新規定:プラットフォーム企業の税申告管理を厳格化 -NEW-
2025年6月23日、国務院はプラットフォーム企業とプラットフォーム内の経営者および従業員の税申告の規範化と監督管理強化を目的に『インターネットプラットフォーム企業税関連情報報告送信規定』(以下、『規定』という。) を公布しました。同規定は、同日より施行されています。そこで今回は、インターネットプラットフォームやオンライン経営に携わる皆様に向けて、当該『規定』の主なポイントについて解説します。
1.プラットフォーム企業の税申告義務を新規追加
当該『規定』では、プラットフォーム内ショップや高収益者による脱税や租税回避行為を抑制し、オンラインとオフラインでの税負担をできる限り公平にすること、また「ブラッシング詐欺」や「内向き競争」などのマイナス要素を減らすことを目的に、全プラットフォーム企業に対してプラットフォーム内のショップと従業員の身分情報と収入情報を報告するよう求めています。これにより、プラットフォーム企業のコンプライアンスコストは著しく増加しています。(『規定』第2条)
また、プラットフォーム企業には電子商取引 (淘宝、京東、アマゾンなど)、デリバリー (美団、餓了麼、京東など)、ネット配車 (滴滴、Uberなど)だけでなく、ネットライブ配信やマッチングサービスなど関する企業も含まれており、ネット取引のために場所、仲介、情報発信など営利サービスを提供する会社や組織は、全て当該『規定』の規制対象となります。
2.経営者·従業員の納税監督管理を厳格化
同『規定』は、プラットフォーム企業に対し主にプラットフォーム内の経営者および従業員の身分情報と収入情報の提出を求めています。
プラットフォーム企業は、毎四半期終了後の翌月までにプラットフォーム内の経営者(ショップなど)または従業員(個人店舗、ネット配信者、フリーランスなど)の前期の収入情報を報告しなければなりません。(『規定』第4条)
また、税務機関が税務検査を実施する際やリスクが発覚した際には、プラットフォーム企業に対し、違法の疑いがある業者や個人の詳細な情報(注文書、取引記録、資金口座、物流情報など)の提出が求められることもあります。
3.不遡及の原則を適用
当該『規定』には不遡及の原則が適用されているため、当該『規定』施行前の収入情報などについては報告の義務はありません。(『規定』第12条)
ただし、プラットフォーム企業に報告を求める以外の方法で、ショップや従業員の以前の収入情報や経営行為に関する「税務遡及調査」が行われる可能性があることには注意が必要です。
◆日系企業の皆様へのアドバイス
当該『規定』の施行開始に伴い、各種プラットフォーム企業に対して税務申告に関するより高い要件が課されるようになりました。今後もプラットフォーム内のショップや従業者に対する税務当局の監督は一段と厳しくなると思われますが、当該『規定』はこれまでコンプライアンスを徹底して経営を続けてきた企業にとっては有利に働くでしょう。
景気が全体的に低迷する中でも、ビッグデータは急速な進化を遂げているため、プラットフォーム内での経営に関わる日系企業にとって、当該『規定』の内容を速やかに把握し、新たな要求に順応するための対策を検討することは必要不可欠です。税務当局からの指摘などによるペナルティーを回避するためにも、税務や経営に関するコンプライアンスの強化は非常に重要な課題と言えるでしょう。
作成日:2025年06月26日