最新法律動向

『企業年金弁法』の公布

先頃、人力資源社会保障部、財政部が連名で『企業年金弁法』(以下『弁法』という)を公布しました。2018年2月1日から施行され、これに伴い『企業年金施行弁法』は廃止されることになります。

「企業年金」の定義
企業年金とは、企業及びその従業員が法定の基本養老保険に加入しているうえに、労働協約を通じて企業が独自に導入する、補足的な養老保険制度を指します。法定の基本養老保険に加入して保険料の納付義務を履行しており、なおかつ相応の経済負担能力を持つ企業であれば、企業年金制度を導入することができます。

納入率について
『弁法』によれば、企業年金の資金は、企業と従業員個人が分担して納入し、企業による納入額は年間で当該企業の従業員賃金総額の8%を超えず、企業と従業員個人の納入合計額は、当該企業の従業員賃金総額の12%を超えないものとし、具体的な必要経費については、企業と従業員が協議するものと規定されています。

資金の納入方法
企業は、自身の経済状況に基づき、従業員との協議で合意したうえで、具体的な企業年金の納入方法を決定することができます。企業年金の導入後、企業が経営赤字に陥ったり、再編やM&A等により当期は納入不能という状況となった場合には、従業員との協議を経て、納入を中断することができます。後に納入不能の状況が消失すれば、納付入を再開することができ、また企業の実情により、納入を中断した際の企業年金計画書に基づいて資金を追納することもできます。

給付を受ける条件
従業員が法定の定年退職年齢に達したか、労働能力を完全に失ったか、中国を出国して他の国や地域に定住する場合には、企業年金を受給することができます。また、従業員又は定年退職者の死亡後、その企業年金個人口座の残高は相続することが可能です。企業年金の受給方法には、月決め、分割、一括、商業養老保険商品の購入等といった複数の方法があります。

留意点
企業年金は強行規定による制度ではないため、企業は自社の実情により、企業年金制度を導入するかどうかや、導入する場合の制度適用者の範囲を自ら決定することができます。企業年金制度の導入により、従業員への報酬体系がより整ったものになり、優秀な人材を誘致したり、従業員の流出を防止し雇用の安定を図るといった効果が期待されます。また、現行の法令では、企業年金の会社負担分、個人負担分については、個人所得税を徴収しないことになっています。このため企業年金制度の実施は、合理的な節税の方法の一種とも言えます。制度を導入する意向のある企業は、『弁法』に従い、自社の実情を踏まえて、合理的な企業年金計画書を策定されるとよいでしょう。

作成日:2018年01月18日