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北京等22都市に越境EC総合試験区を設立

今回は、国務院より8月7日付で公布された『北京等22都市に越境EC総合試験区を設立することに関する認可回答』(以下『認可回答』という。)について簡単にご紹介いたします。

中国共産党中央委員会、国務院では越境EC等の貿易の新業態の発展が高度に重視されています。2015年以来、政府活動報告では4年間にわたり毎年、越境EC等の新業態の発展促進が提起されてきました。国務院は2015年3月、2016年1月の2度、杭州等の13都市において越境EC総合試験区(以下「総合試験区」という。)を建設しました。

総合試験区における越境ECの成約金額は、倍額以上の成長が2年間続いており、越境ECは貿易の新業態の一つとして、依然急速な発展段階にある分野となっています。今回の総合試験区の新設は、各地が実情を踏まえて、越境ECの発展を促進する監督管理制度・サービス体系・政策枠組みを最適化し、越境ECがより広範に発展するのを促進する動きであるといえます。

国務院は、北京市、フフホト市、瀋陽市、長春市、ハルビン市、南京市、南昌市、武漢市、長沙市、南寧市、海口市、貴陽市、昆明市、西安市、蘭州市、アモイ市、唐山市、無錫市、威海市、珠海市、東莞市、義烏市の22都市に総合試験区を設立することを認めました。

『認可回答』では、総合試験区の建設においては、これまでに2度に分けて設立された総合試験区で蓄積された経験とノウハウを模倣すべく、越境ECの企業から企業へのB2Bモデルに関する分野の技術基準、業務フロー、監督管理方式やIT化構築等の面でのパイロット実施に力を入れ、越境ECの発展への新たな経験やノウハウを模索していくことを明確に示しています。

また『認可回答』は、関係機関や各級の政府が越境ECを突破口に、総合試験区における大胆な模索とイノベーション発展を大いに支援し、物流、倉庫保管、通関等のプロセスのさらなる簡素化、通関の一体化と情報共有等の関連政策を整備し、国際貿易の自由化、利便性向上及び業態のイノベーションを推し進めることを要請しています。また同時に、パイロットにおけるリスクを適切にコントロールすることも求められています。

『認可回答』の内容は、対中投資を行う外資系企業にとって発展の契機となることは間違いありません。①地域の選択において、総合試験区が設立される都市の数がこれまでの13から35に増え、総合試験区での企業設立を計画する外資系企業にとっては選択の幅が広がりました。②政府審査認可の面では、行政のの簡素化、権限の委譲、委譲・管理の両立、サービスの最適化が進み、企業新設の手続きが大いに簡素化されて企業負担が軽減することになります。③企業の通関手続きの面では、関係機関や各級政府が物流、倉庫保管、通関等のプロセスをより簡素化し、通関の一体化と情報共有の体制整備を行い、電子商取引に従事する企業のための重要な経営環境への便宜が図られました。

後続の具体的な実施案は、その都市を管轄する省級政府により公布され、それを受けて各都市からも越境ECの発展を奨励する政策措置が発表される可能性があります。関心のある企業は、自社の実情も考慮しつつ、今後の具体的な実施案や奨励政策等に注目されるとよいでしょう。

作成日:2018年08月17日