コロナ及びその他のホットな話題

企業の新たなクレーム対策 -NEW-

   プロクレーマーによるクレームを悪用した搾取や悪意あるクレームを無くし、消費者の合法権益を保護するため、2025年12月30日に、国家市場監督管理総局より『市場監督管理クレーム通報処理弁法』(以下「本弁法」という。)が公布されました。本弁法は2026年4月15日より施行されます。
   本弁法は2022年の『市場監督管理クレーム通報処理暫定弁法』を改正したものですが、今回の改正は消費者保護だけでなく、特に企業が実際に遭遇する問題を考慮したものとなっており、プロクレーマーからの嫌がらせやプラットフォームの責任者不明、同じクレームの繰り返しなどに直面した際に合法的権益を守る上でのガイドラインとなります。そこで今回は本弁法の主なポイントを解説します。

1. プロクレーマーへの対応
   クレームとは、消費者が生活消費のために商品またはサービスを購入した際に、経営者との間で発生する消費者権益紛争のことをいいます。
   実務上、一部のプロクレーマーが、商品に問題があることを知りながら故意に大量購入して業者や企業にクレームを入れ賠償請求することがありますが、本弁法には市場監督管理部門がクレームを受理しない7つの状況(『弁法』第16条)について列挙されています。以下に例を挙げます。
(1)生活消費のために必要ではない商品の購入、使用、若しくはサービスを受ける場合、または被申立人との間に消費者権益紛争が存在することを証明する証拠を提供できない場合(例:短期間に同一商品を大量注文する、または実際の購入がないなど)。
(2)消費者権益が3年以上侵害された場合(法律に別段の定めがある場合を除く)。
(3)虚偽の資料を提供した場合。
   これはつまり、企業が申立人の提供した資料・情報に基づき、本弁法に定める事由を活用して市場監督管理部門に抗弁や交渉を進めることができる、ということを意味します。
   また、本弁法では証拠の偽造、虚偽資料の提出、さらにはクレームを口実とした恐喝行為があった場合、監督管理部門は調停を中止するだけでなく、直接公安機関に事件を移送する可能性があることが規定されています。これは企業にとって朗報であり、「当たり屋」的な被害を効果的に減らすことにもなります。(『弁法』第7、16、17、42条)

2. 通報への対応
   通報とは、自然人、法人またはその他組織が市場監督管理部門に対し、市場監督管理に関する法律、法規、規則等に経営者が違反している疑いを報告することを指しますが、通報者は直接の消費者ではない可能性もあります。
   本弁法では通報へのハードルが上がり、違法行為(例えば虚偽広告、偽物販売)を通報する際、通報者は「違法」であることを指摘するだけではなく、具体的な手がかりや基本的な証拠を提供しなければならないことが規定されました。(『弁法』第28条)
   また、複数人から同一の内容を繰り返し通報された場合、対応は一度のみとなり、繰り返し調査する必要はないため、企業負担が軽減されています。(『弁法』第35、40条)
   上記により、企業は列挙された状況を抗弁理由として、無効クレームに該当するため受理すべきでないことや、同一事案に対応済みであるため調査を繰り返すべきでないことを主張することが可能となります。

◆日系企業へのアドバイス
   本弁法の施行までは数か月の猶予があります。プロクレーマーまたは悪意あるクレームに直面した際に市場監督管理部門との交渉や抗弁において自社の合法的権益を保護するためにも、販売、小売に関わる企業は本弁法の改正ポイントを正確に把握する必要があるでしょう。
   また、通報内容が明らかに虚偽である場合(競合他社の悪意ある通報や恐喝行為など)も、現地弁護士などの専門家に調査を委託するなど速やかに対応することにより、企業コンプライアンスリスクを抑え、企業の評判を守ることが可能となります。

作成日:2026年01月22日