最新法律動向

個人所得税の特別追加控除実施へ/社会保険局での社会保険金受給手続きに証明書類の持参は不要に/山東省の女性従業員に生理休暇適用の動き

◆個人所得税の特別追加控除実施へ 月あたりの節約額をチェックしてみては

  • 財政、税務等の機関で起草された『個人所得税特別追加控除暫定施行弁法(意見聴取稿)』では、個人所得税法に所定の子女の教育、継続教育等の6項目にわたる特別追加控除の具体的な実施弁法が、明確に示されました。暫定施行弁法は、パブリックコメントを経て法により2019年1月1日から実施されることになっています。
  • 個人所得税の特別追加控除とは、5,000元の基礎控除費用、「三険一金」等の特別控除のほかに、子女教育、継続教育、重大疾病の医療費、住宅ローンの利子或いは家賃、高齢となった親の扶養等の支出について特別追加控除を受けることができるというものです。暫定施行弁法では、特別追加控除の範囲と基準について定めています。
  • 暫定施行弁法では、関係機関や事業者は、税務機関に対し、特別追加控除に関する情報を提供するか、照合確認に協力しなければならないとされています。例えば、公安機関により、身分、戸籍、出入国証明書、国外留学者、公民の死亡表示等の関連情報が提供され、衛生健康機関からは、出生医学証明情報、一人っ子等の関連情報が提供されます。

留意点:
従業員の個人負担が軽減される一方で、控除の真実性と正確さの向上には強大な信用システムの構築が必要となり、このことは実施過程の中で徐々に改善されるべき課題となっています。特別控除は、各機関の間の情報共有をより促進するものとなり、個人の納税の適法性がいっそう重視されることになります。

◆人社部が社会保険金の受給時、申請者による証明書類提示は不要とすることを規定へ

  • 今年11月13日より、人社部(人力資源社会保障部)では『社会保険運営管理サービス条例(意見聴取稿)』について、パブリックコメントが開始されています。当該条例では、個人又はその所属先が各種の社会保険金の受給を申請する際、規定により必要となる労働能力鑑定の結果、労災認定の結果、就業失業登記等の情報は、社会保険の運営機関が情報共有等の方式でこれらを取得すべきであり、申請者に証明資料の提供を求めてはならないとしています。
  • 国はオンライン行政事務サービスの一体化プラットフォームを開設し、全国共通の、各級間相互連携を行うデータの共有・交換体系を構築し、社会保険業務におけるデータ共有を実現するとしています。

留意点:
当該条例が公布、実施されることで、企業の社会保険手続きがよりスピーディに行えるようになる反面、各政府機関の間の情報共有がますます強化され、ビッグデータ監督管理下における企業経営へのコンプライアンス要求がさらに厳しくなることが予想されます。

◆『山東省女性従業員労働保護弁法』にかかるパブリックコメント

  • 月経期間:月経痛が重い、或いは過多月経の女性従業員は、医療機関による診断証明があれば、休息を申請することができ、1~2日の病気休暇が与えられる。
  • 妊娠期間:妊娠12週未満でつわりが重い女性従業員に対し、労働時間中に一定の休息時間を与えることができる。妊娠28週以降の女性従業員は、1日につき1時間の休息を与え、且つこれを労働時間に含めるものとする。
  • 授乳期間:女性従業員の1日の授乳時間は1回で使用しても、2回に分けて使用してもよく、授乳時間には授乳のための往復移動時間を含めない。考課上ノルマ設定のある労働に従事している場合、使用者は授乳時間に相応の労働ノルマを控除しなければならない。

留意点:
当該弁法が公布・施行されると、企業の女性従業員の休暇管理に一定の影響が及ぶことが予想されます。山東省内の日系企業では当該弁法の公布や施行の状況に留意し、企業の実状と当該弁法で新たに追加される内容を併せて踏まえ、休暇制度や相応の休暇管理方式を適時調整されることをお勧めします。

作成日:2018年11月20日