある国に輸出された製品を、さらに第三国に輸出する場合にも『輸出規制法』による制限を受ける)に関わるものや、企業や個人のデータを取り扱う活動やデータの安全保護義務・責任に関わるもの、さらには個人情報の保護に関わるものも含まれています。
   『データ安全法』は、データに対する規制を強化するものとなり、かつその運用において『ネットワーク安全法』に一定程度関連する可能性もあります。このほか、『民法典』には個人情報の保護についても規定されてはいるものの、あくまで基本規定に留まるため、個人情報保護義務を負う主体、義務の内容、必要な保護措置及び法的責任については、なお『個人情報保護法』の中で明確化、具体化される必要があります。

◇日系企業へのアドバイス
   全人代の2020年立法計画には、重要分野における立法の動向が反映されています。日系企業ではこれに十分注目し、内容を把握したうえで相応の対応措置を早期に講じておくことで、関連の法律が施行された後になって対処に慌てる事態を防ぐことができます。今後も弊所より、日系企業各社に関わる最新の立法の動きについて情報を共有させていただきます。

作成日:2020年08月27日