2026年1月1日から多くの新規制が施行
来る2026年から、企業の経営管理や個人の日常生活に関連する新たな規制が正式に施行されます!新たな規制には、企業の納税や個人の移動、インターネット利用まで、幅広い内容が含まれているため、今回はその一部を簡潔にご紹介します。
1. 増値税に関する専門法の制定
増値税は、企業経営において納税額の多い税種であり、その法改正は企業の付加価値税の納税および財務会計管理に重大な影響を及ぼすします。
2026年1月1日より、『中華人民共和国増値税法』が正式に施行されます。同時に、同法と関連する『増値税法実施条例』も施行されます。これまで増値税を管理していた「暫定条例」が法律へと格上げされたため、納税ルールがより明確になります。税負担が増加することはなく、むしろ、実質的なメリットが得られるでしょう。
(1)企業にとって
①「繰越税額還付」が正式に法律に盛り込まれました。仕入れ時に一旦立て替えた税金について、一時的に売上から控除できない場合、これからは直接還付を申請できるようになり、資金繰りの負担が軽減されます。
②小規模納税者の徴収率が一律3%に引き下げられ、これまでの5%の区分が廃止されました。そのため納税額が減少し、商品価格もより手頃になる可能性があります。
③これまで多くの無償行為(例えば、グループ内での無料サービスや代理販売、企業内部の資金貸し借り、不動産の無償賃借、商品を投資または株主への分配に充てるなど)はすべて「販売」と見なされ、付加価値税が課されていましたが、現在は3つのケースに限ってのみ販売とみなされることになりました。
・商品や資産を従業員に福利厚生として配布すること
・無償で物品を譲渡すること
・不動産や無形資産、金融商品を無償で譲渡すること
④仕入税額控除がより緩和されます。
・オフィスビルや工場などの固定資産:仕入税を一度に全額控除できます(2年間にわたり分割して償却する必要はありません)。
・出張費、事務経費など:業務に使用された場合に限り、基本的に全額控除可能です。
・現時点で、ローンの利息は控除できません。
・飲食、レジャー、日常サービスといった3つの直接消費型支出は依然として控除できません。
(2)個人にとって
・電子請求書が全面的に導入され、オンラインショッピングや領収書の発行がより便利になります。また、請求書の偽造も減少することでしょう。
・農業生産、医療サービス、教育サービスなどについては、引き続き付加価値税が免除されるため、新法によって個人の生活コストが上昇することはありません。
2. 「些細なこと」に対する治安管理の厳格化
『治安管理処罰法』が初めて大幅に改正され、新たに28の処罰条項が追加されました。以前は「さほど問題ない」と思われていた行為も、これからは罰金や拘束の対象となり、さらには職務に影響を及ぼす可能性もあります。
(1)以下の行為に対する処罰が追加
・高所からの物を投げ落とす行為は、他人に傷害を与えたかどうかにかかわらず違法となる。
・ハンドルを掴むなど、交通機関の運行を妨害した場合は直ちに拘束される。
・犬をリードなしで散歩させ他人に傷害を与えた場合、罰金が科されたり、犬が没収される可能性がある。
・試験での不正、組織的なマルチ商法、英雄烈士の名誉を毀損することも、道徳的規制から法的処罰へと変更された。
(2)迷惑行為の取り締まり
・広場ダンスの騒音やリフォームによる迷惑行為が何度注意しても改善されない場合、罰金が科される。
・つきまとい行為や他人のプライバシーを盗撮する行為などの迷惑行為も、拘束される可能性がある。
(3)善良な市民が不当な扱いを受けないよう、正当防衛は違法でないと明確に記載された
(4)未成年者の違法行為が「免責」されない
14~16歳の未成年者が1年間に2回違法行為を行った場合、または16~18歳で初めて違法行為を行ったがその内容が深刻な場合は、拘束される可能性があります。
3. サイバーセキュリティの監督強化、情報漏洩やAI詐欺に対する重い罰則
インターネットやスマホを使う際、個人情報の漏洩やAIによる詐欺に注意が必要ですが、2026年1月1日から施行される新しいサイバーセキュリティ法では、違法行為への罰則が強化されています。
(1)罰金の増額
・企業がユーザー情報を漏洩した場合、最大で200万元の罰金を科される可能性がある。
・決済プラットフォームや通信事業者などの重要機関に問題が生じた場合、最大で1,000万元の罰金が科され、責任者はさらに100万元の罰金を科される可能性がある。
・アプリが過剰に情報を収集したり、プラットフォームが電話番号を漏洩したりした場合も、重い罰則を受ける可能性がある。
(2)AI詐欺は法的に規制可能
AIを用いた偽動画の作成やディープフェイク詐欺、あるいは個人情報の違法な収集は厳しく監督されます。また、新たなタイプの詐欺から国民を守るため、政府によりAIの利用規範が整備されます。
(3)権利保護の強化
プラットフォームが個人情報を違法に収集・売買した場合、賠償を請求することができるようになります。
4.信用修復に新たなルール
クレジットカードやオンライン融資で少額の延滞をしてしまった場合、住宅ローンや自動車ローンに影響が出るのではと心配ではないですか?2026年の信用回復政策により、信用修復の機会が与えられます。ただし、以下の条件を満たす必要があります。
(1)期限超過期間は2020年1月1日から2025年12月31日までに限られる
(2)1回の延滞額が1万元を超えていない
(3)2026年3月31日までに全額を返済する
これらの条件を満たすと、延滞記録が個信用情報システムに表示されなくなります。
世間では「信用修復」を装った詐欺が数多く存在していますので、今回の信用修復政策には明確な基準と条件が定められていますので、お金を返さずに信用を修復すると謳う詐欺には決して騙されないようにご注意ください。
◆注意事項
これらの新規則は、企業および個人の合法的権益を保護するためのものです。また、法令を遵守することで、企業も個人も不必要な処罰を回避することができます。そのためにも、新規則の内容を正しく理解し、法令をしっかりと遵守することが重要となるでしょう。
作成日:2025年12月31日
