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東方新報のインタビュー記事ー2016年10月13日ー

東方新報2016-10-13

翻訳:

日本の経済界訪中団について実務経験豊かな弁護士が語る!

~日系企業が中国から撤退しているように見えるのは、あくまで表面的な現象に過ぎない~

■本誌 周文晶記者

9月21日、日本の経済界の代表団が中国を訪問し、中国政府へ日系企業が中国市場から撤退する場合の手続を簡素化するよう求めた。これは一部のメディアに日系企業が大規模な資本撤退するのではないかという懸念を引き起こした。9月23日付の「日本経済新聞」も「経済界訪中団、投資環境の整備と中国からの撤退手続の迅速化を要請」との見出しで報道を行った。これにより、在中日系企業が間もなく全面的に資本撤退するという噂が世論の注目の的となった。

一連の信頼すべき統計データを分析すると、日系企業の対中投資は急激に下落しており、このことは争いようのない事実である。しかし、日系企業が一斉に中国から撤退するかというと、今ところ、そうした兆候は見られない。それではネット上で熱い話題となっている日系企業撤退の真相とは、一体何なのか。日系企業は本当に中国から全面的に撤退するのだろうか。こうした疑問を解消するため、最近本誌記者は今回の訪中団に参加した実務経験豊かな熊弁護士にインタビューを行った。熊弁護士は、20数年前に日本へ来て以来、一貫して日系企業の対中投資業務のコンサルティングを行ってきた。そして中国に投資する日系企業が中国の法令を理解する手助けをしてきた。

熊弁護士からの説明によれば、今回日本経済界の訪中代表団に参加したのも長年この分野で業務を行ってきてこうした切実な需要を見いだした所以だという。日中両国の経済界が更に幅広く発展と交流を行うことを望んでおり、日経企業の中国における投資がスムーズに行われ、両国がウィンウィンを実現することを望んでいる。そのため、こうした両国のハイレベルの経済界の交流を大変重視しているとのことであった。

熊弁護士は、日系企業が中国から撤退すると言われていることについて、このように述べた。「こうした言い方は正確ではないでしょう。これまで私達は一部の日系企業が中国から撤退する局面をみてきたし、これは一種のブームかも知れません。けれども、これは日系企業が全面的に中国から資本撤退することを意味していません。ここ近年、中国の労務コストの上昇によって、一部のローエンドの製造業が撤退し、労務コストが更に低い国へ向かう傾向が起きているせいです。」

資本撤退は、スムーズな投資のため

熊弁護士によれば、日系企業の中国からの撤退は、ローエンドの製造業に限られるという。近年、労務コストが絶えず高騰してきており、企業の経営が難しくなる局面に瀕している。特に中国に直接投資しているミドル・ローエンドの製造業は、中国の同業者と同様に、企業再編を迫られている。表面的に見ると、企業が資本撤退しているように見えるが、実はそうではない。事実上、これらの日系企業は、対中投資が更にスムーズに行われるために一部の企業グループが内部の統合をおこなっているだけで、企業経営上での一種の調整である。企業は、調整後に中国国内で更に市場の要請に適合するようにし、そこからより多くのリターンをえることを望んでいるためだという。

このほど、日本の経済界の代表団が訪中して投資環境の整備を要求し、撤退手続の迅速化を要請していることについて、熊弁護士は、実のところ中国政府も一貫してこの分野での努力をしていると述べた。また、企業の清算・資本撤退は、実務上相当複雑な作業であり、行政的に届出すれば済むというものではなく、労働者の処遇等々の問題に関連しているため、関連する法令に基づいて厳格に行う必要があるという。日系企業を含む在中の外資系企業が清算等の一連の調整を行う場合、いずれも一連の総合的な要素の影響を受ける。これには投資環境、法的環境が含まれ、これは例えば中国の労働契約法や、これから公布される外国投資法等々である。したがって、恐れる必要はないという。

日系企業の対中投資の未来は明るいものである

熊弁護士は、日系企業の対中投資の今後について、中国の経済環境全体は、今後とも期待できるものであり今後も多くのハイエンド企業の対中投資を招致し、投資環境は更に良くなると見ている。「この大きな枠組みのもと、私は外資企業の中国でのウィンウィンを期待しています。」熊弁護士は、続けてこう述べる。「特に我々のように実務に従事している弁護士からみると、日系企業はやはり中国市場に依存しています。これまで通り中国における日系企業の発展は良好でしょう。来年は、日中国交正常化45周年でもあり、我々も両国が経済面で更に発展することを期待しています。このため両国のハイレベル間、特に経済界のハイレベル間の相互訪問は特に重要です。今回日本経済界の中国訪問代表団に参加して、我々もハイレベルの指導者にお会いいたしました。今回の代表団は経済界の交流のためにアレンジされたもので、重要な意義があると考えています。」

作成日:2016年10月18日