法律相談Q&A

雇用安定手当の支給について

Q.当社は北京、青島にそれぞれ商社を設立しています。(外資系企業)最近、政府はリストラをしない企業に対して雇用安定手当を支給すると聞きました。雇用安定手当について教えて下さい。

A.雇用安定手当とは、失業保険による失業を予防し、雇用を促進し、企業が雇用を安定させ、社会的責任を発揮することを奨励するため、リストラを取りやめたか、リストラ人数を抑制し、雇用の安定措置を講じた企業に対し、失業保険基金より支給される手当を指します。

雇用安定手当制度の主旨は、中国の産業構造の調整・優良化という大きな背景のもと、合併・再編を実施した企業、生産力過剰を解消した企業、立ち遅れた生産能力を淘汰した企業に雇用安定手当措置を実施するものです。また、説明が必要と思われるのは、国務院『新たな情勢化における雇用創生を更に着実に行うことに関する業務についての意見』(国発[2015]23号)、山東省人民政府『財政政策運用措置により更に全省の経済方式の転換を進め、構造を調整し、成長を安定させることに関する意見』(魯政発〔2015〕14号)の規定により、2015年より失業保険による企業の雇用安定政策の適用範囲を経営困難な企業から全てのリストラを取りやめたか、リストラ人数を抑制し、雇用の安定措置を講じ、法により全額失業保険料を納付している全ての企業へのサポートに拡大された点です。しかし、青島市では現時点では依然として合併・再編を実施した企業、生産力過剰を解消した企業、立ち遅れた生産能力を淘汰した企業、省エネ排出削減を行っている企業と、主な業務と補助的業務を分離している企業という5種類の企業のみを雇用安定手当制度の主な適用対象としています。

 

北京市と青島市では、雇用安定手当申請の各種規定が異なるため、下表の通り整理して説明いたします。

 

項目

北京市

青島市

適用法

『失業保険による企業の安定雇用のサポートに関する問題についての通知』

(京人社就発[2015]186号)

『失業保険による企業の安定雇用サポートに関する問題を更に明確化することについての通知』(魯人社発[2015]23号)

『魯人社発[2015]23号文書の雇用安定手当の支給業務を確実に行うことについての通知』

適用対象

申請条件に適合する全企業 ①合併・再編企業

②生産力過剰を解消した企業

③立ち遅れた生産能力を淘汰した企業

④省エネ排出削減を行っている企業

⑤主な業務と補助的業務を分離している企業

⑥その他、認可を受けた企業

申請条件

①法に基づいて失業保険に加入し、なお且つ失業保険料を全額納付していること

②前年度にリストラを取りやめたかリストラ率が前年末の全北京市の都市・鎮に登記された失業率を下回っている場合。

(2014年末の北京市の都市・鎮に登記された失業率は1.31%)

①企業の生産経営活動が国及び所在区域の産業構造調整政策及び環境保護政策に適合していること。

②企業が法に基づいて失業保険に加入し、なお且つ失業保険料を全額納付していること

③企業の前年度にリストラを取りやめたかリストラ率(企業の原因によらない労働契約の解除、終了者は除く。)が青島市の前年末の都市・鎮に登記された失業率を下回っている場合。(2014年末の青島市の都市・鎮に登記された失業率は2.97%)

④企業の財務制度が健全で、管理の運行が規則正しく行われていること。

申請可能回数

年1回 年2回

2014年度

申請期間

2015年9月6日~16日 2015年3月31日迄又は9月30日迄

支払基準

企業及びその従業員が前年度実際に納付した失業保険料総額の40%。 当該企業及びその従業員が前年度実際に納付した失業保険料総額の50%。

支払回数

年1回 年1回

用途

主に従業員の生活補助、社会保険料の納付、職務転換研修、スキルアップ研修等の関連支出に用いられる。 主に従業員の生活補助、社会保険料の納付、職務転換研修、スキルアップ研修等の関連支出に用いられる。

申請書類

①企業雇用安定手当申請表

②前年度企業従業員減少状況表

③営業許可証 副本及び写し

④企業の誓約書

⑤その他の書類

①申請報告書

②雇用安定手当申請表

③企業の生産力過剰の解消、立ち遅れた生産能力の淘汰、省エネ排出削減を行っていること、主な業務と補助的業務を分離していること、合併・再編についての書類

④社会保険取扱機関が発行した前年度に企業が失業保険料を全額納付したことについての証明書

⑤企業が銀行に開設した取引口座

⑥その他の書類

 

作成日:2015年09月11日