最新法律動向

2016年、31の省で婚姻休暇に対する態度が出揃う 5つの省での晩婚休暇の廃止は確実に

2015年12月13日午後、湖北省では第12期人民代表大会常務委員会第19回会議が開催され、『「湖北省人口計画出産条例」の改訂に関する決定』が可決された。草案では「晩婚については婚姻休暇を15日延長する」という規定が残される予定であったが、第12期人民代表大会常務委員会の審議を経て削除されることとなった。

数日前、湖北省政府より人民代表大会常務委員会に提出した草案では、晩婚休暇に関する関連規定が残されていたが、昨日の審議の結果、削除されることとなった。報道によると、審議において、改訂後の『中華人民共和国人口計画出産法』において晩婚・晩産に対する奨励や婚姻休暇の延長等の待遇に関する規定が削除されたため、湖北省の条例においても上位法の考え方を反映し、湖北省でよりよい出産・よりよい子育てが行われるよう、「晩婚を行う国民は国が規定する婚姻休暇の他、15日の延長休暇を取得する。」との規定を削除するべきであるとの提案がある委員から出され、評決の際に多数の支持を得て可決に至ったという。

昨日の午前までは、晩婚休暇規定の削除がない見込みであると喜んでいた湖北省民であったが、午後の審議にて晩婚休暇が削除されたとの報道にがっくりと肩を落とす結果となった。

「晩婚休暇廃止」が確実に 各地では「納得いかない」との声が

2015年12月27日、全国人民代表大会常務委員会の審議において、改訂『人口計画出産法』が可決された。この新法では晩婚・晩産に対する奨励規定が削除され、また、法律の規定に沿って出産をするものは、出産休暇の延長やその他の福利を受けることができるという制度が提唱された。今年、「晩婚休暇」に関する存続か廃止かという議論に「廃止」という終止符が打たれることとなった。

この結果に多くの人々は驚きを隠せないようだ。そこで、中国経済ネットの記者がネットで取材を行ったところ、この結果に納得いかないとの意見が多く見られた。
ハンドルネーム「@豆豆2号簡称還是豆豆」さんは、次のように書き込んだ。
「80年代生まれ世代は、一人っ子政策、大学入試改革、二人っ子政策の開始、晩婚休暇の廃止、定年退職の延長を、また、医学部に進むものはそれらに加えて医療改革などを経験しているんですよ。今後、私は2人の子供と4人の高齢者を養っていかなければならないんですね……。」
この書き込みからは、やるせない気持ちが伺えた。

また、ハンドルネーム吐糟さんは、次のように書き込んだ。
「もともと結婚にはまだ希望を持っていましたが、晩婚規定が廃止されてしまったことにより、最後の希望も無くなってしまいました。」
また、次のような書き込みもあった。
「晩婚休暇が廃止されてから、地方政府がそれを補完する政策を打ち出さなければ、国民はたった3日しか婚姻休暇をとることができないので、式を挙げる他には何もできないですよ。準備だって休みの時間を使うか、親族または友達に手伝ってもらうしかないですし、ハネムーンなんて全く時間がないですね。」

勿論、このような批判的意見やその他中立的な立場にある意見以外にも、多くの国民や専門家からは、晩婚休暇の廃止は国としての発展の方向に合致しており、人口の安定や、高齢化の抑制などにも良好な効果をもたらすと考えている。

これに関して、国家衛生計画出産委員会法制司の張春生司長は、次のように話している。
「晩婚・晩産休暇の廃止は、今日の男女の初婚年齢が25歳前後ということ、初産年齢が26歳以上であることなど、以前とは異なる我が国の婚姻・出産の状況に対して、国が晩婚・晩産を特に奨励することを止めようというのことが理由である。なぜなら、高齢での出産は母子の安全や保健衛生、高齢妊婦の健康などに良くないからだ。」
との見解を表明した。

新『人口計画出産法』により元旦前の結婚人数が激増 婚姻証手続きに殺到する新婚者

中国経済ネットが掴んだ情報によると、晩婚休暇の廃止というニュースが流れると、各地では結婚を目前にした一部の人たちが晩婚休暇を確保するため我先にと元旦前に結婚を行った模様である。
一部地域の婚姻登記所では、初婚の者の多くは1985年以降の出生者で、過半数が晩婚に該当するため、結婚手続業務に追われているという。皆、改訂前の晩婚福利休暇を確保したいようだ。
多くの地方において、晩婚休暇は婚姻証の交付日を根拠に取得されるため、皆が元旦前に結婚手続に殺到したのは不思議ではない。
また、晩婚休暇は新婚夫婦の旅行に使われることが多く、この新たな結婚の風習も旅行業界にハネムーン産業という新たなカテゴリを生み出したといえる。晩婚休暇の廃止は、旅行業の市場シェアにもある程度影響を与えることだろう。
専門家の分析によると、元旦前の結婚ラッシュは人々の晩婚休暇に対する強い憧れと旅行に対する巨額の消費欲を表しているそうだ。このように、晩婚休暇は一種の人々への配慮と言え、社会の調和を促進することに一役買っているといえるだろう。

多くの地域で晩婚休暇が廃止に 専門家は段階的な導入を提案

新『人口計画出産法』施行後、最も反応が早かったのは広東省である。中国経済ネットの調査によると、広東省では2015年12月30日、改訂『広東省人口計画出産条例』が可決され、2016年1月1日から、改訂『人口計画出産法』と同時に施行された。
広東省では、新しい『広東省計画出産条例』に基づき、晩婚休暇は確かに廃止したものの、政策が2016年1月1日から施行されるため、12月31日までに婚姻登記を行い、なお且つ晩婚政策の条件に合致したものは、晩婚政策の恩典を受けることができ、13日間の晩婚休暇を取得することができる。
北京では1月8日に計画出産条例が正式に改訂される動きがあり、現在すでにパブリックコメントの募集が開始されている。意見聴取稿の規定によると、草案では晩婚・晩産条項の多くが削除され、北京の晩婚政策も今年をもって終わりを告げる模様である。
山東では、もともと晩婚休暇を14日間与えるという規定が設けられていたが、新条例では、「男女双方が晩婚である場合、国の定める婚姻休暇のほか、休暇を14日間延長して支給する。」との規定が削除された。
上海衛生計画出産委員会も婚姻休暇問題への対応として、今年の1月1日以降に婚姻を登記した者は晩婚休暇の待遇を受けないとの態度を示し、7日間の晩婚休暇が廃止され、3日間の婚姻休暇を与えるのみとなった。また2015年12月31までに婚姻手続きを済ませているが、晩婚休暇を取得していない国民は、晩婚休暇待遇を受けることができるとのことである。
湖北省でも、晩婚休暇条項が削除され、15日間の晩婚休暇制度が終わりを告げた。
その他の省でも人口計画出産条例の改訂作業が進行中であり、晩婚休暇に関する具体的な制度の変化は、各省の人民代表大会常務委員会の審議を待たなければならないが、新しい人口計画出産法が既に施行された5つの省や都市では、晩婚制度が廃止されている。この変化を見ると、そうした対応も、その他の省が国の『人口計画出産法』に順応する上での主な流れといえるであろう。
多くの人々にとって、晩婚休暇の廃止は、晩婚を行う若者にとって手痛い変化であり、婚姻休暇の短縮を受け入れ難いことと感じている。専門家は、段階的に晩婚休暇を廃止すべきではないか、徐々に受け入れる段階を踏むほうが良いのではないかと指摘している。
(中国経済ネットより)

作成日:2016年01月19日