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朗報:外資企業の政府調達参加に関する新政策 -NEW-

   2025年9月30日、国務院弁公庁は『政府調達分野の国産品基準及び関連政策実施に関する国務院弁公庁による通知』(以下、『本通知』という。)を公布しました。本通知は2026年1月1日から施行されます。
   本通知は、外資企業や民間企業などに政府調達への参加障壁を設けることなく、規則を制定することで政府調達プロジェクトへの公平な参加を進める内容となっています。そこで今回は各企業が留意すべき本通知のポイントを解説いたします。

1.外資企業の政府調達に関する規則の制定
   本通知の規定により、国有企業、民間企業、外資企業は平等と見なされるため、外資企業の製品が以下の「国産品」基準要件を満たせば、内資企業と共に政府調達プロジェクト競争に加わることが可能となります。
(1)「国産品」の認定基準を規定
   国産品とは、生産及び原材料から完成品への属性変更(製造、加工、組立てなど)が中国国内で完了するものを指します。(第1条)
   国産品基準は、政府調達物品項目とサービス項目に含まれる物品にも適用されます。詳細は『政府調達品目分類目録』の物品類製品から確認できます。(第2条)
   また、単に海外の完成品を国内に運んでラベルの貼り付け、小分け、包装をした製品は「国産品」とは見なされず、必ず中国において製造・加工などの主な生産工程を経て完成されたものでなければならないことに留意する必要があります。
(2)製品の部品コスト占有率
   同通知は5年間の移行期間を設定しており、2026年から2030年までの期間は、中国国内で生産されていれば国産品とみなされ、製品の部品コスト占有率を計算する必要はありません。
   移行期間後は、中国国内で完成した製品以外は中国国内で生産される部品コスト占有率(一部製品は国内部品コスト占有率60%以上が求められる可能性がある)を製品ごとに算出する必要があり、特定製品はキーコンポーネントとキープロセスを国内で完成させる必要があります。移行期間後に、基準を満たせず価格優位性を失うという事態を避けるためには、現時点での生産需要を満たすだけでなく、中国国内で生産された部品の占有率を徐々に高めていく必要があります。

2.入札プロジェクト評価審査での価格控除措置
   同通知によると、「国産品」は政府調達の価格評価審査時に、20%の価格控除優遇措置を受けられると規定されています。例えば「国産品」基準を満たした外資企業製品が見積り100万元で入札に参加する場合、評価審査は80万元と計算されるため、競争力が大幅にアップします。
   また、調達項目に複数の製品が含まれ、そのうち80%以上の製品が「国産品」基準を満たす場合は、全製品の見積りが20%控除されます。

◆日系企業の実務上の留意点
(1)関連製品の部品コスト占有率規則や基準などは、今後5年間で財政部と関連業界主管部門により制定されますが、その際には内外資企業や業界協会商会などからも意見を募集することになっているため、各業界の基準制定の進捗に適時注目するとともに、基準制定に積極的に参与することが重要となります。
(2)基準の細分化に伴い、今後の政府調達では製品の生産地、部品コスト、キープロセスなどの情報が照合調査対象となる可能性があります。各外資企業は、「国産品」であることの証明や今後の権利保護のための根拠として、生産記録や調達契約、原価計算などの資料を保管し、状況によっては政府当局との交渉を現地弁護士に依頼する必要もあります。
各外資企業は移行期間中の優遇措置を適時把握し、現地の生産計画を事前に整えると同時に、政策の変更による不測の事態を未然に防ぐためにも、現   地弁護士や法務担当と共に生産管理のコンプライアンスとリスクのコントロールを適切に行うことが重要です。

作成日:2025年12月12日