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国家移民局が設立 「グリーンカード」申請要件緩和に期待

今年4月2日、国家移民管理局が設立され、正式に発足しました。『国家機構改革案』の要求に基づき、国家移民管理局は、出入国の管理及び検査を行う機関としての職責を担うほか、移民政策の制定、実施を統括し、外国人の逗留、滞在、永住の管理、難民や国籍の管理を管轄します。さらに、適法な手続きを経ずに、中国で不法就労、不法入国、不法滞在する外国人への対処、不法移民の送還、移民分野での国際協力等を統括し、全体を取りまとめる役割を担うとされています。

中国では、新中国が成立した当初、外国人の出入国は厳しく抑制されていましたが、改革開放以来、海外の専門家を呼び込むために、徐々に外国人に対する出入国の制限が緩和されるようになり、その後ビザ制度が導入されて、空港等で入国審査時に直接ビザを手続きできる制度も設けられました。2004年8月、公安部と外交部は連名で『外国人の中国永住にかかる審査認可管理弁法』を公布し、外国人の永住制度を確立しました。その後、抑制は段階的に緩和されましたが、「グリーンカード」申請のハードルは極めて高いものであったうえ、当時発給されていた「長期居留証」は最長5年間の滞在を認めるものでしかありませんでした。2015年、中共中央弁公庁と国務院弁公庁が連名で『外国人の永住サービス管理強化に関する意見』を公布した中で、初めて「移民」という概念が提起され、2018年4月2日になり、正式に国家移民管理局が設立されるに至りました。このように、中国の移民政策の歴史は、「厳格な抑制」から「厳格さが緩和された抑制」、さらに「抑制と管理の両方を重視する」という3つの段階を経て、現在は管理を中心とする段階へと移行しつつあります。

中国のシンクタンクCCGが発表したデータによれば、2015年の時点で中国に居住する外国人は89万人に達し、中国の総人口の0.06%を占めているといいます。その大部分は、留学、就労のため、或いは帯同家族として中国に来た外国人です。2017年4月1日に中国全土で統一の外国人訪中就労許可制度が実施されるようになって以来、外国人の中国就労に必要な手続きも、簡素化がますます進んでいます。最近の「財経」誌の報道では、国家移民管理局が正式に発足してから2カ月で、中国での永住条件に適格であるとして認可を受けた外国人が合計1,881名おり、これは2017年に認可を取得した外国人の総数に相当するそうです。

中国では改革とグローバル化の進行に伴い外国籍人材に対する需要が切迫しており、「千人計画」は「万人計画」へと切り替えられ、各レベルの政府機関からも、外国籍のハイレベル人材に対してよりよい発展環境が提供されるようになっています。パイロット地区となる北京の中関村、広東の自由貿易試験区では、新たな出入国関連政策を相次いで実施し、外国籍のハイレベル人材、起業人材、留学生、外国籍華人の出入国及び滞在に便宜を図っています。「人材強国」を目指す戦略のもとで、「グリーンカード」申請の要件が徐々に緩和されていくことが期待されています。

作成日:2018年08月10日