最新法律動向

北京市複数機関で企業登記抹消に便宜を図る動き

 企業の「抹消難」の問題が、企業の投資と撤退を阻む「最後の壁」となっていますが、こうした撤退難を解決するため、今年2月22日、北京市市場監督管理局は、税務局、人力資源社会保障局、商務局、税関及び住宅積立金管理センターと共同で『企業登記抹消の利便性向上、ビジネス環境の最適化のさらなる推進に関する意見』を公布し、以下の複数の施策を通じて企業の登記抹消の効率が大幅に引き上げられることになりました。

一.企業簡易登記抹消制度のさらなる改善
(1)開業していない、或いは債権債務のない有限責任公司、非上場の股份有限公司、全民所有制企業、個人独資企業、パートナーシップ企業、農民専業合作社及びこれらの企業の支社について、全て簡易抹消制度を適用する。
(2)企業は、「国家企業信用情報システム」を通じて、簡易抹消事項について無料で公告を掲載することができるようになり、公告期間も短縮されて20日間となる。

二.企業普通抹消公告プロセスのさらなる簡素化
企業は登記抹消の関連書類を提出したうえで、「国家企業信用情報システム」から直接無料で清算組の情報の公示や公告掲出を行うことができ、清算組の届出や新聞への公告掲載は不要となる。

三.企業の登記抹消の難題へのソリューション提供
(1)有限責任公司で、株主の非協力や消息不明のために合意できないことによる問題が解決されることになった。
 1.企業が『会社法』により有効な決議を出した場合、法定のプロセスを履行したうえで有効な決議を持参し、清算報告、登記抹消の申請を行うことができる。
 2.企業が有効な決議を出すことができない場合、株主は裁判所に強制清算を申し立て、裁判所の裁定に基づき登記抹消を申請することができる。

(2)「企業営業許可証」紛失の問題の解決。企業は「国家企業信用情報公示システム」を通じて無料で営業許可証の無効声明を公表するか、新聞・刊行物に紛失公告を掲載することができ、抹消する企業のために再発行手続きを行う必要はなくなる。

(3)企業の法定代表者による申請ができない問題の解決。企業は法定代表者変更と登記抹消の2つの手続きをまとめて登記機関に1回で申請することができる。

外資系企業の留意点
(1)企業の登記抹消手続きが簡素化されたとはいっても、法律上株主実体の清算に関する義務や責任が減らされるわけではなく、企業は依然として適法かつ慎重に、手間と労力を費して清算に伴う従業員、資産、債権債務の処理等の業務に対応しなければならず、徹底して株主の義務を果たし、リスクが残らないようにする必要があります。
(2)企業の信用管理に注意し、企業が「誓約制」により一時的な不備が容認される方式で税務登記抹消を行った場合には、誓約期限までに書類を揃えて関連の手続きを完了させるようにし、信用失墜の懲戒措置が取られることを回避する必要があります。

 外資系企業の登記抹消に関して今後打ち出される、商務局及び税関の新施策には随時注意するようにします。同時に、登記抹消サービスの全プロセス電子化を実現するため、北京市では企業登記抹消サービスのオンラインプラットフォームの開設が計画されています。これらの動きは外資系企業に密接に関わるもので、弊所でも引き続き動向をフォローしていきます。

作成日:2019年03月11日