法律相談Q&A

企業賃金団体交渉制度について

Q.今年1月1日に『山東省企業賃金団体交渉条例』が施行されてから、社内で従業員より定期的に昇給すべきだとの意見が出るようになりました。この意見の通り対応すべきでしょうか。

A.『山東省企業賃金団体交渉条例』の規定によると、企業賃金団体交渉とは、企業の賃金分配制度、賃金の分配形式、賃金収入水準、賃金の支給方法等について、従業員側と企業側が法に基づいて行う平等な協議の行為を指すとされています。賃金特定項目労働協約とは、従業員側と企業側が前述の事項について、法に基づく協議を行って合意した上で締結する、特定項目に関する書面の契約を指すとされています。

賃金に関して団体交渉を行うことの意義は、企業の収益、従業員賃金、労務コスト、雇用規模等の要素を総合的に考慮したうえでの団体交渉を通じて、賃金引き上げか、ゼロ成長か、マイナス成長とするかの結論を導くものと認識されます。収益の良好な企業では賃金の引き上げを実現できる一方、経営が特に苦しい企業では、ゼロ成長又はマイナス成長となります。このように「賃上げ」は、あくまで賃金団体交渉の結果の一つであり、賃金協議をしたからといって、必ず賃金が引き上げられるものとは限りません。

Q.協議の結果、「賃金特定項目労働協約」の締結に至らなかった場合は、どうすればよいでしょうか。

A.『山東省企業賃金団体交渉条例』では、一方又は双方が県レベル以上の人民政府の人力資源社会保障機関に対し、調停を申請することができると規定されているのみで、どのように処理すべきかについては明確に示されていません。企業が従業員と団体交渉を行い、合意に至らず「賃金特定項目労働協約」を締結できなかった場合について、『労働協約規定』の規定に基づき、労使双方が協議して合意したのであれば、協議を中断することは可能と考えられます。中断の期限、次回協議の日時、場所、内容については、労使双方で協議を行い決定します。つまり、最終的に「賃金特定項目労働協約」を締結できるかどうかは、なお企業側と従業員側の協議の進行状況にかかっており、協議を行えば必ず合意し、「賃金特定項目労働協約」を締結できるとは限りません。また、「協議不調」の問題を解決して団体交渉が形式化することを避け、団体交渉の質を向上させ、団体交渉の実効性を実現するという目的から、『山東省企業賃金団体交渉条例』では、労使双方の首席協議代表者は弁護士への書面委託により協議顧問をつけることができる旨を、明確に規定しています。弁護士が参与することで、法律の許す枠組内での協議・交渉の実施を保証するとともに、協議・交渉の過程や結果の適法性も確保することができます。さらに、一定程度において双方の対立ムードを和らげ、双方協議の落としどころを探るうえでも役に立つかもしれません。

作成日:2017年09月19日