法律相談Q&A

重大な労働保障に対する違法行為の公表弁法の施行について

Q.当社は青島の日系企業です。これから重大な労働保障に対する違法行為についての公表に関する法律が施行されると聞きましたが、これについて教えて下さい。
A.2007年1月1日から、人力資源社会保障部は2016年9月1日に公布した『重大な労働保障に対する違法行為についての公表弁法』(以下「弁法」という。)の規定により、「弁法」が定めている重大な労働保障に対する違法行為について、法に基づいて行政処分を受けるほか、人力資源社会保障機関は社会へ公表し、社会の世論と監督方式を通じて雇用者に労働保障にかかる法令を遵守するように求めることとなりました。
1.「弁法」の主な内容
(1)社会に公表する重大な労働保障に対する違法行為の種類
現在の労働保障にかかる監察取締のポイントと労働保障管理に関するホットな問題を踏まえ、「弁法」第5条は7種類の社会へ公布すべき重大な労働保障に対する違法行為を定めています。
これには、次の2点が含まれます。
① 労働者の労働報酬をピンハネするか、理由なく遅配し、その金額が多額の場合。労働報酬の支払を拒否し、法に基づいて司法機関に移送し刑事責任を追及された場合。
② 法に基づく社会保険に加入しないか、法に基づいて社会保険料を納付せず、状況が著しい等。
上記の「状況が著しい」や「金額が多額」等の程度の基準については、「弁法」で具体的な基準は設けられていないため、施行されてから、各地の人力資源管理機関が実情を踏まえ、規定に基づいて決定するものと思われますので、引き続き注目されるよう、お勧めいたします。
(2)社会への公布のルート
①人力資源社会保障行政機関のポータルサイトで公表
② 現地の主な刊行物、テレビ等のメディアで公表
(3)その他、今後の措置
① 重大な労働保障に対する違法行為及び公表の状況を雇用者の労働保障法遵守ファイルに記入し、人力資源社会保障信用システムに組み込む。
② その他、企業の労働保障違法情報を工商機関の「全国企業信用情報公示システム」に登録する等、政府機関と社会団体が法に基づいて情報を共有し、共同で処分を行う。

2.今後も注目すべき事項
「弁法」のほか、今年7月に人力資源社会保障部が公布した『企業労働保障法遵守等級評価弁法』も2017年1月1日から同時に施行されます。労働保障に対する違法行為が発覚した場合、行政処分を受けるほか、労働保障方遵守等級が引き下げられ、労働保障監察取締の重点対象にされてしまいます。
日系企業の皆様におかれましては、2017年1月1日迄に企業の労務管理の状況についてコンプライアンス審査を行われることを、お勧めいたします。そして可能な限り労働保障に対する違法行為が発覚して労働保障法遵守等級が引き下げられ、企業の法的取締に対する負担が増加することを避けることを、お勧めいたします。また、重大な労働保障に対する違法行為が発覚し、社会に公表され、企業の信用に悪影響が及ばないようにいたしましょう。

作成日:2016年11月14日