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戸籍改革綱領制定、居住制限撤廃へ

 4月末、全国都市化に関する業務会議が北京で開催される。今回の会議の開催前、国家発展改革委員会の徐憲平副主任は、種別ごとに推進するという基本原則に基づき、政府は全面的に居住制限を撤廃し、順序に従い中小都市の居住を開放していくと述べ、都市化を前提とする戸籍改革の道筋が示された。これは、先ず3,000万人とも言われる農村から二級都市へ移動した人々が恩恵を被ることを意味し、その順序は、市クラス以下の都市から大都市へと進められてゆき、今後中国の人口管理は戸籍制度と居住証制度が有効にリンクした制度となっていくこととなる。
 国家発展改革委員会の徐憲平副主任は、「中国は次第に戸籍に付加されていた福利待遇から離れてゆき、健全な戸籍制度と居住証制度が有効にリンクした人口管理制度となっていくだろう。未来の中国都市化発展戦略の任務として、第一は、農村から流入した人々の都市住民化を推進し、毎年1,000万人近く増加している現在2億人余りの出稼農民の市民化問題を徐々に解決することにある。戸籍制度改革と基本公共サービスの均一化を同時に推し進め、種別ごとに推進する原則により、条件に適合する出稼農民から徐々に都市住民に転化させ、居住制限を全面的に撤廃し、順序に従い中小都市の居住制限を開放していく。」と見解を述べている。

戸籍改革は、種別ごとに推進する
 国務院研究室の黄守敬副主任は、「固定的な住所と不動産がありさえすれば、二級行政区以下の都市では、既に限定的に開放されつつあるが、戸籍制度改革が最も難しいのは、大都市及び特大都市である。」と話す。共産党の第18回大会において、戸籍改革の速度を速めるという決定がされた。現有の政策を敷衍するするだけでは、あまり意義はない。この点から言って、戸籍制度改革は、実際に小都市から中規模都市に進み、やがて大都市にも及ばなければならず、これは面的な拡大だけではなく、改革が外側から中心に向かっていく過程でなければならないことを意味している。
 国家発展改革委員会都市と農村改革発展センターの李哲主任は、「戸籍制度改革は次第に開放されていく過程であると考えている。私達は北京、上海の街角で、多くのレストランオーナー、企業家が、農村からやってきて、そこで何年も生活しているものの、都市戸籍を取得していないことを知っている。このような農村から都市へ移動した人口は三、四千万にものぼる。改革の難しさという点を言うのなら、なぜこれらの人々を一挙に都市人口に組み入れてしまわないのだろうか。」と疑問を呈する。

工業用地の割合と土地利用の調整
 「中国の一人当たり平均面積は、800平米しかない。多くの事柄は、この面積上の制限を考えて行わなければならない。」中央財経指導グループ事務室楊偉民副主任は、今後都市化を進める中で、土地都市化の面の主要な任務は、土地在庫数の調整であり、増加量の調整ではないと話す。工業用地を減少させるには、都市居住地を適切に増加させる必要がある。中国には 5万平方キロメートルから6万平方キロメートルの工業用地がある。居住用地と工業用地の割合は、1.5:1で、多くの都市では更に低く、工業用地が居住用地より多いくらいである。日本の三大都市の居住用地は 3,700平方キロメートルであるのに比べ、工業用地は600平方キロメートルしかなく、その割合は6:1である。フランスの大パリ地区の居住用地は 1,100平方キロメートル、工業用地は 205平方キロメートルで、その割合は、5:1となっている。したがって、工業用地の占有率は、過去のような速度で速まっていってはならず、減速していくべきである。
 国土資源部の胡存智副部長は、「中国は、工業用地の割合が高すぎで、すでに26%となっている。製造業の発達した都市では、工業用地の割合が40%を超えており、一部の都市では50%を超えている場合もある。ニューヨークの7%、香港の6%、ロンドンの2.7%、シンガポールの2.4%に比べ、これらの都市の工業用地の割合は高すぎる。」と考えている。胡副部長は、「工業用地の割合を徐々に減少させ、土地の流動量に代替させるようにする。つまり新たな建設用地を増加させるとき、一部の古い建設用地を取り除くべきである。」と提案する。徐副主任も「一人当たりの土地建設用地100平米を重要な抑制目標とし、無計画な都市拡張という昔ながらのやり方を避けなければならない。これと同時に、土地建設用地の増加規模と農村から移動してきた人口の定住量をリンクさせる政策を採らなければならない。」と主張する。

カギは人口指標に見合った長期的計画にある
 専門家の中には、所謂新しい都市化が政治運動化することを心配する者もいる。燕京華僑大学の華生校長は、「我々は、希望的観測だけを述べてはならない。どのような制度をどのように变革させる場合でも、希望的観測は役に立たない。なぜなら大衆が直面しているのは現実的な問題だからだ。」と懸念する。新しい都市化は、このように計画しなければならない。我々が現在抱えている出稼農民は 2億名余りである。流動人口は、更に7,000万名余りである。20年後には、中国の都市化率は75%前後に達するだろう。つまり少なくとも6億名に対して、この20年間に土地を用意する必要がある。これは毎年少なくとも 3,000万名分である。この3,000万名分をどのように容易するか、資金をどうするか考えるべきだ。華校長は、「中国の土地使用方法だけを変更して人口の指標を変更せず、土地の都市化と人口の都市化が関連性を失っている現状では、毎年の土地分配指標と人口戸籍化の指標を結合させることが、何よりも効果があり、ある地方に土地があれば、農民の入籍を手配する。たとえば、1ムーに10名割当る。割当数は多ければ多いほどよい。このようにしてこそ、地方政府の行為が調整される可能性が生じる。」と提案している。

(遼寧日報より)

作成日:2013年04月27日