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ーNEWー☆☆上海で計画出産の新政策:結婚休暇、配偶者出産看護休暇を10日に増加

上海で計画出産の新政策:結婚休暇、配偶者出産看護休暇を10日に増加

 「二人っ子の全面的奨励」政策が打ち出されて以来、結婚・出産休暇が「減らされる」ことを懸念していた市民をほっとさせるニュースが流れた。上海市第14期人民代表大会常務委員会第27回会議は、23日に行われた決議で『上海市人口及び計画出産条例』の改訂案(以下『改訂案』という。)を可決し、一組の夫婦は2人の子女を出産することを提唱し、それまでにただ子女を1児しか設けていない場合、第2子を出産することができるようにし、2度目の出産について審査認可手続きは必要ないものとした。この決定は今年3月1日より施行されることになる。

  婚・再婚者に7日の結婚休暇を追加

 この度改訂された国の『人口及び計画出産法』では、国民の晩婚・晩産は奨励されなかったものの、各地で従来規定されていた晩婚休暇をどうするかについても言及していなかった。上海市衛生計画委員会の責任者である鄥惊雷氏によると、晩婚者が多数を占めるようになった今日、福利措置の継続性を維持するとともに、結婚休暇日数を減らさないとの国家衛生計画委員会による指導方針に基づいて、原条例で規定されていた7日間の晩婚休暇が、『改訂案』では「法律の規定を満たして結婚する国民は、国の規定する結婚休暇のほか、さらに7日の結婚休暇を取得できる」というものに調整されるとのことである。

これは、晩婚者の福利が変更されないことを意味している。また、上海市では従来の非晩婚者や再婚者が取得できる結婚休暇については、改訂前の規定の3日に7日が追加され、最長で10日間の休暇を取得できるということになる。

  出産手当と出産・育児休暇がともに増加

 注目されている「出産休暇」と「育児休暇」の問題について、前出の鄥惊雷氏は、先ず上海の晩産休暇は従来30日と規定されていたことを指摘した。つまり、女性が晩産年齢に該当する場合に取得できる98日の「出産休暇」に加えて30日の晩産休暇が追加されていたところ、上海の大部分の女性が、初産の時点で晩婚と国が定めた年齢を超えていることから、女性の出産する権利に確かな保障を与えるため、原条例に規定されていた晩産休暇を調整して「育児休暇」にすることとし、法律法規の規定を満たして出産する女性は、国の規定する「出産休暇」を取得できるのに加え、さらに30日の「育児休暇」を取得することができるようになるという。即ち、女性は合計128日の出産休暇をとることが可能となり、且つ、「育児休暇」では「出産休暇」と同等の待遇を受けることができるという。

注目されるのは、晩産休暇が調整されて「育児休暇」となった後、出産手当が大幅に増加される点である。出産手当の資金ルートはこれまでと同様出産保険基金より支出され、出産保険基金が不足となる場合は、市級の財政より、所定の手続きを踏み補填されると、鄥惊雷氏は説明している。

  男性には配偶者出産看護休暇10

 上海では従来、晩産看護休暇は3日であり、つまり晩産をする女性の配偶者は3日の晩産看護休暇が取得できることが規定されていた。晩産看護休暇として3日は短いとの声が多いことから、男性が出産女性の世話をすることを奨励するとともに、雇用先の負担などの要素も考慮されて、この度、配偶者出産看護休暇は10日と新たに規定されることになった。『改訂案』では、法律法規の規定を満たし出産する夫婦は、男性が10日の配偶者出産看護休暇を取得することができ、当該休暇を取得期間中は、本人が通常出勤して支払われる分の賃金が支給される。

 しかしながら、他の省市に比べると、まだ充分ではないと感じている人もいるようだ。浙江省、福建省、広東省では、出産看護休暇は15日であり、広西省、寧夏自治区では25日にも及ぶのに、上海はなぜ10日なのか。市政府の法制弁公室の劉副主任の説明では、社会福利においては、減算してはならず加算のみを許すという理念が大もとにあるにもかかわらず、ここで考慮すべき点として、休暇のコスト負担には区別があり、「育児休暇」にしても、かつての晩産休暇にしても、政府の基金及び政府の財政負担から出ていたのに対し、晩婚休暇と出産看護休暇は多くの企業が含まれる事業者の負担となるものであり、こうした方針の決定にはある種のバランスが必要だという。

  再婚後の「再出産」に対する明確な要求

 改訂される『人口及び計画出産法』によると、国は一組の夫婦が2人の子女を出産することを提唱し、省級の人民代表大会やその常務委員会は、子女を再び出産できる条件について具体的に定めることができるという。再婚家庭や病気、障害を持つ子女を抱える家庭について、『改訂案』では、再び子女を出産できる条件を以下の通り規定している。

 (1)結婚前に一方が子女を設けたことがなく、他方が子女1児を設けており、かつ双方の結婚後に子女1児を出産する場合。

 (2)双方は結婚前に双方合わせて2人以上の子女を設けており、且つ双方で子女を設けたことがない場合。

 (3)双方はいずれも結婚前に子女を設けたことがなく、結婚後に子女を2児出産したが、そのうち1児が区、県又は市の病気・障害を持つ児童専門の医学鑑定機関で非遺伝性障害と認定され、正常な労働力として成長することが難しい場合。

 その他の特殊な再出産の状況については立法で包括的に定めることが難しく、さらなる検証が必要となる。慎重を期して『改訂案』では、その他の特殊な状況により再出産が認められる条件については、上海市政府により別途規定される。

 (東方ネットより)

作成日:2016年03月02日