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外国人永住権制度についての意見に関する公安部の見解

2015年9月15日、『外国人永住権サービス及び管理に関する意見』(以下「意見」という。)が国の改革推進指導グループの第16回会議において可決され、外国人の永住権に関する制度が一新されることとなった。公安部の責任者へのインタビューを通して、「意見」の目玉をひも解く。

 外国人永住制度が規制緩和され、より実務的なものに

外国人永住制度は、中国で起業したり、投資を行ったり、就労する外国人を招致し、便宜を図る制度である。2004年8月、『外国人の中国永住に関する審査認可にかかる管理弁法』が公安部と外交部の連名で公布、施行されたことにより、この制度が正式に運用され始めた。ここ数年、永住制度は公安機関によって次のように改善されてきた。

■  人材導入計画のもと訪中外国人が行う永住手続を簡素化し、審査及び認可にかかる時間を短縮

■  外国人の永住を申請できる組織の範囲を更に拡大

■  上海テクノロジーイノベーションセンターや北京中関村において永住申請の市場評価システムの実施を模索

このような改善を経て、外国人永住制度は、国の人材戦略への貢献、海外からの投資の導入や華僑の人材確保などの面で重要な役割を担うようにしている。

しかし、改革開放が進み、経済社会が発展していくに従って、外国の人材、技術や資金に対する中国国内の需要はさらに切迫したものとなっており、各界から永住申請の規制緩和や永住者の待遇の明確化などを求める声がより大きくなってきている。

「意見」では、このような中国国内の情勢や社会的需要に応え、より積極的で実用性のある外国人永住政策の実施が強調され、行政や法制等の整備、申請条件の最適化、永住資格・待遇の実行等を通してより明確で簡素化された制度づくりを行うことが謳われている。

外国人の永住権申請がより迅速に

「意見」では、国の重要な人材導入計画に資する制度づくりが掲げられ、例えば「千人計画」(中国の人材導入計画の一つ)等に該当する人材に関しては、永住申請を優先的に行えるような待遇を設けた。

それだけでなく、次のような措置も講じている。

■  市場での人材確保にかかる制度が積極性を充分に発揮できるよう、政策や市場の需要を反映し、永住申請についての指標の数値評価システムの構築を進めることで、人材の評価や配置の過程における市場の許容度を高め、事業者の海外からの人材導入と活用を促進し、海外からの人材の導入を増やす。

■ 在中就労者の永住申請のハードルを下げ、現行規定と異なり、所属団体の規制や担当職による永住申請についての規制を緩和する。

■ 国が特に力を入れている業種に従事する外国人が就労ビザから永住権を取得できる体制を築く。

■  優秀な外国人留学生の中国における就労規制を緩和し、永住権取得を申請する道を開く。

これらの規定により、中国で就労する多くの外国人が永住権取得の資格を持つようにしていく。

家族滞在型の永住に関する規制緩和の需要に応える

家庭は社会において最も基礎的な共同体であり、家族と暮らすことは、人として最も基本的な権利の一つである。そのため、ほとんどの国において、親族として滞在をする者に出入国や滞在及び居留の面で便宜が図られている。

「意見」でも、親族滞在型の永住権についての需要に応え、親族滞在型永住権の申請についての申請の種類を増やし、居留年数に関する制限を引き下げることで、中国に長期的に居住する元中国国籍保有者に永住権申請の道を設けた。これにより、海外の華人が自由に中国を出入国できるようにし、親族訪問や業務の便宜を図っている。

出入国サービスの効率化

「意見」では、外国人永住権政策がバラバラに発表されている点にも着目し、発表を行う機関を外国人永住権の審査及び認可の管理機関に一本化することに決め、情報収集の簡素化を図っている。

また、外国人永住証取得までのプロセスを簡素化し、行政機関間でのチェックや情報の反映をより素早く行えるようにするとともに、審査認可の効率化を図るとしている。

さらに、信用システムを整備し、永住者の中国における就労、学習、納税、社会保険への加入などの状況を監督管理し、永住権取消の条件とそのプロセスをさらに改善するとしている。

永住者が安心して生活できる待遇を保障する

これまで、永住者の待遇を実現することが難しかった問題である、出入国、就職、家の購入、金融業務、運転免許証の申請と取得、子供の入学、交通、住所登録、社会保険等の面で「意見」は、明確に待遇を設けることとし、関連機関に職責の範囲内にある事項について永住者の待遇を明確化するよう要求し、それを公表し、実現することも併せて求めた。

また、「意見」では、永住権を取得した外国人を各地の人口管理システムに組み込み、政府主導で社会全体が参与し永住者受け入れ態勢を構築することも要求しており、実情にあわせ、永住者が語学研修、就労サービス、法律サービス等を受けられるようにし、外国人が活躍できる場、より便利な生活条件、開放的で文化的な雰囲気、効率のよい市場及び公共サービスを整え、永住者のイノベーションや起業の活力と情熱を呼び起こし、住居や就労の上で制度的な保障を与えることを求めている。

永住権サービスの法治化をすみやかに進める

優れた法治環境を整備することは、海外の人材や投資を導入する上では非常に重要な要素である。「意見」では、外国人永住権管理条例や外国人の在中就労管理条例などの行政法規と制度的文書の早期制定を求めている。

また、権利義務体系が一本化され、業務におけるサービスと管理の双方が重視され、永住権取得と取消の機能を併せ持つ、外国人永住権システムの早期構築も謳われており、海外からの人材や投資導入するために健全な法治制度を形成することで、外国人永住権制度の改革イノベーションが実際に効果を呼び、長期的に効果を発揮するよう、政策実現のための最後の一歩を踏み出すことも求められている。

(中国経済ネットより)

作成日:2016年02月24日