新たな医薬品管理規則に関する企業の対応 -NEW-
中国は世界第2位の医薬品市場であり、高齢化の進行や慢性疾患管理ニーズの拡大に伴い、輸入原研薬、小児用医薬品、希少疾病用医薬品などに対する需要は引き続き増加しています。多くの多国籍製薬企業は、技術力やブランド力を背景に、中国市場において一定のシェアを確保しています。
2026年1月27日、国務院は新たに改正された『中華人民共和国医薬品管理法実施条例』(以下「本実施条例」という。)を公布しました。同条例は2026年5月15日より施行されます。本実施条例では、医薬品製造販売承認取得者(MAH)である多国籍製薬企業や現地企業に対し、より高度なコンプライアンス義務が課されることとなりました。以下に企業が特に留意すべきポイントを簡潔に説明いたしますので、ご参考ください。
1.新規則を正しく理解・運用することの重要性
従来、国家薬品監督管理当局の規制の重点は、主として医薬品の製造企業および販売企業に置かれていました。しかし、本実施条例の公布・施行により、今後は医薬品製造販売承認取得者(MAH)が政府による監督管理の中心となり、その責任および義務は大幅に強化されます。
これは、本実施条例の施行後、MAHである多国籍製薬企業または現地製薬企業が医薬品の製造を自社で行わず、製造を第三者に委託している場合であっても、自ら品質管理体制および医薬品安全監視(ファーマコビジランス)体制を構築し、研究開発、製造、流通、使用、不良反応モニタリング等、医薬品のライフサイクル全体について包括的に管理・責任を負う必要があることを意味します。万が一、品質問題や苦情が発生した場合、MAHも責任追及を受ける可能性があります。
2.革新的医薬品開発企業にとってのメリット
本実施条例の施行後、革新的医薬品開発企業は新たな「政策上のメリット」を享受できることとなります。具体的には、新薬の市場投入がより迅速化され(市場投入審査期間の短縮)、さらに長期間の市場独占権が付与されます(小児用医薬品:最長2年間、希少疾病用医薬品:最長7年間)。
これらの「政策メリット」を適用・享受するためには、新薬としての認定基準、および小児用医薬品/希少疾病用医薬品に関する政府当局の基準を正確に理解し、適時かつ適切に本規則を活用することが不可欠です。
医薬品の臨床試験データ等の保護範囲を適切に拡大し、他社によるいわゆる「フリーライド」を防止することも極めて重要です。また、新薬の供給が中断しないよう十分留意する必要があり、供給停止が生じた場合には、市場独占期間が取り消される可能性があります。
◆日系企業が特に留意すべきポイント
上記の点に加え、本実施条例では、インターネット医薬品販売(オンライン薬局)や中医薬企業等に関するコンプライアンス運営ルールについても新たな要件が設けられ、法的責任も一層厳格化されています。
偽造医薬品の製造・販売、許可証の偽造等の重大な違法行為については、企業に対する処罰にとどまらず、法定代表者や主要責任者、直接責任者個人に対しても、5~15日間の行政拘留、違法所得の没収、さらには同種業界への終身従事禁止が科される可能性があります。
もっとも、企業が法令を遵守し、適法かつ適切に事業運営を行っている限り、過度に処罰を心配する必要はありません。
作成日:2026年01月30日
