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環境保護税の課税範囲拡大に伴う注意点 ~VOCs排出企業は要注目~ -NEW-

   2025年10月28日、全国人民代表大会常務委員会は『中華人民共和国環境保護税法』の改正に関する決定(以下「本決定」という。)を公布しました。本決定は、塗装業、印刷業、自動車、電子産業などの企業に大きな影響を及ぼします。
   本稿では、Q&A形式で本決定の要点と企業が注意すべきポイントを簡単に整理します。最も重要な変更点は、揮発性有機化合物(VOCs)が全面的に環境保護税の課税対象となったという点です。

Q1:VOCsとは?具体的な変更点は?
A:VOCs(揮発性有機化合物)とは、常温で容易に大気中に蒸発する化学物質の総称で、代表例としては、塗料や接着剤、溶剤の臭いなどがあります。VOCsは刺激臭を伴うだけでなく、オゾンやPM2.5の生成に関与し、スモッグや光化学汚染の主要な原因となります。
   従来、環境保護税は18種類のVOCsのみを課税対象としていました。そのため、多くの企業は「リストにないものは課税対象外」と認識していました。しかし、今回の改正では状況が変わり、国は全国または一部地域で「課税対象汚染物質及び当量値表」に記載されていないVOCs(約300種類以上と想定)を試験的に課税対象に含める権限を国務院に付与しました。
   そのため、VOCsを排出し、かつ排出地点が試行対象地域に含まれる場合は課税対象となります。

Q2:影響を受ける業種は?
A:今回の改正では、特に以下に関連する企業が影響を受けます。
(1)製造業:自動車塗装、家具塗装、電子製品洗浄、プラスチック加工など
(2)化学、製薬、印刷、包装業
(3)大量の有機溶剤を使用する企業(清浄剤、希釈剤、接着剤など)
   中国国内で事業を行うすべての外資系企業、特に中国国内での製造工程においてVOCsを排出している企業は課税対象となるため注意が必要です。

Q3:試行の方法や期間は?
A:課税対象となる地域やVOCsの種類、課税基準は、国務院が試行実施要領を策定し、全国人民代表大会に報告した後に決定されます。
   試行期間は5年間(試行実施要領の施行日から起算)と定められており、当該期間中、国務院は試行の効果を評価し、全国人民代表大会常務委員会に報告するとともに、法改正の提案を行います。
   なお、試行期間中も試行要領に従って環境保護税を納付する義務がありますのでご注意ください。

◆企業が注意すべきポイント
   環境保護税はもはや「象徴的な課徴金」ではなく、経済手段を通じて企業のグリーン転換を促す重要な施策といえます。VOCsの課税試行はすでに段階的に開始されているため、VOCsを排出する可能性がある企業は試行対象地域の実施細則の公表に留意し、自社が課税対象となるか、および課税額の変動リスクを事前に確認する必要があります。また、将来的な税負担とコンプライアンスリスクを低減するため、環境コンプライアンス監査や排出台帳の作成を行い、製造工程の調整や税務計画の立案を事前に実施することをお勧めします。

作成日:2026年01月15日